月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

5月の蓮華寺 青もみじの庭へ

2013-05-18 22:06:36 | どこかへ行きたい(日本)



5月は新緑がきれいなので何かと理由をつけて外へ出たくなる。
先日の日曜日もいいところへ行ってきた。娘のNと一緒である。

京都の出町柳から叡山電車(1両だけ)に乗ってゴトゴトと6駅め。「三宅八幡」駅で下車。私の一番好きな沿線かもしれない。
一乗寺駅や修学院駅、茶山駅、八瀬比叡山口、貴船口…。詩仙堂や曼殊院門跡など好きな寺、瑠璃光院やおいしいパン屋や趣味のいい書店、
名園、大学などを抱えた品のいい小さな町が集まっている。川も山もある。比叡山や鞍馬寺のすそ野というのが、なお良いではないか。

行き先は「蓮華寺」だった。



大原街道に沿って車通りを歩いていると、突然、山寺の古い門跡がみえる。


寺のなかにはいるなり、柔らかい緑、緑、緑。



5月の苔はふかふか。冬の栄養分をたっぷり蓄えているのか、やさしい色だ。
彫りのうすい地蔵たち。鐘楼堂。
手入れが行き届いた素朴な山寺は、ほっとする。来てよかったといつだって思う。
まっすぐに進むと拝観入口があり、寺のなかに入った。

「蓮華寺」は浄土教系の古寺で応仁の乱後荒廃していたのを、
加賀前田家の老臣・今枝民部近義が祖母の菩提のために再興したのだそうだ。
仏さまに手をあわせてから、庭園のみえる奧の間で休憩する。




外の緑が軒先の板間に映ってきれいだ。
池には鯉にまじって稚魚がたくさんいるらしく、勢いよくぴちゃりぴちゃり、はねるさまが面白い。
水面にいくつもの波紋。
「雨が降りだしてきたのかと思うけれど、違うんだね」とNがいう。
外履きのスリッパに履き替えて、尚本堂へ。
燃える緑と小動物と昆虫と、仏さまだけのほんとに小さい静かなよい世界だった。






せっかくなので、このあと次の駅の八瀬比叡山口駅まで遠足気分で歩きながら、
新しい学校の話などをあれこれ聞けたので面白かった。
10代の話は実に興味深い、耳の保養である。
瑠璃光院は拝観時間が4時までなのでこの日は足をのばせなかったが、
風をうけた、貴船に続くせせらぎや青もみじを沢山みられてよかった。





帰りには一乗寺駅で降りて、学生街のようなあったかい通りを散策。
いつも必ず立ち寄る「けいぶん社書店」で本を見る。
この日は緑色の手頃なサイズの手帖と




内田百聞「ノラや」等を購入。

「パティスリータンドレス」でケーキとお茶にする予定だったが
夕方6時過ぎていたので生菓子は全て終了なり。こうなると、猛烈にお腹が減ってきたことに気付く。

ふと歩いていると玄関口が解放されていて、奧に長い鰻の寝床に満席の客席。
次から次へ、人が訪れては並んでいくのをみて、これは!と期待して店へ侵入する。地元で評判のとんかつ屋さん「とん吉」である。
周りは常連さんと家族づれでいっぱい。カウンターに置かれた冷蔵ショーケースにはものすごい厚切りの豚肉が!
とんかつは好きなので興奮するが、私の心はもうひとつ響かなかったのである。残念。(ファンの人にはごめんなさい)。
「ヒレカツとエビフライ」を注文。
写真はNのとんかつ定食より。




オリジナル中濃ソースの味がきつすぎて、肝心の豚肉の味がよくわからなったのだ。
脂身も甘いのか、肉質もよくわからかった。

好みからすればもう少し衣がサックリして、中から肉汁がじゅわっとしみる、脂身のよい香りがする豚肉が好きでした。
しかし、男性客はうれしいボリュームだ。ごはん、豚汁、付け合わせのカレー風キャベツ煮やスパゲティ、ポテトサラダもお皿からはみ出るほどの量。
B級グルメファンが通いつめるだけある。

帰りには河原町のフランソワ喫茶室でおいしいウインナー珈琲を飲んでから帰る。



昭和7年から営業しているバロック調の店内は、
いつ訪れても変わらず夜にくるとなおいい。ほんとうに落ち着く。
クラシックの流れる喫茶店は先頃では珍しいが、これみよがしにうるさくないし、選曲も悪くない。珈琲の味もいい。
ケーキは、レモンパイやザッハトルテなどもおいしい。


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