杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

ウルヴァリン:SAMURAI

2014年03月03日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2013年9月13日公開 アメリカ 125分

カナダで人目を避けるように暮らすウルヴァリンことローガン(ヒュー・ジャックマン)は、以前命を救ったことのある日本人実業家・矢志田からの願いで、彼の部下ユキオ(福島リラ)と共に日本へと向かう。不敵なまなざしを向ける矢志田の息子シンゲン(真田広之)に迎えられ、病床の矢志田と再会したローガンは彼から謎めいた言葉を告げられる。ほどなくして亡くなった矢志田の葬儀中にヤクザが襲撃してきて、ローガンは矢志田の孫娘・マリコ(TAO)を連れて逃げ出すが……。


「ウルヴァリン:X-MEN ZERO」(2009)に続くシリーズ第2弾です。
愛するジーンを喪い夜毎悪夢にうなされるウルヴァリンの元に、かつて長崎で命を助けた矢志田が命尽きる前にぜひ会いたいとの伝言を携えたユキオが現れます。でも一日だけならと彼女と共に日本を訪れたウルヴァリンを待っていたのは、彼の持つ不死身の治癒能力を奪おうとする企みだったのです。

命を救ってくれたお礼に能力を奪い我がモノにしようなんて図々しいにもほどがあります。事業が成功し権力財力を手にした人間が最終的に望むのが不死、というのもベタですねぇ娘を殺しても自分が権力を握りたいというシンゲンも相当なタマ。矢志田の息子だもんなぁ。
それに比べて孫娘のマリコはとってもまとも。でもだからといってウルヴァリンが彼女に心を移すの、早すぎませんかぁぁ
ジーンを亡くした喪失感からの脱却・回復という意味でこのエピソードが必要だったということかしらん。

というわけで、舞台は日本。でもねぇ・・・ハリウッドの描く日本ってどこか変。どこかオカシイ。
新幹線の上のバトルなんてありえね~~~
細かいことは気にせずストーリーを楽しめばいいとは思うんですが、ところどころ微妙に気になって仕方なかったのでございます日本以外が舞台ならそういう不自然さに気付かずに観ていられるんですけどね

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ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~

2014年03月03日 | 
三上 延(著) KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (発行)

静かにあたためてきた想い。無骨な青年店員の告白は美しき女店主との関係に波紋を投じる。彼女の答えは―今はただ待ってほしい、だった。ぎこちない二人を結びつけたのは、またしても古書だった。謎めいたいわくに秘められていたのは、過去と今、人と人、思わぬ繋がり。脆いようで強固な人の想いに触れ、何かが変わる気がした。だが、それを試すかのように、彼女の母が現れる。邂逅は必然―彼女は母を待っていたのか?すべての答えの出る時が迫っていた。

     
プロローグとエピローグにはリチャード・ブローティガン著『愛のゆくえ』(新潮文庫)が使われています。前号で大輔が告白した時の返事をするというシチュエーションなのに、どうも日付が前後しているような??プロローグの日付が5月31日なのに対しエピローグは5月が終わるまでまだ5日ほどあると書かれているんだもの。それとも次巻で5日間の出来事が書かれていくのかしらん?
この本は栞子と母それぞれが、愛する男性と互いの気持ちを確認し合う場に登場します。母娘の新たな共通点として位置付けられているようです。待ち続けると答えた栞子の父と、共に行こうと答えた大輔のスタンスの違いが面白いです。

第一話 『彷書月刊』(弘隆社・彷徨舎)
せどり屋の志田の過去が明かされます。
古書を売りに来ては暫くすると買い戻すという謎の女性客の行動と本に付けられた印や書き込みの理由は、栞子さんじゃないけれど何となく想像が付きました。が、その客が捜していた相手については大輔の推理通りなのかなと思って読んでいくとあっと驚く事実が!!さすが栞子さん、読みが深いぞ

第二話 手塚治虫『ブラック・ジャック』(秋田書店)
やっと馴染み深い本(漫画)が登場したぞ
それにしても発行年代によって収録された内容が異なっていたり、作者が作品に手を入れて描き直していたなんて知らなかったです
栞子の親友の滝野リュウ(滝野蓮杖の妹)が登場し、彼女の後輩から頼まれて、この本の紛失の真相を探るうちに、後輩の家庭の事情に首をつっこむことになり、しまいに父親と引きこもりの息子の関係まで改善する手助けをしちゃってるという。
そしてリュウもまた栞子の母の傀儡の役割を振られていたというオチにこの母親の底知れぬ恐さを感じます。

第三話 寺山修司『われに五月を』(作品社)
栞子が大輔の告白の返事を保留したのは母に会ってどうしても確かめたいことがあったからでした。しかし母は彼女に「宿題」を解いたらという条件をつけます。その宿題がこの第三話です。
昔迷惑をかけられて出禁にしていた門野澄夫の依頼(兄が死ぬ間際に蔵書を譲るといったが遺族が渡してくれない)を渋々引き受け、その真偽を確かめるのですが、ちゃらんぽらんな迷惑男に見えた澄夫の意外な一面を大輔だけは後で知ることになります。こういうギャップに弱いわぁ
寺山修司は名前や書名のいくつかは聞いたことがあるけれど、実際に読んだことはありませんでした。栞子が口ずさむ「五月の詩」に惹かれるものがありました。機会があったら読んでみようかな
その本を本当に愛している人が持ってこそ本も生きるという考え方も良いな

今回新しい試みとして断章が挿入されています。
本筋の視点は大輔君なのですが、断章では相手の視点で顛末記が語られるのです。これはちょっと新鮮で面白かったな。

断章Ⅰ 小山清『落穂拾い・聖アンデルセン』(新潮文庫)・・・志田
断章Ⅱ 小沼丹『黒いハンカチ』(創元推理文庫)・・・リュウ
断章Ⅲ 木津豊太郎『詩集 普通の鶏』(書肆季節社)・・・栞子

本作に登場する「事件」においても、栞子は依頼人のちょっとした目の動きやしぐさ、呼吸の速さや間の取り方で、心を読んで真実を当ててしまうのですが、それはまさしく母親譲りの才能です。そしてそのことを自覚するが故に、自分もまた母のように突然何もかも投げ出して探求の旅に出るのではないかとの不安を抱えていたのでした。
彼女が母に尋ねたのは父親のことです。そして、父親が、母がいつかいなくなってしまうかもしれないことを承知でプロポーズしたことを知りショックを受けます。今回も母の誘いに乗らなかったのは大輔との約束が頭をかすめブレーキをかけたから。
でもね、栞子と母の決定的な違いはこういうところにあるんじゃないかな?何もかも捨てて自らの欲望に忠実に生きた母を父はただ待つだけでしたが、大輔は愛する人に共に行こうと提案する。彼が背負っているものがなく身軽であるとはいえ、この違いは大きいと思うなぁまさに目から鱗、だね。

どうやら上手くまとまりそうと安堵した矢先、再び栞子を傷付けた男の脅迫文が
保釈中にそんなことしたら取り消されるで~~
次巻に期待を持たせる終わり方だなぁ。連続ドラマじゃないんだから、なるべく早く出版してね

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