行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

地方創生本部成功へのヒント

2014-09-16 23:04:27 | Weblog

かつて、一村一品運動とか、1億円ばらまきだとか何とか地方を活性化させたいといろいろ試みてきた。各地に道の駅ができたり、金の湯船を温泉地に作ったり、それなりの話題と成果を収めたが、長続きしないことや、雇用を生む効果が少なかったため、元の木阿弥となった。その間、中央政府は地方の陳情を受け、新幹線網を整備してきたが、東京一極集中を是正という(今回も)かけ声とは反対に新幹線の効果はまさにその逆だった。近々開通する北陸新幹線、富山での建設促進ポスターに「新幹線ができればバイオリンのレッスンも日帰りで東京で可能になります」というのがあったが、地方の活性化でなく東京一極集中が促進されることを意味する。富山のバイオリンの先生は仕事がなくなる事になる。

今回の「まち・ひと・しごと創生本部」は地方で雇用を増やすことが基本にならなければならない。それには東京でなく、地元でできることを増やすことが眼目だ。松下幸之助氏は一県一工場という理想を掲げ、松下電器の工場を全県につくることを目指した。家電品は国民が使うものだからブランド力を高めるには工場を日本全国津々浦々建設するという意気込みで1980年代までは成功だった。東日本大震災地に雇用を産むため、コールセンターをと、補助金を投入して民間企業を進出させたが、大部分は失敗して撤退を余儀なくされた。中央政府だけで考え、地元は期待だけという計画がずさんだったのだ。

雇用を増やすには地道な製造業や観光業が基本だが、諸外国ではオランダのチューリップとかフランスのシャンパンなど地方で一大輸出産業を育てた事例もある。松下の工場も相次いで中国など外国に移転しており、これを戻すには中央政府の戦略が必要で、新幹線建設を考えるくらいなら税制特区の新設など簡単だ。観光についてはオリンピック招致以来政府は力を入れ、外国人観光客は円安もあり、順調だ。東京、京都だけでなく温泉という日本特有のリゾートが全国津々浦々にあり、これを武器にしない手はない。要は雇用を増やすためにどんな戦略を立てるか地元を中心に考えることで、国家戦略はこれをバックアップすることに止める。

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