陽だまりのねごと

♪~思いつきひらめき直感~ただのねこのねごとでございますにゃごにゃご~♪

たとえば君   河野裕子・永田和宏

2012-03-01 05:51:53 | 
たとへば君―四十年の恋歌
クリエーター情報なし
文藝春秋


  たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか


河野裕子 21歳 の若き句を一番初めに知った。
川柳仲間の宴席で酒の回った頭で聞いた。
最近は覚えも悪く忘れるのも早いから、しっかりケータイメモへ保存した。
その時、一緒に紹介されたのはその句を題名にしたこの本だった。

私は絶対に手にすまいと思った。
乳がんで逝った妻との40年間の相聞歌。
おそらく亡くなった後に詠んだ遺族側の夫の歌が巻末にあるに違いない。
絶対に見ないと決めていた。
だって悲しすぎるじゃないか?

夫をがんで亡くし11年。
残された者の悲哀は散々経験してすぎた。
闘病中のの逝くもの残されものの気持ちも思い出したくはない。

妹は乳がんの手術から揚々3年が経過したところ。
再発で亡くなった人のことなどなぞりたくはない。
このブログのテンプレートはピンクリボンに決めて久しい。

なのに、なのに手にしてしまった。
40年の夫婦の軌跡を
歌人ふたりの出会いから別れまでエッセイと歌で知る事になった。

今月の川柳例会でこの本が図書館にあると教えてくれた人が居た。
わが市の図書館は現在建て替えで昨日持って数ヶ月閉館だったのだ。
貸し出し最終日の昨日、駆け込み乗車よろしく休憩時間に借りに走った。
もしや、借りられずにこの歌集があるか?否か?
一番先に短歌コーナーへ足を向けた。

ちゃんと並んでいた。
仕事の昼休憩のこと。
他にも数冊借りておかないと活字中毒に禁断症状があらわれる。
中身を確認する間も惜しく、書架から抜いて腕にすばやく抱いてしまった。

帰ってくるのももどかしく、他の本はさて置き一気読み。

歌が生きるエッセイがまたいい。
泣ける。泣いてしまうしかないだろう?
イカン、目が腫れている…

だって分かりすぎるよ。
やっぱり悲しすぎた。

2010年8月、歌人河野裕子乳癌で他界。
遠い話ではない。

科学者にして歌人である夫、永田和宏。
筆致が控えめで端的。
悲しみを余計に誘うのだ。




再発の検査日に日付があった。
2000年9月22日。

夫の最後の日が
2001年9月22日。

その1年前、原発の癌治療を終えて2人で最初で最後の温泉旅行へ出かけた頃だ。
闘病中は退院したらゆっくり旅行と言い合っていたのに、
いざ退院したら夫の仕事の虫が蠢いて、近場の温泉で誤魔化されていまった。
その数ヶ月後に不調、再発、末期がん宣告が続いてやってくる事を知らない、
完治の喜びにわいていた頃…

河野裕子の乳がんの再発は8年後だった。
5年クリアすれば大丈夫が通説ではなかったか?
時に不安を口にする妹をいつも叱るが、こういう事実が実際にある…


お互いを歌びとの名であろう名字で呼び合う醒めた書き方が
余計に夫婦は夫婦でも別々の思いで生きてきた感じを伝えてくる。
若き頃から限られた命になった時まで、
相手との気持ちのずれが、求め合う思いが、歌で克明に記されている。

河野裕子の絶筆と妻偲ぶ永田和宏の歌を置いて終わろう。
散歩に出て頭クリアにして、今日をスタートさせよう。

   (河野裕子絶筆) 

    手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が



   (妻偲ぶ 永田和宏)

    あほやなあと笑ひのけぞりまた笑ふあなたの椅子にあなたがゐない

    亡き妻などとどうして言えようてのひらが覚えているよきみのてのひら 



一日長かった2月が逃げて、
介護保険改正前月にあたるただでも去るのが早い3月の幕開けだ。
寝不足。
今日はその改正についての講演を聞きにゆく。
絶対に講師の話に寝てしまう恐れあり^^;







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