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細田暁の日々の思い

土木工学の研究者・大学教員のブログです。

√2倍の意味

2010-12-23 16:51:00 | 人生論


よく私は1年で√2倍,と言います。すなわち2年で2倍。5年で5倍以上。
この数字は,畑村洋太郎先生の5年で5倍と,岡村先生の「人は2倍の負荷がかかると壊れるけど,1.5倍の負荷であれば伸びていく」の言葉から導き出した,私の経験的な数字です。

能力,影響力などなどすべてを包含した総合力が1年で√2倍以上になり得る,という考え方です。今でも正しいと思っています。

なかなか真意が伝わらないと思うので,今の私なりの解釈を示しておきます。

単純に能力が√2倍になる,と言っているのではありません。伸び盛りであれば,単に研究能力,仕事をこなす能力などが√2倍になる,ということもありえるかもしれませんが,この話は人生を通じての話です。さすがに能力が倍倍ゲームで伸びていく,というのは難しいです。

例えば,人間が謙虚になる,ということも総合力の向上に大きく寄与します。傲慢で,自分はよいと思っていても味方が誰もいない状況と,謙虚になってその人のビジョンに賛同する人が100人に増え,その人たちと連携して大きな仕事ができるとなると,総合力は簡単に2倍以上に増えるでしょう。そうすると,人生の難しさを知り,歴史の重さを知り,謙虚になることが総合力を向上させる大きな要素,と考えることもできます。

視野を広げることも総合力の向上には大きく寄与します。今の私の理解では,とにかく境界条件を小さく設定している人が多い。いまだに「アメリカ,中国」と言っている時点で,マスコミからの怪しい情報しか勉強していないことを露呈しているでしょうか。もっともっと本物の情報を自分で獲得し,多くの仲間から情報を入手し,物事の本質を見極められるように精進しないといけません。視野の狭いリーダーが下す判断ほど恐いものはありません。

ネガティブな人がポジティブに変わるだけで,総合力は大きくアップです。不健康な人が健康になるのもアップですね。

そう考えると,ほとんど全ての日常の行為が総合力のアップにつながり得ることが分かります。そうやって死力を尽くしてようやく1年で√2倍をクリアできます。

1年で√2倍を重ねていくと,2年で2倍。5年で5倍以上。

10年で25倍。20年で625倍。30年で1万倍以上。

どこまで行けるか分かりませんが,今の私が37歳。10年前は27歳で博士課程の3年でしょうか。そのときの総合力の25倍には達していると見て問題ないと思います。今から30年後,67歳で生きているのか何をやっているのか分かりませんが,今の1万倍の総合力をもし身に付けているとしたら,それは楽しそうですね。

ただ,ポジティブになるとか,健康になる,とかかなりの手段を使ってしまっているので,なかなか難しいかもしれません。もっともっと謙虚になること,視野を広げること,仲間を増やすこと,そしてもちろん,自身の能力を努力によって向上させること,でしょうか。


根本

2010-12-23 10:12:29 | 人生論
12月21日の研究会では,この国をどう良くしていくのか,という議論をしたわけです。いくつかの方向があろうかと思いますが,まあこの国を良くしたくない,という人はあの場にはいない。世の中には自虐史観で日本を悪くしたいという人も結構いるとは思いますが。

さて,ビジョンは同じように見えても,その根本が実は人によって大きく違うことを私は見抜いています。一番の根本は何なのか。政治が悪いからか,国のシステムが疲弊したことなのか,少子高齢化なのか。一番の根本はそんなところにはありません。

一人一人の意識の問題です。

今日,おいしいご飯を食べられる。大多数の人は明日も食べられる。おまけに21日は皆さんとおいしいお酒を飲みながら,国家の将来ビジョンを語り合っている。そんな幸せなことがどこにありますか。世の中には,今夜食べるものに困っている,食べられずに死んでしまう人も現実に存在します。水道をひねると温かいシャワーを浴びることなど想像もできないような環境で,動物のような暮らしをしている人が世界のあちこちに存在します。

日本人は感謝の気持ちを忘れていないか。これまで連綿と受け継がれてきた国の歴史があり,先人たちの汗と涙があり,我々は恵まれた環境で生きているのです。

少々のことで愚痴を言いなさんな。少しでも周囲に,社会に貢献できるよう,謙虚に,幸せを感じて,全力で努力しませんか。なぜ人任せにする。それが今の日本の現状の根本です。

政治も大事かもしれませんが,私は教育の問題だと思っています。

ちなみに私は,最悪の場合はさつまいもでも育てて,みんなでひもじい思いをしながらやり直せばいいじゃん,というところをベースに置いています。そう思えば,日々生きているだけでありがたいです。

私にできることなど限られているかもしれませんが,みんなで力を合わせればかなりのことができうると思っています。自分のやりたいことをやらせていただける環境に置いていただいて,本当に感謝しています。だからこそ,私は全力で今後も自分のやるべきと思うことを愚直に実行していきます。

世界の現状を知る,我が国の歴史を知る,自分の置かれた環境を相対的に観察し,そのありがたみを知る。それは読書によって達成できます。若者たちはそのために読書しなさい。人生を通じて最優先事項の一つです。

第6回の研究会を終えて

2010-12-23 09:23:58 | 研究のこと


「コンクリート材料-構造の最先端技術に関する研究会」の第6回が終わりました。「発注者の役割・技術力」と題して,山口県のひび割れ抑制対策,東京メトロの維持管理,青森県のアセットマネジメントについてご講演をいただき,強烈なエネルギー,メッセージが聴衆に届いたようでございます。聴衆にも多くの発注者(神奈川県,横浜市,JR東日本,NEXCO中日本,国土交通省,山口県,青森県,東京メトロ,などなど)がおられ,今後,大きな動きを展開していくためのきっかけの一つになれば,と切に願います。

建設マネジメントの第一人者の小澤一雅先生にも来ていただき,アドバイスや激励を多くいただきました。小澤先生は私の師匠の一人で,今後もいろいろとご指導いただきながら,日本をよくしていくための一翼を担えればと思っています。

小澤先生からは,この研究会のネーミングが実態を表していないのではないか,とご指摘を受けました。今回のテーマはとくにネーミングと合っていない,と私自身も思っています。第1回を立ち上げたときは,コンクリートの分野でも材料と構造の研究,実務が分断している実情を見て,材料も構造も連携して融合して,実務の難題に当たっていかなくてはならない,という思いでネーミングしました。

回を重ねるごとに,企画者である私の力量も変化します。当然にターゲットは,コンクリートそのものの研究から,マネジメントへと広がっていきます。最初からそのように思い描いてはいましたが,思ったよりも早いスピードで展開していっています。現時点でも将来的には,日本だけでなく,アジア,世界へ。コンクリートの研究からマネジメント,ひいては政治までも,と思っていますが,思っているということはいずれ現実になるのでしょう。

研究会のネーミングを変える,という手もありますが,やはり私はコンクリートにしっかりと足を付けた研究者,技術者,教育者でありたい。足元がふらふらとして,理念だけ先行するようないいかげんな人間になりたくない。そういう気持ちも依然として強いです。

というわけで,研究会のタイトルはしばらくはそのままに。

アジア,世界,マネジメント,政治あたりが中心話題になってくると,さすがにネーミングは変えた方がいいかも。まあそのとき考えます。

回を重ねるということはすごいことで,初めて参加された方はびっくりされたかもしれませんが,我々も運営側として慣れてきており,コツもわかってきています。最初からこのレベルのプロジェクトを実施することは不可能。今後も回を重ね,お化けのようなイベントに成長させていきたいかな,と思います。