杏子の映画生活

新作映画からTV放送まで、記憶の引き出しへようこそ☆ネタバレ注意。趣旨に合ったTB可、コメント不可。

オール・ザ・キングスメン

2007年11月06日 | 映画(DVD・ビデオ・TV)
2007年4月7日公開 アメリカ 128分

1949年、ルイジアナ州。群の汚職を非難し政界浄化を訴える地方の役人ウィリー(ショーン・ペン)と知り合った新聞記者ジャック(ジュード・ロウ)は、彼に惹かれ、対立候補の当て馬から一気に形勢を逆転させ遂に州知事となったウィリーの参謀となっていく。だが、時が経ち権力が増大するにつれ、ウィリー自身があれほど嫌っていた汚職やスキャンダルにまみれていくさまをみせつけられることになるのだった・・

先週間違って借りられなかったリベンジでした。
悪役顔のショーン・ペンは好みではないけれど、確かに演技は凄い!地方の小役人でしかなかったウィリーが、自分の「当て馬」という状況を逆手にとった演説には「本音」が込められていたし、成功して尊大になっていく様も生々しいほどのリアル感がありました。

実質的な主人公はでもジュード演じる上流階級出身のジャックです。
彼の目から見たウィリーという政治家の人としての盛衰が描かれた作品かな。

ジャックは金銭的には不自由のない階級に生まれ、ウィリーとは全く異なる背景と価値観を持っています。そんな彼がウィリーに惹かれたのは彼が持つ正義へのストレートな感情への共感だったのでしょうか?それとも滅びゆく特権階級への自己憐憫だったのでしょうか。

ジャックの幼馴染のアン(ケイト・ウィンスレット)、父親代わりに面倒を見てくれた判事(アンソニー・ホプキンス)との関係も複雑に絡み合い、物語はジャックにとっても悲劇性を帯びて終わります。

善は悪の中からも生まれるといったウィリー・・・人は権力という座の前に、高潔な魂を売り渡してしまうものなのでしょうか。それとも、欲は遅効性の毒のように、徐々に心を蝕むものなのでしょうか。
独裁者のような傲慢さが顔に張り付いたウィリーの最後は自業自得としても、そのシナリオを書いたのは・・代わって知事に就いたあの男なのかしら?と思わせるラストです。では、アンとウィリーのそれも・・・罠???

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