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シアター・ドラマシティで『昔の日々』を観て

2014年07月05日 | 観劇メモ
6月はタカラヅカはパスで、兵庫芸文センターでの『ビッグフェラー』『日本の面影』とドラマシティでの『昔の日々』の10日間に3本観るという怒濤の観劇ラッシュでした。

その3本中でヨメさんが一番期待していたのはもちろん最後の『昔の日々』。演出がデヴィッド・ルヴォーで、主演女優が麻実れい若村麻由美となればヨメさんだけでなく私も観たくなりました。(笑)

この女優二人の舞台を観るのは去年の『鉈切り丸』以来で、そのときはどちらもGood Job!!な出来でしたから、私も同様に楽しみにしていました。

そして『日本の面影』の感動も覚めやらぬ(笑)6月22日に、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティでの観劇となりました。

で、結果を先に言いますが、なんとも評価のしようのない、いや正確にいえばよくわからない作品でした。しいて言えば不条理劇かな(←何の説明にもなっていませんが、何かわかったようで安心してしまう言葉ですね(笑))。

というところで、まずはいつものマクラから↓。読みたくない方はどうぞ飛ばしてください。

昼食の時間を考えて、早めに地下駐車場に到着。エレベーターで劇場のあるフロアにあがり、誰もいない劇場入り口のホールから食堂街に向かおうとしたとき、黒っぽい服装の長身の女性と、そのお付きの人?らしい女性との二人連れが右方向からやってきました。

顔を見ると見覚えがあるような‥。
車椅子のヨメさんも同時に気づいて、すぐ名前を呼びかけていました。こういうときの彼女の反応はいつもほぼ延髄反射といっていいほど。(笑)
呼びかけられた件の女性、エスカレーターに乗りながら一瞬怪訝そうにあたりを見渡していました。こんなところで誰だろうという感じでした。ヨメさんがもう一度、今度は手を振りながら、「ワタルさ~ん!、応援しています!」と(ミーハー全開で)呼びかけたら、ようやくただの無害なファン(笑)と理解したのか、その女性はそれまでの怪訝そうな顔から、なじみのある笑顔に変わって、軽く会釈を返してくれました。
そうです、湖月わたるさんでした。私もヨメさんにつられて手を振ってしまっていたり。(笑)

思わぬところで、あの最多リピートした『王家に捧ぐ歌』以来、贔屓@我が家な一人になっていた彼女に出会えて、ちょっと得した気分になりました。春風弥里さんといい、偶然とはいえよく出会えたものです。
たぶん↓の関係で打ち合わせでもあったのでしょうか。




食事を終えて、また劇場前に戻りました。あのブラームスの例があったので、きっと今回の観劇もいい結果になるだろうと根拠もなく期待して(笑)開場を待ちました。

時間になって、劇場スタッフに案内されて客席へ。
席番は7列上手側と前回ほどではないですが、舞台配置の関係で上手・下手側は前から5列まで塞がれていたので、実質前から2列目の良席。横から見るとはいえ、まずオペラ不要でした。

舞台配置はこんな感じでした。↓<以下の画像はプログラムとパンフレットの画像をスキャンしています>


赤いじゅうたんの敷かれた正方形の能舞台のような形です。舞台奥には金属製のようなクモの巣の張ったグランドピアノや火のついた暖炉、椅子などが置かれています。ただし劇とは関係がなく、ただ置いているだけ。

さて、いつにも増して中身のない感想になります。(殴) いつものとおり敬称略です。
登場人物はこの3人。堀部圭亮若村麻由美麻実れいです。男優だけは知りませんでした。


原作はハロルド・ピンターノーベル文学賞受賞の劇作家だそうですが、近年亡くなられたとか。
そして演出はご存じデヴィッド・ルヴォー

でも、事前に上掲のパンフレットで、「美しくて不穏な世界をただ感じてほしい」とか「必要なのは直観的な感性だけ」とか書かれているのを読んで、一抹の不吉な予感もありました。
そして開演前に買ったプログラムには、わざわざ別刷りの劇の要約↓みたいなものが挟んであったりしたのも、なにやら難解さの予防線みたいだし。(笑)


でもここはエイヤッと、そんな雑念を振り払って、女優二人の魅力に期待して観劇を開始しました。(笑)
85分ノンストップの劇です。

3人の衣装はこんな感じでした。↓ アンナ役の麻実れいだけが赤い衣装。


話は堀部圭亮の扮するディーリィと、若村麻由美のケイトが住むマンション?に麻実れいのアンナが訪ねてくるところから始まります。
この3人の台詞は、いずれも饒舌でかなりテンションも高いです。初めのうちは、私もその膨大でとりとめのない台詞を追いかけて、なんとか話の流れをつかもうとしたり、本当にコーヒー飲んでるなとか感心したり(殴)していましたが、肝心の話の流れがいつまでたっても掴めないのです。
いろいろ3人が台詞のキャッチボールをしているけれど、どこか噛み合っていない。話の内容・脈絡・因果関係が分からない。その上、30年間というタイムスパンで現在から過去に突然行き来するので、だんだん疲れてきました。

先に紹介した、事前配布のあらすじの要約に書かれた3人の関係も、いつまでたっても見えてくる気配なし。大体会話だけ聞いていると、どちらがアンナでどちらがケイトかもわからなくなるほど。まあこの二人、本当は同一人物という設定なので、それでいいのかも知れませんが。

で私も途中で悟りました。というか諦めた。これは世にいう不条理劇。ハッキリした起承転結など関係なし。なので俗っぽい私の頭脳では理解不能なんだと。(笑)
それで、こちらもハラを括りました。台詞一つ一つの意味や繋がりを負うのは無駄、いわば即興で吐き出された散文詩みたいなもの。だから3人の役者の振る舞いや表情、姿態を見ながら、その詩を聞き流すことにしました。(そうはいってもどうしても意味を追いたくなりますが)

さて、3人の役者について。
まず若村麻由美ケイトです。
久しぶりに見る彼女は、私の脳内記憶イメージと違い、かなりポッチャリしてきているように見えました。でもヨメさんはそんなことはないと否定していましたが。ただ私はポッチャリ体型なほうが好きなので(だからタカラヅカの生徒がトップ就任後ガリガリになったりするとガッカリしますね)、好感度アップ!!(殴)。




だけど、話が見えないので、感情移入できないまま終わってしまったのが致命的に残念。

その分身であるアンナの麻実れい。




よく演技力のなさを批判する時に、「どの役でも役者が透けて見える」とか、「何をやっても同じキャラ」とかいいますが、麻実れいには当てはまりませんね。別格。
何もせず、ただ舞台に立っているだけで演技が成立している感じです。どんな役でも(さすがにトラックの運転手は無理な感じでしたが)自分のものにしてしまう。初めから宛て書きされていたような自然さで、いろんな役を演じ切っているのが彼女です。演出家は、麻実れいが地のままで演技してくれるからこそ起用するのだと思うのです。そしてそれが彼女のすごいところだと思います。とくにシェイクスピアものなど、余人をもって代えがたい存在ですね。

今回も極めて自然に舞台に登場して、この難解な劇をこなしていました。こんな筋書きがあってないような芝居で、膨大な台詞をよくまあ憶えられるものだと改めて感心しました。

そして両手に花(持て余しそうな花ですが)の堀部圭亮。初めて見ましたが、両女優に伍して、頑張っていましたね。ちょっと唐沢寿明みたいな感じで、台詞バトルに臆せず加わっていました。ただ、話はあくまでケイトとアンナのからみがメインなので、ちょっとしどころ無さ感がありました。



別の舞台で観られたら彼の持ち味もよく分かっただろうと思いますが。

で最後まで盛り上がりのないまま、フランス映画によくあるまことにあっけない終わり方でした。客席はとてもスタンディングとはいかず、「でも3人さん、よく頑張ったね~」的な拍手。入りも悪かった今回の公演でしたが、私たちもしばし無言のまま駐車場に向かいました。

という無駄に長いだけの申し訳ない感想になりましたが、ここまでご覧いただいた方には感謝の気持ちでいっぱいです。m(__)m


さて、次は雪組の感想です。久しぶり~に観た宝塚、かなり新鮮で、しかも芝居もショーも出来がよく、面白かったです!!



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