月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

今年も出雲大社に出かけました

2021-01-28 17:51:00 | どこかへ行きたい(日本)

 

 

 

 

2021年 1月6日(水曜日)

 

昨年の秋に、思い切って出雲行きを予約していた。

12月、GO TOキャンペーンが中止になったけれど、「出雲大社」の初詣からスタートしたいと、無理なスケジュールにもめげずに、ゴール(結果)をめざしてひたすら後半は頑張ったのだ。出雲の神さまにお礼詣りをしたい、そのためにも頑張らなきゃあというわけで。

 

家族で悩んだあげく、強引に旅を挙行した。

 

8時に自宅を出て車に乗り込む。約3時間あまり山陰道をひた走る。

蒜山高原の途中から雪がちらほら舞いはじめ、次第に粉雪が前からフロントグラスをめがけて飛び込んでくるそんな勢い。遠くにみえる大山は雪帽子をかぶっていた。いつまでも見ていたいほどになだらかな美しい尾根である。

 

 



 

 

そのまま、境港の米子空港をめざして車で行く。

ここで、東京から搭乗してきたNをピックアップ。さて、おいしいお寿司でも食べましょうと、駅前を探した。実はNを待っている間、到着ロビーのANA側インフォメーションで地元のお姉さんに食べ歩きの情報を聞きかじったばかり。「日本海」、「かいがん」「石丸寿司」など、お姉さんが教えてくれた店を訪ねて歩く。パンフにあるおいしそうな店もついでに探した。

 

東京都の緊急事態宣言をうけて、界隈はどこもシャッターをおろしている。明日は数年に一度の大寒波到来で大雪警報発令。

山陰の1月は、雲がたれこめ、よけいにどんよりとしているように感じる。ともかく寒い!

 

駅から歩いて2分のところにある「東○○」さんだけが空いていた。

Googleで調べたら、★が2.9。えっ? 3以上ならまだしも、いやな予感。心臓がドキドキする。あまり積極的には行きたくないなぁ。

躊躇するわたしに、「大丈夫ちゃう?海鮮どんぶりの看板がでているし」「総理大臣賞の店って書いているよ」とおなかをすかした家族がなんとかわたしを説得しようと試みる様子に、まあなんとかなる、と自分を奮い立たせ(!?)、のれんをくぐった。

 

入店すると、昭和40年代のうどん屋さんのような雰囲気。古くからある店には違いないようだが、境港の中で完全に忘れさられているというか、うら寂しい感じだった。

玄関口からみえたテレビが、モノクロでないのが不思議なくらい。

コロナの感染者数が「東京でついに1500人になりました」というようなニュースを報道しているのを、じっと黙って家族でみていた。全員「海鮮どんぶり」を注文し、料理が運ばれてくる前にお手洗いを貸していただいたら、ナントくみとり式であった。

ま、それはいいのだが。小窓のところにおいてある造花の花があまりに色が薄くくすんで、ほこりまでかぶっていたのが、なんとなく気になった。

で、おじさんがお盆にのせて運んでこられたのが、こちら。

 



 

おーー!さざえまでのっているではないか。

一口食べて、うん? ま大丈夫、大丈夫、と言い聞かせて箸をすすめる。誰ひとり感想を口にしない。黙々と下をむいて口に運んでいた。

ごはんは、朝早くに炊いたのか。生ぬるい。いわゆる寿司飯ではない。

 

肝心のお刺身に味がしない。臭いもない? まるでお弁当にのった刺身のようで、変だなと首をひねりながら口に運んでみるのだが、やはり期待していた新鮮な魚の甘みではなく、舌の両サイドに苦みがたまってきて、だんだんツンとした刺激を覚えるようになった。

慌てて煎茶で流し込む。おかしいなぁ、境港でしばらく漁がなかったからだろうか、どういう鮮魚なんだろ……と考え始める。臭みがないので、お腹は壊さないだろうけれど。あまり考えこまず、速度をあげて、一生懸命かき込んだ。

 

最後のネタ、一枚。が、どうしても喉を通らない。

「ねぇ、お魚……が……」とやっと口にしてみたら、「なんか苦いね」とNが即答。やはりそうか。食中毒を防ぐ、あるいは鮮度保持のための処理で、本来の臭いや味がかき消されていたのだろうと思う。魚がのたっと異様な歯触り。

コロナ禍で漁も休み、致し方なかったのだろう。空いている店がここ一件。そんな時期にのこのこ関西から出てくる私たちにも、問題があるわけで。そう言い聞かせて、冷たい風に背中を押されて、水木しげるロードを歩いて車に乗りこんだ。

 







 

宿泊宿に入るまで向かったのは玉造温泉。ここは以前から行ってみたかった。

3歳児頃のわたしが、写真にはニッコリ笑って訪れているのに、本人は全く記憶にない。

母曰く「この勾玉は玉造温泉でお父さんが買ってくれたのよ」「出雲大社の帰りに玉造温泉で一番よい宿をタクシーの運転手に聞いて泊まったらそれがよい旅館で、ごはんがおいしくて……玉造温泉にまた行きたい」というのを何度となく聞いていたから。そんな父母の思い出もたどってみたかった、というわけだ。

 

「日帰り入浴」を予定し、事前に数件の旅館をリストアップしていた。

しかし、どこもノーサンキュー!との返事。コロナ禍だから。日帰りはやってないのだ。

浅い川をはさんで両側に古い旅館が何軒か並んでいた。途中、車を置いて、勾玉の店へ。その名も「めのうやしんぐう」。緑、白、黒のめのうをみる。ぐるぐると3周ばかりまわった。そうして地元のおばちゃんと10分ほど話すと、気持ちがスッーーと満たされた。また、近いうちにここへ来るだろう。そんな予感がした。

また先日母から大ぶりのめのう(50年もの)をもらったばかりなので、新しい宝石を買うのは控えたが、石を沢山みるうちに旅情がわいてきたのだ。おそらく、いや、勾玉パワーなのかも!

 

そうして、宍道湖方面に車を走らせた。



 



 

 

 

 

 

 

 

 



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