24日付けの朝刊にウオール街を標的にした格差反対デモのスローガン「我々は99%」の生みの親、ジョセフ・スティグリッツ教授が登場し、このデモの起因は「オバマ大統領のチェンンジに期待した人々の失望と不満、怒り」だと述べている。教授の指摘した点は「米国では上位1%の富裕層が所得全体の25%を稼ぎ、富の40%をしめる。25年前はこれが12%と33%だった。格差は大きく広がっている」
デモに長期間参加するには失業者であることが当然条件で、米国では若者の失業率は平均の失業率の倍の18%強だ。10代となると25%に達する。米国の運動にはAFL-CIO全米労組も支援にまわり、オバマ大統領の再選にむけて、右翼の茶党運動(小さい政府が理念)への対抗勢力にするのではと、ややきな臭い動きだ。世界各地でこの抗議運動は拡がり、日本でも東京でデモがあったと報道されたが参加者は500人程度とのこと、
スティグリッツ教授の指摘していることは裏返せば、社会の安定剤である中間層が収縮したことを意味する。中間層というのは若年で各種の教育訓練を受け、その後着実に職業経験を積み重ねてこそ創られる。世界的な傾向として若年者の失業率は米国のごとく、平均失業率の倍になっている。日本でも若年失業率は9%で平均の倍だ。EU-27国では若年者の失業率は2010年20.9%で平均のやはり倍だ。スペインの若年失業率は41.6%で、10%以下の国はオランダ8.7%、オーストリア8.7%、ドイツ9.9%の3カ国だけだ。意味するところはEUの大部分の国で、中間層の収縮が起こり社会が不安定化する予兆だ。
野田首相はこうしたことを意識したのかどうか判らないが施政方針演説で「分厚い中間層の復活で強い日本を創る」とぶち上げた。日本はEUと違い、失業率こそ低いが正規と非正規、男女間の賃金格差が大きく、この解決なくして中間層は分厚くならない。
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