月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

12月のTOKYO 羽田空港で(2)

2019-12-10 23:33:11 | 羽田ーウィーンの旅

 (1の続き)



12月1日 日曜日(晴れ) 午後から深夜


羽田空港、国際線ターミナル。白々とした朝の雰囲気だ。大きなクリスマスツリーが飾られ、ライトアップ用の銀色の枝が光っている。

同行者とおちあい、昼食には「すき焼き」を食べた。
今日初めて食べる食事がすき焼きとは、愉快なこと。






その後。リムジンバスと東急電車を乗り継いでNの家へいく。
ひとしきり、弾丸のようにしゃべり大笑いしたあとで、大阪出身のパイロットさんに教わったというおいしいラーメン屋「葉月」へ(雪が谷大塚駅より徒歩5分)。

「特らぁめん」






国産小麦粉とイタリアのセモリナ粉のブレンドする、という麺は、もっちりとしてスープも上品。洋風仕立て。

丁寧にアクをとっているのだろう、丼の底まで澄んだスープは塩味が効いて、鶏と鰹だし、隠し味の魚介類が際立っている。
豚肩ロース、鶏肉の2種類のチャーシュー計3枚。
メンマ3本、煮卵1個、海苔3枚。




11時40分発の東急、京急電車を乗り継ぎ、
再び羽田空港の国際線ターミナル。

やや重いスーツケースをころがして、リンクのようにカタい館内を滑るように歩く。
昼よりも垢抜けしてクリスマスムードいっぱいのイルミネーションにウキウキ。

免税で化粧品を購入し、これから飛び立という各国の飛行機がよく見えるカフェで強炭酸のレモネードを飲んだ。

夜中1時、2時とは思えないほど旅立つ人でごった返す空港。 年末感が漂い、突然と愉しくなってくる。




背後の席ではサリーをかぶったインド人の女性、中東からのファミリーが眠そうな目を濾すって無言でコーヒーを飲んでいた。



午前1時55分発のANAに搭乗します。

機材はボーイング787−9型 (ビジネス48席。エコノミー167席) 

席についたら簡単なピタサンドが出たので、白ワインでおいしくいただいた。

本を読み、4時に就寝。

 

羽田ーウィーン フライト当日の朝

2019-12-10 23:15:01 | 羽田ーウィーンの旅


12月1日 日曜日(晴れ) 朝


朝5時半に起きて30分、お風呂。
「翼の王国」(2019年2月号)。しまおまほさんの書かれたウィーンのエッセイをよんだ。(4度めくらい)。







滞在中のカフェだけに絞り込んで書かれている。今旅のテーマだ。


昨晩のお風呂(夜中12時)は、浴内全ての照明を消し、外からの灯りだけではいった。薄灯りの中だと、音も消える! と発見。その分、お湯や石鹸の強い香りが鋭敏につたわってきた。私の場合、海外へ行く前の日は眠れないので、少しでも安眠しやすいようにと、思ったのだ。


今朝の風呂は、昨晩の名残があって、
一面に水素の蒸気が漂っているよう。
昨晩。11時に入った水素風呂を落とさなければよかったと少し後悔したが、ゆっくりと浸かっている暇はない。(私の場合はお風呂から何かをはじめ、一日の終止符を打つのが習慣だから)



明日の早朝からのウィーン行きで、絶対に行きたいカフェに再びチェックをいれて、さぁもう、お風呂からあがろう。
すこぶる頭が冴えているのか、この時、忘れ物を3つほど思いついた。ひとつはモロッコのスリッパ(バブーシュ)。いま進行している雑誌の途中経過の刷り上がり。機内で鞄をくるむ袋。2種のサプリメント。もしかしたら、旅立つ前のこういった瞬間が一番好きなのかも知れない


6時40分に家を出て伊丹空港へ。






8時のANA便でまず羽田空港へ行き、編集の若い女性と落ちあう予定だ。

機内ではずっと、ラフマニノフの「楽興の時」を聴いていた。前日にヨドバシカメラで購入したBOSEノイズキャンセリング(QuietControl 30 wireless headphones)の機能は想像以上!






エンジン音はほぼ聞こえない。空を、滑るように飛ぶ不思議な浮遊飛行。音が官能的なまでにかたりかけてくるサウンドの中をドラマチックに飛べる。


ラフマニノフは、波のような旋律で訴えかけてくる。
脳に一節一節、刻み込まれていく揺るぎない解釈。

つたえたいものが伝わってくる力のある音。
愛しく、哀しげに、どこまでも訴えてくる調べだけに集中して聴いていた。

ラフマニノフを聞きながら、飛行を続け、12月号の「翼の王国」をよむ。

いつも真っ先に開き、今回もやはり開いた吉田修一氏の「空の冒険」 。今月号は「ジンセイハツノトークショー」 ……。

眼下にはいくらでも白い雲がふえていく。