私は、中国共産党を社会主義・共産主義をめざす勢力としては、あまり信用しておりません。それは、中国共産党政権が1989年6月4日の天安門事件に対する真摯な反省を欠いているからです。
1989年6月4日、中国の天安門広場に数万人の人々が集まって中国の民主的改革を要求して声をあげました。これに対して中国共産党政権は、一方的に「反革命」と決めつけて武力弾圧に打って出ました。もし、天安門広場であがった声が「反革命的」であったとしても言論と非暴力を前提とした運動に対して武力弾圧を以って非武装の人民を殺傷することは、社会主義運動のあり方とは無縁です。天安門事件は、中国社会に大きな傷跡を残しました。25年前とくらべても現在の中国では、民主化の運動が衰退しているという報道すらあります。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0EF0L420140604?pageNumber=1&virtualBrandChannel=0
中国共産党政権は、小平らが提起した改革・解放路線に基いて市場経済を活用して特色ある社会主義を進めるとしています。それぞれの国々には固有の歴史があるので、一言社会主義といっても確かに多様な道筋があります。同時に、社会主義の原則は、労働者階級が主人公の社会をつくり、搾取と抑圧の根絶をするめることにあります。したがって、自由と民主主義を擁護して言論に対しては言論で対応することは、社会主義の最も基本的な原則であり、非武装と非暴力を前提として言論で声をあげた人民を武力弾圧することは、社会主義の原則から真っ向から反します。天安門事件における中国共産党政権の所業が社会主義と相容れない蛮行であることは明白であります。
天安門事件に対して中国共産党は未だに反省をしていません。実際に2010年にノーベル平和賞を受賞した劉少奇氏が2008年に『08憲章』を共同執筆したことにより逮捕・投獄されて未だに収監されています。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik10/2010-10-09/2010100901_06_1.html
中国共産党政権は、経済発展を推進してきたものの国内政治のあり方としては人民抑圧政治の傾向を、国際政治に対しては南シナ海南沙諸島問題に見られるように覇権主義の傾向を強めています。日本共産党は、2014年1月18日に採択された第26回大会決議において社会主義をめざす国をどう見るかの問題で以下の通りに述べています。
『そこには模索もあれば、失敗や試行錯誤もありうるだろう。覇権主義や大国主義が再現される危険もありうるだろう。そうした大きな誤りを犯すなら、社会主義への道から決定的に踏み外す危険すらあるだろう。私たちは、"社会主義をめざす国ぐに"が、旧ソ連のような致命的な誤りを、絶対に再現させないことを願っている。』(日本共産党第26回大会決議)
http://www.jcp.or.jp/web_jcp/html/26th-taikai/20140118-k26th-ketugi.html
中国の状況には複雑な事柄が数多くあるとはいえ、国内に対して人民抑圧政治の傾向、対外的には覇権主義の傾向を続けて、あるいは強めていけば、中国共産党政権は中国社会を社会主義とは縁もゆかりもない社会へ本格的に変質させていき、人民から棄てられて体制崩壊を迎えて政権を手放すようになるでしょう。天安門事件に対する真の反省なくして中国共産党政権が社会主義への前進を進め続けることは、望むべくもないことを私は明確に述べてこの記事を締めくくります。