愛と情熱の革命戦記

猫々左翼の闘争日誌

ウルトラマンは、正義の味方面(づら)した殺戮者である

2014年06月03日 11時54分16秒 | 戦争のない世界をめざす

 ウルトラマンは、本当に正義の味方なのか?とかく悪役にされがちなバルタン星人だが、彼らが地球へやって来たきっかけは、宇宙旅行中に故郷の星が核実験で滅亡してしまったために帰る場所を失ったことにある。バルタン星人は、移住先の星を探している最中で地球を発見して、地球が移住先として相応しいこと及び故障した宇宙船の修理の必要性に迫られて地球へ来た。バルタン星人の一人が人間大の大きさになって宇宙船を降りて地球人側と移住に関する交渉を始める。そこで地球人側のイデ隊員らがバルタン星人の20億3千万人という数にうろたえたり、ハヤタ隊員に至っては火星に住んだらどうかなどと無責任なことを言うので事態がややこしくなり交渉が成立しなくなり、しまいにはブチ切れたバルタン星人が巨大化して暴れ始めたわけだ(ハヤタ隊員は、地球の環境に適した体を持つ知的生物が火星に住むには適さないことも分からずにバルタン星人に火星へ住むことを勝手に提案するのだから救いようのないバカだ。)。

 巨大化して暴れているバルタン星人をウルトラマンが倒すことをやむを得ないと考えたとしても、問題はその後だ。ウルトラマンは、バルタン星人1人を倒した後、バルタン星人の宇宙船を探しだして、これを宇宙空間へ運んだ後にスペシウム光線を放って爆破した。この宇宙船には、20億3千万人のバルタン星人が乗っていた。宇宙船に乗っていた20億3千万人のバルタン星人は、宇宙旅行中に故郷の星を失った流浪の民である。しかも、宇宙船の中にいるバルタン星人の多くは、バクテリア大に身体を縮小させて眠っている状態にある。従って、「地球をもらう」と言って巨大化して暴れ始めたバルタン星人の言葉は、バルタン星人全体の意思とは言えないし、宇宙船に乗っていたバルタン星人のほとんどは、宇宙旅行中に故郷の星を失うという災難に遭った民間人と考えられる。こうした事情をまるで考えずにウルトラマンは20億3千万人のバルタン星人が乗っている宇宙船にスペシウム光線を放って爆破したわけだ。当然、バルタン星人の殆どは宇宙空間で爆死した。

 さて、バルタン星人はシリーズを超えて何度もウルトラマンへの復讐を果たそうと地球へ来ている。そう、シリーズ序盤におけるウルトラマンの攻撃でバルタン星人が全滅したわけではなくて僅かに生き延びた者がいるわけだ。生き延びたバルタン星人が種族の意地をかけてウルトラマンへの復讐を果たそうとしていたのである。

 バルタン星人の立場から見れば、ウルトラマンは種族を滅亡寸前の淵に追いやった大量殺戮者である。最初に立ち戻って考えてみよう。バルタン星人の地球への到来は、宇宙を旅行している最中に故郷の星の滅亡を原因としている。従って、20億3千万人が乗っていた宇宙船は、戦闘用ではなくて旅客船と考えられる。実際に、宇宙船は、ウルトラマンによって掴まれて宇宙へ運ばれる際に全く反撃しなかった。バルタン星人の宇宙船は、非武装であるか、多少の武装をしていたとしてもたいした戦闘能力を持っていなかったであろう。なにしろ、あれは宇宙旅行者が搭乗していた旅行用の宇宙船だから。

 かくして、生き延びたバルタン星人の中からウルトラマンへの復讐を固く誓う者達が出たのである。


 ウルトラマンの姿は、日米安保条約で日本を守るかのようなふりをしていながら、世界中で紛争の火種をまき散らして暴力と復讐の連鎖を増大させているアメリカ合衆国とよく似ているように私には思えてくる。特撮番組の『ウルトラマン』では、地球にウルトラマンがいるために、地球は何度もウルトラマンを標的にしているバルタン星人の攻撃を受ける。これを日本と近隣諸国との関係に置き換えると、アメリカ軍が日本列島の各地域に基地を置いているために近隣諸国との無用の緊張関係をもたらしているというわけだ。こんな現実が見えてこないか?

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