陽だまりのねごと

♪~思いつきひらめき直感~ただのねこのねごとでございますにゃごにゃご~♪

あなたにもできる悪いこと   平 安寿子

2006-12-31 06:36:37 | 
あなたにもできる悪いこと

講談社

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おもわず題名に惹かれた。
「あなたにもできる」ってことは「わたしにもできる」っこと。
悪いことは実に分かりやすく詐欺。
詐欺にひっかっかる人間は結構欲が深く、
その辺りをちょこちょこくすぐられてまんまとひっかかるらしい。

 女は欲が深い。深いから買うのが好きなんだ。

ふ~ん、そうかもしれない。
主人公はいかにも悪徳商法でございと言うものはなんでもセールス。
原価のうんと安いものを高額で買わせた時に勝利感を覚える小悪党。

この詐欺師が詐欺にひっかっかってユスリになる。
そしてユスル相手が
みんな表向きのキレイな立派な顔を持って悪いコトをしている。
まぁ~悪いコトしてるからユスリにあう訳だけれど。

悪いコトのちょっとだけ上前をはねる程度で、でっかい詐欺はしない。
自分に器の大きさ知っている。
うっかり悪いコトで稼いだ金を、せこく律義に貯金していたのを
丸ごとだましとられそうになって、己の器の小ささで踏みとどまる。
度胸のないことはブレーキがきくとも言える。
なんでもほどほど。
悪いこともほどほどってことでってオチに納得させられてしまう。

ペンネームが小説の内容を物語っているような。
この人の小説は
『グットラックららばい』もそうだったけれど
常識とかモラルとか軽く飛び越えて、
人間のかわいらしさにふっふっふと笑いながら気付いて
素のおろかな自分がいとおしくなるような
めげそうなワタシにお薬的作用あり。

職場の休憩室でねっころがって読んでいたら
『お勉強熱心ね。何読んでるの?』
と聞かれて、
本=お勉強と言うその人のアタマの中味にひくものがあったけど、
こんな人に題名言うと、あらぬ誤解も受けそうで、
おもわずモゴモゴ、本当に悪書を読んでいる気分になった。
ワタシも小者ですわ~

あいかわらずバタバタと暮れてゆく我が家

2006-12-29 08:05:45 | Weblog
今年も、せわしなくない日を数えた方がいいような我が家。

最近は仕事への熱意もうすれ、公務員的定時帰宅を励行中。
昨日に限り、夕飯食べていると
だんだん気なっていた利用者さんちのことが頭いっぱいになって
この冷え込みの中、すっとんで行ってしまった。
ご家族も交えて話がすすんで
ちょっと先が見えてきためでたし、めでたしと帰ってきたら、

あらら~
キッチンでお皿に乗せられたままの
息子の焼き秋刀魚の胴体が
口内炎を痛がって、
私の手からしか食べないはず猫に食いちぎられている最中。

そんなちょっぱいモノを食べたら
おしっこが出なくなるでしょうが
以前、サバの煮付けで経験済みだが、猫に記憶はない。
ラップかけ忘れて飛んでいった私が悪いわ~

口が痛いは演技ではないはず???
キャットフードよりちゃんとした魚なら痛みに勝つのかな?

猫のお残りが息子の夕食と言うのもさみしい。
冷凍庫に鯵の二匹パック発見。
塩焼きとムニエルの2品に変身させていたら、
ぼけらぁ~と起きた息子が、

  かぁさん今日、バイク事故った。
  相手の保険屋さんから連絡があると思うよ。

  ええええぇ~!

ケガはしていない。
バイクは壊れて代車で帰ってきたそうな。
話を聞けば交差点で車との接触事故。
横から来た車に当たられたらしい。

事故の後、警察署には相手と行ったという。
事故証明は取れているわ。
相手があればこちらも保険屋さんに連絡しなくっちゃいけない。
息子のは私の保険のバイク特約に入っている。

私の加入保険だけど、事故は事故当事者が話す方が良く分かる。
電話してよと言うと

  めんどくせい

めんどくせいじゃないだろう!
私の保険を全部アンタが使っているでしょ!
おナカの中で毒付く。

 ケイタイ貸して、寒い。

固定電話は子機が壊れて親機しかない。
もう~!!!と思ったが、逆らうと面倒なことになる。
ちゃんとフリーコールをプッシュしてから渡す。

根堀り葉堀り聞く保険屋にちゃんと返答してゆく。

  えらいなぁ~

親バカは
かつての保険屋との交渉風景を思い出す。
途中から息子の顔にイライラマークが出てきたから
電話をひったくって、
よく事情が見えない私がしどろもどろで続けた。

対人の今の仕事が役立っているのかな?
事故の数も郵便配達中のも入れると、
原付バイク免許を取って3年にはならないのに、
片手では数え切れない。
場数を踏んでるって事かしらん?
不思議とたいていすりキズ程度ですんできた。

二匹の魚は多いといった息子の口が
ムニエルも塩焼きも平らげた。

入院騒ぎがないだけ、ヨシとする。
食欲ありってのも精神状態が悪くないってこと。
バイクだけ入院中で年越し。

塩辛い秋刀魚を食べた猫のおしっこは大丈夫だろうか?
動物病院は年末年始お休みなのだ。 

私は30日まで仕事。
今朝は初雪がうっすら積もっている。
娘が今夜、帰省してくる。
新幹線は遅れないで走るかしらん?

後、3日。無事に過ぎて下さい


正月の介護はババカード?

2006-12-27 06:39:26 | Weblog
数ヶ月前から正月ショートステイは頼まれた。
頼まれても早くから予約は取ってくれない。
しかも受け入れ人数は限られているから
ケアマネは利用者家族の希望どおりにと
受け入れ先探しに間合い頃合を計ってまるでぶんどり合戦。
ショートステイのある施設は売り手市場。
結構タカピー。
誰のために何のために平身低頭しているのやら?

ヘルパー利用の人には、
正月の利用はしない方向で了解を取って歩いた。

 いつもお世話になっているから、
 お正月くらい休んでもらっていいですよ。
 ガマンしましょう。

毎日、お風呂に入りたい人も三が日はガマン。
デイサービスも休み。
部屋だって汚れがたまる。
新年からガマンを強いるのを勧めざると得なかった。

こんなそんな時にいきなり退院しくる人が増えて
在宅支援をどうしように追われている。
病院の職員の休み確保で医療的処置がこれ以上ない人は
お帰り願う方向らしい。

医学的にはおしまいでも
誰かの手が必要な人たちだ。

家族が揃うお正月の『家族』に要介護者は入っていないの?
そんな家族ばかりじゃもちろんないけれど、
ないけれど、イヤな家族ばっかりが目に付く仕事。

正月も働く介護職の人もいっぱい要る。
去年まで働いていたヘルパーステーションは動いていた。
パートの時は特別手当があったけど、
常勤の昨年、一昨年は正月特別手当もなしの普通と同じ処遇だった。
介護保険の支払い査定に正月特別加配はない。
事業所独自で手当てを出すところもあるから、
事業所としては稼動したくないのが本音だろう。

  お正月はいらない
  うちに正月はないよ

こんな言葉を幾人かから聞いた。

  早くお迎えがきて欲しい
  長く生きたくない

そんな言葉を日常的に聞くケアマネの仕事って…


  

僕の生きる道    橋部敦子

2006-12-26 06:39:18 | 
僕の生きる道

角川書店

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パラパラめくって、
草薙剛主演のテレビドラマの字が目に入って
『僕の行く道』の原作かと思って買ってしまった。

ドラマのお母さんがえらく賢くて優しくて
見たいなと思っても気が付くと
放映日が過ぎていたり時間が過ぎていたりして
まだ2回しか見ていない。
もしかしてもう終っている?

のだめのカンタービレも途中から時々見て、
のだめちゃんがえらく可愛いので
昨夜の最終回は見ようと思ってて
テレビを付けたら、時間が過ぎていて、
がん患者の事をやっていた…
おまけに見ながらうたたね

そんな風だから原作を読んで
『僕の行く道』も見なくても
「ストーリーは分かっている」になりたかった。

うっかり間違って手にしたこの本はスンゴクよかった。
人を育てる教師と言う職業が命、生を扱ったテーマにぴったりはまる。
どうしても行きたい生徒たちの合唱コンクール決勝へ
死が迫って医師からの外出許可が出ない時、

「ここにいてちょっと長く生きていても、
ぼくにとってが生きていたとはいえません」

新婚旅行の朝、ひとり窓辺に立って
妻が見つけた後ろ向きの体は震えていて

 「ぼくはもっと生きたい」

死後もチカチカする蛍光灯をみつめて残された妻が

 「とりかえてくれると言ったじゃない」

随所にハッとさせられる言葉が出てきた。

合唱コンクール決勝終了後、
生徒が卒業式までは生きられない彼のために
仰げば尊しを歌ってくてれる中で
命の灯が消える。

きっとテレビドラマは感動物だったに違いない。
実際、そう人は簡単に死ななくて、感動的に死は迎えられないとか
現実的なつっこみはよそう。

亡夫には余命を医師から伝えられることはなかった。
100%完治のない転移ガンであると言う告知と共に
余命いくらとは予測できない言う医師の返答だった。

人は死ぬんだ、必ず終わりがあると
だれかとずっと一緒なんて
同じ時は同じ様にこれからも流れて行く
なんて言うのは錯覚でしかないと
夫の死に寄り添ってから強く感じた。

そして残された私は夫から
   かぎりある命の時をたいせつに生きる
      責務をもらったように感じた。

人の常で
時々、忘れる。傲慢になる。
ていねいに生きることは結構むつかしい。

忘れてはいけないと、
この本は私の手にやって来たのだろう。

読もうと思って買っただけの本を
いつか読もうの『いつか』は
もしかしたらないかもしれないのだと
暗示的なエピソードもちゃんとストーリーに盛り込まれていた。

槇原敬之の作詞、作曲、主人公役の草薙剛のスマップが歌った
「世界に一つだけの花」が主題歌として巻末に入っていた。

  小さい花や大きな花
  ひとつとして同じものはないから
  NO1にならなくてもいい
  もともと特別な Oniy One

しかし、何年前のテレビドラマだったんだろう?
古いおばさんは時代についていけない。ついていく気もないけど




これ以上言うとキレるで

2006-12-20 07:54:29 | Weblog
朝、時計替わりに付いているTVが垂れ流した言葉。
朝から聞きたくないから、
余計に目が釘付けになってしまった。

昨朝は
公共の駐車場に停めて別の場所へ行こうとする人を捕まえて
インタビュアーがしつこく
その人の否を責めて、責めて

 『もうしませんか』

の言葉を求めていて、最後に返ってきた言葉が

 『これ以上言うとキレますよ』



今朝は試合前の計量がすんだボクシングの亀田の
ヘアースタイルに向けられたインタビュー場面。

 『ウド鈴木さんと同じですか?』

キッとすごんだ目付きで

 『もう一回ゆうてみぃ?キレるデ』


相手に向いてこれからキレルと投げられる言葉には
キレルことで自分を押しとおそうとする

  ほのかな甘えが含まれていないか?


昨日はしつこすぎのテレビは『善』『正義』みたいな
インタビュアーにもうんざりしたけれども、
若い亀田チャンピオンは
プロボクサーの命が尽きた先の人生まで
おせっかい想像してしまって鳥肌ものだった。

ある行動の精神極限状態を
『キレル』と最初に使ったのは誰だろう?
決して、自分がそうなるよと予言に使う言葉ではなかったろう?
自らがそうなることを恥じないから使える。

こう言うのを言葉の進化というのかな?
発してしまうのは
人間性の退化ではあるけれど。




NHKの認知症特集は厚生労働省監修じゃないよね?

2006-12-19 06:54:17 | Weblog
二夜連続、19時半から21時まで
立ったり座ったり、
家事をしながら観ていた。
認知症の本人、家族と向き合っているから
この手も特集はどうしても気になる。
職場でも翌日、話題に上ってくる。

1日目は認知症は
脳萎縮の病気であって老化ではない。
薬で進行は止められる。
対応によって問題行動は減る等々

2日目は自宅や施設で支える人たちの話。
めいっぱいで介護する人たちが登場した。

介護施設の人の足らなさから
虐待が起こった施設の取材もあった。
20人を夜勤は一人で看ると言う。

取材先の介護職員の若さが気になった。
私の経験ある2つ職場は、かなり平均年齢が高い。

グループホームで食のすすまない人に
ハヤシライスを勧めているシーンがあった。
まるで高齢者の嗜好が分かってないんじゃないかと
見ていたら
他施設に勉強に行って
その人の嗜好にあったネギトロ丼にしたら
「おいしい」と
食べてもらえたシーンにつながっていった。

他施設見学うんぬんより
職員自体の若さから
高齢者の生きた時代とのギャップや
高齢者の心身への想像力欠如が見えてしまった。

番組の作り方が悪いのか?
登場した介護福祉士が未熟なのか?
利用者への声かけも
ちくいち気のなった。
TV用だったのかな?
もっと普段着では違っていたのかもしれない。

50の坂を越えて
自分が老いの口に立って
介護保険前の40代でヘルパーをしていた時より
高齢者の気持が見えてきたように感じることが多い。

毎回この手の番組に出てくる介護職の
アクセサリーや、
うっとうしいヘアスタイルが気のなるのも歳の所為か?

身体接触がある職種で
キケンにもつながるアクセサリーをしない事や
自分の頭髪を清潔にまとめる事は
『きほんのき』で習うはずなんだけど?

養成機関で2年学んで
介護福祉士として世に送り出される20代が施設を支えているのだ。
給料最低で離職率の高さを誇る3K職。

実際、
給料の額では計り知れない知識が要求される。
職員へのアンケートで
介護の方法が分からないが半数を越えていた。
現場に出てからの研修、研さんがあってしかるべきなのに
慢性的人不足、コスト削減から
なかなか手厚い研修はむつかしい現実を示している。

体力、気力が相当要求される。
体の不調から辞めていく人も多い。
若くないと夜勤のある施設は続かないかもしれない。
私自身も膝腰の痛みからサポーターでガードして仕事をしていた。
長くヘルパーは続けられないと思った。

そして世間の評価は低い。


昨日の話、
ヘルパー事業所から派遣日変更の依頼電話が入った。
訪問介護から新しく近くにオープンするデイサービスに
ごっそり職員が移るために退職者続出で
サービス担当責任者が頭を抱えている。

ウチ会社のデイサービスヘルパーさんの
休憩室の話題が
『どこそこの施設にヘルパー募集が出ていた』
ちょっとでも条件が良くて、きつくない所を
みんな探しているのだ。

事業所に入る報酬は介護保険で金額が決まっている。
これ以上、本人負担や介護保険料のアップができないから
ギリギリの賃金しか出ていない。

ウチの会社は介護保険以外の他職種の収入もあるので
なんとか、この4月から赤字の続く
デイサービスと私の居る居宅支援事業所とつぶれないでいる。

居宅支援事業所の方では

『いつまでこの事務所があるかなぁ~』
『自分が辞めるのとつぶれるのとどっちが早いだろう?』

と言う会話が日常的に聞かれる。
おもいっきり話題が反れたが

NHKの特集の昨夜の最後に
まるでこれまで取材してきたものからしたら
ユートピアのような
理想の介護を実践している施設が登場した。

 小規模多機能 

この4月からやたら大型施設は減算対象として
ただでも低い介護報酬がカットされる仕組みになった。
併設のケアマネが自分のところのサービスばかりを
利用しているのも減算対象になった。
グループホームの新設のストップ。

お国が押しているのが、
この『小規模多機能』なのだ。
ちいさなおうちみたいなところで
ヘルパーの自宅への派遣から
デイサービス、短期お泊りのショートステイまで行う。

学童保育から障害を問わないで利用OKのちいさな施設が
以前から話題にはなっていた。

この小規模多機能を全国に一万件が国の目標とか。
しかし、現在300件。
私の住む周辺にはまだ開設を聞かない。
作ろうとしている情報は1件あった。
その作ろうかと言う人は

  もうからないから誰もしない
  行政から頼まれたからね

などと講習講師の余談として語った。

特集ではいかに今まで施設といかに違うか?
メリットだけが強調して取材されていた。

 認知症の人に2時間付き合って落ち着かせる。
 ほんの数名の利用者に夜勤の人が二人居る。

ちょっと待ってよ。
なぜ?小規模多機能なら可能なの?
どこでもやりたい事だ。
人が充分に足りてさえいたら。
国が定める介護報酬が高くさえあったら、
これだけプア-と分かっている介護は誰もしたくはない。

なぜ大規模だと報酬の壁があって人員配置できず
職員が走り回ってゆとり対応ができないところが
小規模なら
そこがクリアできるほどの
人員確保できるのだろう?

介護報酬はサービスごとに決まっている。

小規模だけにはたしかに加算がある。
利用料はその分高い。
1割の利用者負担額も高くなる。
と言って、べらぼうに高いわけではない。

小規模多機能だけがうるおう報酬体系にはなっていない訳で
あの特集されたところの
施設運営、経営がものすごく気になった。

昼間のデイザービスに居た人がそのまま夜勤勤務で登場した。
働く人の労働条件はどうなのだろう?

最初に虐待のあった施設の
夜勤20人に1人を流して
最後に
この小規模多機能の
夜勤数人に2人を流す構成は
大きな誤解を与えそうな。

介護報酬からみれば
これだけの
小規模多機能と大規模施設のサービスのギャップはなぞ?

福祉は人の善意や厚意だけにすがっていては
広まることも定着もむつかしい。

しかし、この前までグループホームと声高々で
今度は
小規模多機能と民間の小さな力でできそうな
国の予算がいらない事に入れている
厚生労働省の意向そのままの番組ではないのかな?

第1弾と言うことだったので、
その辺り続けての特集に期待しよう。

やっぱり口内炎の注射

2006-12-17 01:57:00 | ねこ
前の注射から一ヵ月とちょっと経過した。
数日前から痛がっていた。
口も臭くなってきた。

口のどこに口内炎ができているのか?
うまく痛いところに当たらなければ
鼻先によくほぐした餌を持ってゆくと
ちょとつづおそるおそるなら食べられる。

食べられる間は注射は見合わせようと
獣医さんから言われている。
痛み止めと抗生物質の薬でなんとか押えられれば
その方が体に負担は少ないそうだ。

毎日、薬を砕いてこっそり混ぜ込んでいる。
混ぜ込みかたが悪いと
くんくんぷい!

痛みと食欲のせめぎあいで、
食欲が勝つように
ふぃんふぃんと根気と知恵くらべの日々。

薬が効いて一時回復しているように見えたけれど
昨日から痛がって、
まったく餌を受け付けなくなった。

夕方帰宅するといつも玄関に出迎えがあるのに
今日はふぃんふぃんは出て来ない。
たぶん、餌のおねだりを兼ねた
お出迎えだろうから、
朝も食べていないのに、
食べる気にならないのだろう。

病院が閉まるまでに30分しかない。
明日は日曜日。病院は休み。
ぐずぐずしていると、
月曜の夕方まで注射を受けさせられない事態になる。

キャリーに有無を言わせず入れて、
一路、いつもの病院へ。

若い時はキャリーに入れる抵抗がすごくて大変だった。
病院までの10数分の車で揺られる間、
うぇ~おん、うぇ~おんと
大きな声で声が枯れるほど鳴き続けていた。

今日はキャリーへの抵抗も少なく、まったく鳴かない。
あきらめなのか?
抵抗や鳴く元気もないのか?
ふぃんふぃんの老いがかなしい。

診察台にキャリーから出されると
ブルブル震えて、よだれが出はじめた。
ものすごく怖いのだ。
できたら病院へ連れていきたくはない。
4センチくらいの注射針がずずずずずっと刺される。
好きになるワケないよね。
明日はちゃんと食べられるようになるからね。

牙のない口から、しょっちゅう舌がはみ出してしまう。
猫用入れ歯はないものね。

昼のカーラジオから流れた川柳。

  歯がなくてくいしばることできません

  そうでっかそうでんなぁで70歳

力の抜けた良い生き方かもと
仕事移動中、思わずニタニタ顔になった。
猫は元来お気楽そうに見えるけど、猫にも老境ってあるのかな?
  



『個』から『公』へ教育基本法

2006-12-16 06:49:55 | Weblog
改正教育基本法が参院可決・成立 59年ぶり初の見直し(朝日新聞) - goo ニュース

数には勝てない。
本当に議論はし尽くして59年ぶりの改正だろうか?

やらせタウンミーティングは思想操作くさい。
『公さま』『お上』にさからえない時代に
逆戻りの恐れを感じてしまう。

確かに『個の主張』ばかりで『おもいやり』を知らない
子とその親を最近よく見かける。

わが職場に居るシングルマザーのケイタイが
ほぼ毎日終業30分前に鳴る。
受ける彼女の声が急に甘くなる。

  どうしたの?
  なにがかなしいの?
  ママが悪い子、叱ってあげるから。
  なにかおみやげ買ってかえろうね。
  マルコちゃん何がいい?

学童保育所から自宅に帰った子供から
一日の泣きが母親の帰宅を待てずに送られてくるのだ。

保育園に長く勤めている同級生が
『我が子しか・かわいくない』が露骨で
もう幼児の親世代は宇宙人だと言っていた。
どうやら
職場の彼女が特異なママと言う訳でもなさそうだ。

これは『個を尊重する』教育が
『ほんとうの個を尊重する教育』として
実をむすばなかった結果で
『公を尊重』で正常化することとは
まったく視点が違っている。

『個の尊重』とは

  自分の『個』を大切におもうから
  他者の『個』をも尊重すること。

人それぞれを認め合うことを忘れて、
『公の尊重』が前面にでれば
ますます頭で考えない
指示待ち人間ができそうな気すらする。

いじめは
付和雷同性や強い力に逆らえない構図から発生していないか?

もうひとつ気になるのは
『個の尊重』の『個』にはそれぞれの『障害』も含まれることだ。

みんなひとりひとりの
個を尊重されてはじめて

とくに
見た目に分からない
発達障害児・者は
生きていける居場所が確保される。


ここのところ弱者へのしめつけ感ばかり目につく。
自立と名前だけ付けられて
自立のための支援もできない内から
障害者へお金の負担だけ要求してきている。
介護保険もお金がなくて自己負担が増える一方で
実際にサービスが使いたくても使えない人が出てきている。

ちゃんと働いているのにと言うおもいがこもった
ワーキング・プアなんて新語が聞かれる。

たとえ正社員であっても
公務員冬のボーナス額の何分の一のボーナスを手にして
民間だから出ただけマシと
懐寒い年越しの人もいっぱいあるだろう。

財政建て直しという消費税アップ等の弱者に重い改正が
教育基本法の次にひかえている。

同時に防衛省法も可決した。
海外派遣は任務に昇格。

この度の賛成多数・可決・成立には胸がざわつく。

力には力と言う
おろかな戦争の準備にまっすぐ進んで
お上には逆らえない国民性を作り上げるような
きな臭さ。

数で押して
なんでも議論適当で可決してゆきそうな
先行き不安。

どうぞ
『公』に
弱者やちいさな声の『個』が
飲み込まれる日が来ませんように

女シングルのエール交換

2006-12-15 22:41:45 | Weblog
朝のゴミ収集場所に
両手に生ゴミの袋を重そうに持った
女性が近づいてきた。

小柄で相当、無理して持っているように見えた。
眼鏡なしの裸眼では
薄ぼんやりしか顔が判別できないが
町内の人である事は間違いないから
『オハヨウございます』
と頭を下げて上げたら
目の前に
息子の同級生のお母さんの顔があった。
しかも未亡人の先輩になる。

彼女は
息子と同じ歳の子供さんが中学2年生の時に
病気で夫を亡くした。
中1男の子と小6女の子と3人の子供さんと残された。

彼女の息子はウチの息子はずっといじめていたが、
お父さんの死後、突然、不登校になってしまった。
中学の卒業式には本人欠席のまま
彼女が着物をきちんと着て
卒業証書を代わりに
受け取り来たのを覚えている。

シングルでの子育て、生活を担うこと、
細身な彼女の踏ん張りの時期は過ぎたのだろう。
今朝の顔は朝日があたっていた所為もあるかもしれないが
輝いていた。

出勤前の化粧をほどこした顔は
こげ茶のジャケットと中のピンクのインナーが良く似合ってて
あの卒業式の時から10年が過ぎたようには
見えなかった。
むしろ、うんと若く見えた。


いつもいじめていた子の親と言う恨みはない。

私が6年遅れでシングルになって、
ストレスからハラハラを髪を失って家にこもっていた時、
元気が出る様にと黒酢を持ってきてくれた。

おなじ独り身の気持は
ツーカーで分かるから。
みんな過ぎてきた、
通ってきた道だからと。

息子さんは高校へ入学して数日で辞めて
長く自宅にこもった後
やっとアルバイトに出られるようになったその時話を聞いた。
我が息子も
当時いっぱい驚かせてくれていたものね。


  いまから出勤?

  うん、これから。

  元気そうね。

  なんとかね。

にこにこっとホンの1分。
なんだかねぇ~なんだか通じあってしまった。

私も彼女みたいに輝いてみえたいから
今日はシオタレ顔はやめておこうと言う気になった。

早い遅いはあっても
平均寿命は女の方が長いのだ。
シングルになる時期がちょこっと早かっただけ。

まめな連絡や出会ったりがなくても
あの人、この人、
早めシングル同士は
どこか心の手を繋ぎあって
励ましあっている。

同志って感じかな?

まだ縛りのある現実

2006-12-13 08:32:07 | Weblog
   身体拘束はイカン!

こんな常識以前のことがまだ公然と病院でされている。
家族から拘束の同意書を取るんだろう。

連れ帰っても介護の手がない。
医療の必要があって病院へ来ているのに
追い返されても困る。
家族は泣く泣く同意書にサインするしかないだろう。

研修から帰ったら入院した電話が入った。
家から近い病院だった。
家族は帰られているかもしれないけれど
様子が気になって、病院へ急いだ。

もう閉まっている総合病院の救急窓口から入る。
緊急入院患者や急患であわただしい。
落ち着くのを待って、夜間窓口で病室を訪ねる。
G棟5階の5**号室。
迷路のような病院で書いてもらった病室番号を頼りに辿り付いた。

4人部屋。
ドアがオープンの病室の廊下側に名前があった。
カーテンも開いていた。

声をかけたら私が分かる。

 早く帰りましょうね

と言ったら

 もう帰られない

私のバックが強く引かれた。
とっさにバックを見たら
ベット柵に手首が縛り付けられてもがいて
私のバックを掴んでいる。

反対の手首もそっと見ると同じく縛られている。
ベット横には剥き出しで紙オムツの封の切られた袋が転がっている。

この方は失敗があってもふらついても
自力でトイレに行かれていた。

口が渇いている枕頭台に吸飲みが置いてある。
バックを握りしめた手をほどいて握ってあげる。
口にお茶を含ませてあげる。

私が居ることが
情けなくなる興奮を誘発しそうで
早々に退散する。

ナースステーションにも声がかけられない。

ヘルパー派遣時間には
タクシーでパチンコと言う不在常連という
自由奔放な人だけに、
縛られてまでの点滴が本人の意思なのだろうかと
悔し涙の必死の顔が拭えない。

老いのむつかしさが目の前に突きつけられている。
彼は94歳。認知もないしっかりした人だ。

私が94歳でもし、縛られている立場なら…

人間の尊厳を失わない医療、介護は
いつ実現できるのか、実現なるのか?
大きなため息が出て、背中が丸まってしまった。

彼の苦痛が目に浮かんで眠れないからまた薬のお世話で寝た。
薬が効き始めた頃、メールの着信バイブ。
清水寺の今年の字は

   『命』

だと、京都の友だちからだった。
清水さんで私は何て書いて投函したっけ?


介護に医師の目が向く日

2006-12-13 06:37:06 | Weblog
朝、ブチブチ医師との連携のが少ない介護保険の現状を書いて
研修に臨んだら
医師主導で行われるカンファレンス(サービス担当者会議)
テレビと同じ尾道の例がプリントで配られてきた。

会議場所は病院。時間は15分と決めて行われているそうだ。
全国的に珍しい、先進的取り組みと言うことだろう。
場所が病院なので、
本人が萎縮して本心が出にくいデメリットもあるそう。
自宅が良いことも、人が来ることを嫌がる人も
カンファレンスは場所だけでも設定に悩む。

ウチの近郊にも医師によっては、
積極的にケアマネにコンタクトを取ってくる人もあるそう。
たまたま研修で同席したケアマネが
総合病院で二人の医師同席の会議を開いたそうだ。
忙しいのにと文句を言う医師をもうひとりがたしなめていたと
話していた。

事態は変わってゆくだろう。
医師でケアマネの資格を取るひとも今年の中にも居たし、
医師会からケアマネタイムと言う
医師と面談できる時間指定をしてたプリントももらってはいる。
該当の医師数が少なすぎて、
私の担当するからの主治医はひとりもなかったので失念するところだった。

ひとりの人を診る。看る。
同じ目線でその人の人生の応援団であることに変わりはない。
看ると診るが手を携えるための架け橋に
介護支援専門員の制度が本当は出来たんだけど、
まだ、うまく機能しているようには思えない。

まぁ~ぼちぼちでしょう


10時10分が書けますか?

2006-12-12 06:34:52 | Weblog
認知症の早期発見、早期治療のとりくみが尾道でされているという
NHKの番組を見た。

認知症検査に独自の時計を書いてもらう方法をやっていて
へぇ~と感心。
アナログの時計に長針、短針を10時10分に書いてもらう方法で
正しく書けない人は認知症と認められるそうだ。
どこにも専門医は少ないらしく
調べるのは一般の開業医だったり
地区の民生委員さんだったり。

思わず私は書けるかしらん?
と、少々不安になったり

その後どうなるの?
分かった後の取り組みとして

ケアカンファレンスと言う、介護保険で義務付けられている
その人に関わっている人たち、本人が担当者が一同に会しておこなう
会議が映し出された。

思わず、

  稀な例だろう?

とつっこみを入れたくなった。
日本語で言えば、『サービス担当者会議』と言うこの会議に
医師参加が義務付けてあるが、
ほとんど抜き。
と、言うか介護保険を医師は関係ないと分野と認識されているような?

会議の招集はケアマネが行う。
こう言ったプランで介護してゆきたいと思いますがと
本人や家族の意向を取り入れたケアプラン原案と言うのを
作って、みんなに事前配布。
日時場所も決めて、会議のご案内をする。
これない人は原案に意見をちょうだいねと言う用紙も
つけて普通、FAXしている。

医師からは日時場所指定が失礼であるとお怒りを喰らったり
無視と言うのが多くて
先輩諸氏から、医師はカットでと申し送りを新人の私は受けた。

本人、家族がやってくることも稀。
介護サービス担当者も揃わないこともある。
一同に会す時間がない。
本人の家に出向くのが一番良いだろうが、
これをうやっていると実務に支障がでるだろう。

ケアカンファレンスは総会のシャンシャン決議に近い。
だいだいケアマネが作った原案にケチが付いたことがない。
一同、顔あわせ、意思と介護の方向性の見極めには役立っているのかも?

この番組では医師がちゃんと出席して、討論がなされていた。
形骸化してはいけない部分だけれど、現実問題、形骸化している。
ほんとうはこうでなくちゃ。

招集は
一番、人を呼びつけると怒りを感じる医師に義務つければ
まちがいなく医師込みで会議が開けると思うけどね。

この認知症方はもと校長先生だから、
何か人の役に立つことをお願いする方法で、頭からしてもらうは外してと言う
方法でデイサービスがアプローチしてみては?

と、医師からの意見が出て、
抵抗があったデイサービスで落ち着きを取り戻し
家でも落ち着いて、自分らしい趣味も復活と

めでたし、めだたしで終ってした。

医師の意見として会議に欲しいのは医学的見地。
その人の前歴を把握して、
受けれていないデイサービスがあったら、
デイサービス側に問題だろう?
こういう意見は介護職から出る方が自然な感じ。

10時10分を書くところまでは
ほぉ~と感心してみていたけど
これって介護保険サービスの誤解を招くかも?

と、思っていたら
あんな会議がしていただけるのならと
さっそく仕事依頼の電話が事務所に入った。

介護認定がまだだそうで、家族への迷惑度でしかみない
介護認定では『自立』判定のおそれありと
担当になった者がぼやきつつ
認定の手続き代行をしていた。

テレビの影響は大きい。
本当のことはおもしろくもおかしくもなく
目を惹かないから
番組にもならないのかな?







心療内科   池見 酉次郎著

2006-12-11 08:03:06 | 
心療内科

中央公論社

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今、心療内科で本の検索をしたら63件Hit。
夏樹静子さんや志茂田景樹さんの著書もあり驚く。

この地味な本は息子の話をした時に
会社から行かされた研修で役立った本にであったと
中間管理職年齢の男性から教えられた。

川柳大会からの帰り道のことで、
わざわざ私に読ませたいと
夕闇迫るころで同乗の他の人たちに申し訳ない思いがしたが、
本屋まで回ってくれた。
残念ながらその本屋にはなかった。
厚意にむいるべく、またAmazon購入。

中公新書は字が小さい。
活字が老眼対応ではない。
グスグスと枕元に数ヶ月。

最初にやたら実験データ表や脳の図や
人体患部写真とかバリウムを飲んだ胃の写真とか
理数脳でない私はかなり引いてしまうページが続いた。
そう言えば、推奨の彼はエンジニアだった。

初版が1963年。私の手元にあるのが2004年再版。
長く読まれている本らしい。
この本はたしかに少々、内容が古めかしい。
古い人間の私にはなつかしい価値観だったりもしたけど。
女は家って時代背景がちゃんと出ていたりする。
著者が男性だからこのあたり無意識なんだろうなぁ~

アレルギー諸症状と心の病の結びついた症例がいっぱい出ていた。
アレルギー疾患は私も数々持っている。
症例が他人事ではないわけで

そうか心因性のあれこれが、体にこう影響しているのね
ふむふむ~と納得させられるが、
当時、高機能自閉症は知られていなかったっけと
息子の事にたち返る。

息子はあちこちの心療内科で統合失調症と診断された。
たまたま子供の時にかかっていた精神科医から
アスペルガー症候群と診断が下るまで、
薬を飲まないから廃人になるとその心療内科で脅かされ続けた。

私が円形脱毛になった時は心療内科でトウキシャクヤクサンポウ言う
更年期障害の薬が処方されたのみで
局所免疫療法をしてくれる皮膚科を紹介された。

精神科と言うより、
受診しようというハードルが低いのだろうが
どこも最近は大盛況で、待つことにくたびれる。

病院周りをする前に
胸に手をあてて、
心の悲鳴をよく聞いて、
ストレスをシッシッシとおっぱらってみてからにしようかなと。

ほんとにどこの科も人だらけ。

自殺予防番組で内科医が

 働き盛りの男性が病院にやってくる事自体、
 そうとう追い詰められているんです

確かに。
健康保険証の扶養でなく本人になってから
私もとんと病院に行けなくなった。
よほど重篤な気がして検査を受ける気構えでないと
1日がかりの時間が取れない。
つぎの検査日の指定を受けたきり、と言うのもそう言えばあった。
歯医者も途中でやめている…

番組で
3分診療では見えてこない本音と言われたけれど、
心療内科、メンタルクリニックの看板を掲げていても
患者が押し寄せていれば、3分にならざるを得ないと思う。

息子が行っては逆に落ち着かなくなる心療内科があった。
家から近いので不調になる度に足が向くらしかった。
一度、医師と話さねばと朝、時間休を取って、予約して出かけた事がある。

 オタクの息子さんみたいに重症患者は
 ウチへ来てもらっては困る。
 ウチも客商売ですから。
 
 ただちに入院施設のある精神科に回って下さい。
 息子さんみたいな人が来るから
 ワタシも薬を飲んで仕事をしているんです!

なんと45分も、朝一の診察室で押し問答をやって
待合室に出たら
ものすごい患者さんが待っていた。
エキセントリックな女医だった。
ワタシの一言一句が彼女をエキセントリックにしたのか。
医者はプライドをキズつけられると決まって怒りだしだっけ。
医師と患者は対等と思うのは患者の側だけらしい。
もう息子も救われないと気が付いたか、行かなくなって久しい。
お互いメデタシ、メデタシ?

医師も人間。患者も人間。
ふと、医師が信頼できれば、
薬なしで治ってしまったりしそうな気までしてきた。

本の話を書くつもりが、心療内科経験談になってしまった。
巻末に自律訓練法が出ていた。
息子がカウンセリングで習ってきたのと同じ方法。
私も試みたけれど、なかなか難しい。
またやってみようかな?
寝てやっても、座ったままでも出来ると書いてある。


  目を軽く閉じて

  右腕がとても重たい
  右腕がとてもあたたかい

  心臓が静かに規則正しく打っている
  楽に呼吸をしている

  胃のあたりがあたたかい

  頭が涼しい







ちいさき者へ   重松 清

2006-12-10 18:16:36 | 
小さき者へ

新潮社

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娘が夏の帰省時に置いていった文庫本。
新幹線の友に彼女はいつも文庫本を携えているらしい。

重松 清氏は岡山の生まれとある。
同じ瀬戸内。描かれている風景や方言にも親しみがわいた。
6つの家族ものがたり、あるいは父と子のものがたり。

最初の『海まで』は東京から父親の故郷へ帰省する話。
母と孫にあたる我が子との狭間、
嫁いあたる妻の反応と微秒な思いのズレがおもしろい。

故郷でひとり暮す母の意地と老いと。
同じ孫でも可愛い孫とそうでない孫とへの露骨な祖母の接し方と。
あるある。

長男である兄ばかり可愛がる姑のことが頭をよぎり
故郷に居る母と兄の暮らしが気がかりで
多少の義務で帰省しているだろう娘が
どんな思いでこれを読んだのだろうかと思ったりもして。

『団旗はためくもとに』はあの大学構内で学ランで
  オース!
と言う不気味だと思っていた集団のスピリッツみないなものが
中年になった父親像からやっと今頃なっとくした。

あのオース!と言うダミ声は

  押忍

と言う意味だったのね。

『三月行進曲』は少年野球の監督で女の子の父親の話。
仕事も忙しいのに、家庭もかえりみず
少年野球監督をしている夫を持つ知人の愚痴がよみがえった。
そもそも体会系と無縁の学校生活を送った
運動オンチなワタシにはもともと理解し難い世界だけれど
中年の哀愁とともに
不可解なおじさん心理をちょっぴり分かったような気分になれた。

一番、印象に残ったのは題名にもなっている『小さき者へ』
登校拒否気味で保健室登校している息子が
家庭内暴力まで引き起こしはじめ拒否されている父親の話。

息子が買ったビートルズのアビ-ロードから
かつての自分を思い出し
息子へ手紙を書き始める。

思わず重松氏の生まれ年を確認したが1963年生まれ。
時期遅れで田舎で中学校時代にはやったとあり納得する。

自分自身の父親との関係など回想して
自分のダメだったその頃をさらけ出している。

そして
一流大学を目指して、
一流といわれる企業に就職して
ブルーカラーの父親とは違うあこがれのホワイトカラーとして
一生安泰と思って生きてきたところ
その会社か早期退職を迫られて
自分の拠り所を今さら模索する。

価値判断基準がボロボロと崩れている
ものすごく今風。

いじめは昔からあった。
子供のいじめ自殺や家庭内暴力や不登校にならなかったのはなぜだろう?

なんだか哀しいお父さんの話ばかりで
お父さんは家族をひっぱる『青あざのトナカイ』という言葉が
また切ない。

我が家では青あざのトナカイさんががんばり過ぎて他界して
ワタシちょっぴり
青あざのトナカイPart2を仰せつかってしまったような。

トナカイさんの気分も案外悪くないかな?
と、言う気分の今日この頃。
ワタシ少しオヤジ化してきたかな








  

『自閉症だったわたしへ』読みました

2006-12-09 08:45:15 | 
Blogを開いていなかったら、読むことのなかった一冊だ。
稚記事にコメントを置いてくださった方々のおかげ。

 どうもありがとうございました

題名から私は大きな誤解をしていた。
本屋にも並んでいて見知ってした本でもあった。
『自閉症だった』とはもう過去の事で
世に多くある
『病気克服本』だとカン違いしてしまっていた。

読んでわかった。
『自閉症だとわかって自分を書き付けたわたしへの手紙』
を簡略に
『自閉症だったわたしへ』
と訳本名になったのだ。

原題は

 ”NOBODY NOWHERE”

英語は苦手だからあとがきの訳に頼ると

 自分は誰と言うわけでもなく、
 どこに居るというわけでもない、
 名前も居場所もない幻の人間

と書いてある。
最初の詩にある言葉だ。

 ひとつも窓のない部屋で、影たちだけに囲まれて
 君がじっと立っている・・・
 ・・・
 きみはあたかも、名前も居場所もない幻の人間

なんと哀しい表現だろう。
実体のある生身の人間である自分を『幻の人間』なんて。

作者ドナは虐待を受けて育ち、
働ける年齢になったら自活自立生活をはじめている。
現実にあったとは思えない
まるで自閉症者のサクセスストーリー。
途中、うっかり小説を読み進んでいるような気持もなった。

しかし
心身からあたたかな鮮血が飛び散ってくるようで
簡単にすすすっとは読みとばせなかった。

自閉症者であるがゆえの
物の感じ方、受け取り方、対処の仕方には
マーカーしながら
同じ箇所をくりかえし、くりかえし読み返し、
立ち止まりつつ読みすすんだ。

要所要所で不思議に
本人は救いだとは思って居られないかもしれないけれど
良い出会いのある人にも思えた。

 大学で学ぼうと思うきっかけを作ってくれた精神科医のメアリー
 26年間の軌跡を書き綴った原稿を出版へと導いた児童精神科医

息子を見ていて
時にラッキーボーイだと思うことがある。
あれだけの不敵合部分を持って
たしかに傷ついて、苦しんで日々過ごしているけれども
大きな詐欺にもあわず、大きな暴力にさらされることもなく
なんとかここまで来た。

学校生活は順風満帆ではなかったけれど
見捨てない教師にもであった。
ひとり暮らしの大学生活をなんとか支えてくれたのは
大学のカウンセリングルームや事務の厚生部。
24時間直通電話対応のあった町の精神科。
終電で見知らぬ町に降りて110番通報して
パトカーで助けてもらった警察。
戻ってくる落し物の数々…

不運も幸運も同じだけ人には与えられて『生』があるのかな?

ドナが自分のために、
自分は精神分裂症じゃないと、自分自身を書き付けた
文章がこうして、日本語しか理解しない私に届いて
私の心をざわめかしている不思議。

  けっして幻の人間ではない証拠だろう。

この先、彼女がどう言う人生を送ったのか、気になって
『自閉症だったわたしへ2』『自閉症だったわたしへ3』
をさっそくAmazon購入。

我が息子を理解するためにも、彼に近づくためにも
そして
自分が大きな誤解を生じやすい、
キメツケと思わないキメツケをしている駄人間である事を忘れないためにも
手元に置いておきたい本になりそう。