月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

早朝のウィーン シュテファン大聖堂(3)

2019-12-12 12:06:42 | 羽田ーウィーンの旅



12月2日(月曜日)晴れ 

(1) (2) に続く

ウィーン国際空港の到着は、早朝の6時前だった。










入国審査はパスポートを提示するだけなので、すいすいと進み、アッという間に荷物を受け取れた。
空港内は、コーヒーのおいしそうな香りが漂い、ハイセンスなカフェが目立つ。

その名も「Spar」というスーパーで、ヨーグルトなどを購入、おいしそうなのでどこかで食べよう。


空港とシティ・エアターミナル「ウィーン・ミッテ駅」を約26分で結ぶ、シティエアポートトレイン(CAT)で移動。
途中、仕事のメールを読む。乗り換えて、一駅「ウィーン市立公園前駅」(Stadtpark)まで。



スーツケースをころがしているので、エレベーターのある後ろ側で降りる。朝6時40分といえども、空は紫色。うっすらと雪が舞っていた。
まだ薄暗い市立公園内を通って、今旅の宿泊地「インターコンチネンタル ウィーン」へ!







回転ドアをあけたら、唐草模様に装飾された黄金のシャンデリアがいっせいに目に飛び込んできた。ヨーロッパ調の内装。中は温かくて、先ほどとは別世界。ロングブーツの底が半分くらい埋まりそうなほどのふわっとした絨毯。ほぉー!これは期待できそうだ。



チェックイン、カウンターのそばのカフェには、こんなお菓子の家も。








ガラス越しに外が望め、白々と夜が明けてきた。まだ寒そう!


荷物を預けたあとで携帯をチェック。すると入稿前の冊子の原稿で訂正依頼があった。
「取材対象者側が300文字ほど書き足しておられるので、これでは写真が入りません。どうしたらよいでしょうか」と、文字ばかりで埋まった見開きページがおくられてきた。 荷物を預けるや、椅子に座り込み、書き足しておられる分をリライトし、そのほかの数ページをチェック。あとは、夜に送ると連絡する。

同行者を待たせてしまい、7時半から、ホテルを出た。


朝の旧市街は霧雨みたいな雨が降っていた。なぜか誰一人傘をさす人はいない。メーン通りとなる「ケルントナー通り」までホテルから約10分。石造りの建築が通りに建ち並ぶ。パリとよく似ている。が、通りや路地も美しく、こぢんまりとし、秩序をもって在ると感じた。

店はまだシャッターが降りたままだ。静かな朝の街を何度もかっこいいオレンジ色の大型車に出くわすと思ったら、あとで聞くと「ゴミ収集車だよ!」とのこと。ゴミ収集車まで洗練されたデザインに思えるとは。ことさら主張することなく華麗にはしりまわっていた。








吐く息は白い。マイナス1度くらいだ。
ウィーンの中心部に位置する「シュティファン大聖堂」を真っ先に訪れた。



















オーストリアのシンボル的教会。初めて建てられたのが12世紀という。何度か増改築を繰り返して、現在の姿になった。ゴシック様式の大聖堂である。
パリのマドレーヌ寺院をふと思いだした。入り口のあたりから漂う厳かな空気が似ていた。
各国の紙幣やコインが入る透明の箱。バロック様式を取り入れた祭壇の先にはキリストの画、そして十字架。

むかって左端を進み、マリア像や天使の彫刻。宗教画をみる。



「東洋の国・日本からの旅行者です。これからの数日。よい旅になりますよう、よろしくお願いします」
と祈りを捧げて、ご挨拶。どこの国・街を訪れても、最初に訪れるのは最も神聖な場所で穢れを払ってから、土地を歩くようにしている。
数分、静かに祈りの時を過ごす。朝なので外国からの旅行者も、2組ほどだ。


大聖堂のカタコンベには、「建設公」と呼ばれるハプスブルク家のルドルフIV世も埋葬されているとあとで聞く。

また聖堂の屋根は、オーストリア・ハンガリー帝国の双頭の鷲、ウィーン市とオーストリアの紋章が描かれている。



教会には塔が2本建っていて、343階の階段やエレベーターで塔を上がると、市内からウィーンの森までみわたせるという。 外に出ると、とりどりの色を重ねた大聖堂の屋根が目に入る。
クリスマスローズなど花を売る店。
楕円型をしたクリスマスマーケットの家々がずらりと軒を連ねていた。