月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

よつ葉のクローバーを探して

2020-05-25 22:24:22 | コロナ禍日記 2020

4月29日(水曜日)

 

 すっきりと目覚める、きょうは8時まで寝た。

 白湯にNが殺菌作用だという、ヤマザクラのはちみつ(ハチたちの仕事、抗生物質使用しない)をいれて、数回にわけて飲んだ。15分、本を読む。

 

 瞑想。20分。

 誰も起きてこない、朝の時間は素敵だ。孤独ではないし、自由に思考を遊ばせることができる、余白がある。誰かがそばにいると途端にかりたてられる。一家の主婦としての、こまごまとした雑務に、仕事しなきゃあという焦りにも。

 「天才たちの日課」(女性編)を少しずつ読んでいる。そのまま、仕事部屋にこもった。

 

 11時。家族が揃ったので、コーヒーをいれ、サラダと、はるみ、清見と2種の柑橘類、銀座の木村屋5種のあんぱん、クリームパンを食卓に並べた。

 お昼は、中華粥(ささみのほぐし身、ネギ、みょうが、山菜、赤とうがらし、しょうが入り)、水餃子。

 



 岩茶房丹波ことりさんの、鉄羅漢を10煎くらい炒れて。そのままの流れで飲茶へ。たこせんべい、エビせんべいを追加し、台湾の干菓子も出してきて20分くらいおしゃべりをしながら飲茶タイムをした。

 

 夕方。Nと散歩に出た。途中、外周道路を歩き、最近建ったばかりの住宅地を歩くうちに、住宅の裏をずっと下がったところにクローバーの楽園をみつけてしまった。

 










 

 白詰草は、つんつんした白い花が清楚で、活発な感じがかわいい。昔、蔓にして編み、Nのまっすぐで素直な髪に王冠をつくってあげたのを思い出した。Nは3歳児の頃と変わらず、手でクローバーの葉を上手により分けて、4つ葉探しに夢中だ。

 「みつかる時は、すぐにみつけちゃうのよ。わたし天才的にすごいの」

 と、みるみる手に5本くらいの4つ葉をギュッと握りしめている。

 遠くの山の風景を眺めていた私も、負けないように探しはじめた。根気がなくてなかなか収穫できない。最初にみつけたのは5つ葉。次いで4つ葉を2本みつけた。

「5つ葉はダメよ。悪魔があなたの中に潜むといわれているからね。気をつけてね」

「え!うそ……!」(笑)

「あ、いま調べたところによると財運に恵まれるんだって。財に恵まれるからには、心を清くもちなさいということなのね」とNはいう。

 新芽が出たばかりの青緑の松の枝葉、黄色いミニバラ、白いハナミズキ、ピンクのハナミズキ、白藤……たくさんの花や植物と出会う。いつもより遠回りして90分くらい散歩した。

 



 

 帰宅後。Nは4つ葉を1本ずつきれいに洗い、江國香織の厚めの本を取り出して押し花をしていた。

 



 

 夕ご飯は、こごみ、こしあぶら、しいたけのかき揚げ天ぷら。鶏の照り焼き。長芋とししとうの素焼き(付け合わせ)。京都のおぼろ豆腐。みそ汁。



 

 

 窓の近くの絨毯の上に座って、家族そろってテレビをみる。おしゃべりながら、お菓子をつまみながら、くっつきながらのテレビ。

 

 12時。お風呂をNと入るも、「息がくるしい。もう上がるわ」と早々に彼女は上がる。昔なら1時間半も秘密の打ち明け話をした関係性であったのに。母を一人の女として観察し始めたのではないか、などと思い巡らして、慌てて本に目をやる。

 深夜1時半就寝。