Me & Mr. Eric Benet

私とエリック・ベネイ

山下家での元旦

2011-01-14 15:29:24 | 年末年始のPARIS
車を停めて降りると隣の石垣の上を太った猫が二匹歩いていく。
なついているので山下家の猫かと思ったら隣家の飼い猫とのことだった。
テレビで観た道が目の前に広がっている。
とうとう来ちゃったんだという想いで思わず顔が綻ぶ。

テレビでジョルジュ・サンクのシェフが門を開けて入っていった場所から、家へと進む。
ここはロシアの貴族の狩りをするための別荘だったそうだ。
白い漆喰の壁が周囲の風景に溶け込んでいる。
早速に出迎えてくれたのは二匹のレトリバー、12歳の優しくて落ち着きのあるハニーと、
どうして名前を忘れちゃったんだろう、もう一匹はいたずら盛りの2歳のお茶目なコギャルだった。
室内は昔のままの狩りの道具とかクローゼットのドアなどが古式ゆかしい佇まい。
外に向けて開かれる大きなガラス戸から下の畑と鶏小屋、ビニールハウスが見える。

バレリーナだったスタイル抜群の美しい奥様と7歳のお嬢さん。
フランスの女の子らしい雰囲気が可愛らしい。
「お正月だからお雑煮くらいご馳走させて下さい。」との言葉を本気にしていた私達。
奥のキッチンから良い香りがしてくる。
覗くとキッチンなんて物ではない、我が家の家全体ぐらいの広さがある。
映画に出てくるヨーロッパ貴族の別荘の台所。
広々とした二面に窓があり外の景色が臨める。

お雑煮、お餅は自家製、お米から米付き機で作ったものが焼かれて入っている。
出汁はしっかりと日高の昆布で摂られている。
その中に山下農園の京人参が。深くて濃い味がギュッと詰まっている。
カブは今は時期ではないとのことだったが、
トロっと煮てあるのに決して崩れずにしっかりとした触感を保っている。
赤カブのなます、酢の味が柔らかくカブの色が薄紅色に綺麗に出てさっぱりと口当たりが良い。
自家製のお味噌(これがまた絶品だった)に漬けて焼かれた鶏は旨みが強くジューシーだ。
その上に農園で取れた葱が炒めて乗せられている。
これもこちらのポロ葱ではなく日本のしかも京風の濃い葱。
鶏のレバーや肝を醤油ダレに漬け込み小麦粉を付けてコンフィした物、初めて食べる料理だったが、
日本酒にもワインにもぴったりな奥の深い味。
余りに美味しかったので、写真を撮り忘れてしまったのが残念。
フランスで東京にいるよりもお正月らしい料理、
しかもこんなに本格的なお食事ができるとは思ってもいなかった。
山下夫人、元旦に最高のお持て成しをほんとうにありがとうございました。

農園の窓から外を見ると夕方、5時半でも薄明るい。
朝は陽が昇るのが遅いが夕暮れは日本の方が早いのかもしれない。
ヨーロッパの丘陵地帯の陽が沈む様子はほんとうに美しい。
いつまでも観ていたいと思わせる瞬間だ。
東京だと黄昏時はどういうわけかもの寂しく感じられる。
ここの夏の景色や空気はどんなだろう。夏も来てみたいなぁと思った。
実現するだろうか、ワクワク。

ワンちゃん達、夕方になると落ち着きがなくなるのは日本の犬と同様。
お散歩タイムがやってきた。
リードを付けて近所を一回りというようなケチなものではない。
外に二匹を離す。
30分から一時間、好きなところを走って戻ってくるのだ。
頭の中のスケールが日本、しかも東京モードの私は「ちゃんと戻ってくるんですか?」と心配。
考えてみればヨーロッパには牧羊犬もいる。
自分が戻るどころか羊を追い羊舎に戻す犬もいるのだから、こちらの方が普通なのかもしれない。
好きなように野原や畑を走って生活できる、なんて幸せな犬達だろう。
これでこそ、大型犬に相応しいライフスタイルだ。
犬達がそれぞれ戻ってきた時にいち早く気づくのは山下夫人だった。
私も動物を飼ってきたからその気持ちはわかる気がする。

ハニーと☆

さてその日の夕食をパリ市内のレストランでご一緒することになっていた。
元旦に開いている店の予約を取るのはさぞかしたいへんだっただろうと山下氏に感謝。
車で凱旋門の近くのレストランへと出発する。


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