脳脊髄液減少症患者のつぶやき、「とりあえず、生きてみよか・・・。」

過去から現在へ、脳脊髄液減少症、体験克服記。

「悲劇のヒロイン症候群」のススメ

2011年08月19日 | 心の葛藤

 8月11日の読売夕刊記事「プラス思考 新たな目標へ」に関する、

私の激しい抵抗を

13日から

ここ連日書いてきました。

 

その、つづきです。

 

人が受け入れがたい現実や苦しみや困難から

再び立ち上がるためには、

その悲嘆に徹底的にひたる必要があると私は考えています。

 

それをおろそかにして、

一足飛びに、「プラス思考」をむりやり意識してもったって、

それは長続きしません。

 

プラス思考は意識して持つものでもなく。

ましてや、心まで病んだ人間が、

訓練や、感謝の心を持つことで、育まれるものでもないと思います。

 

まず、その訓練や、感謝の心を持つことすら、

ボロボロの心ではできないのですから。

 

そういった人たちにまず必要なのは

徹底的な「グリーフワーク」だと私は思うのです。

 

それなのに、

がんばろう!

前向きに!

プラス思考!

という考え方ばかりがもてはやされ、「それこそ回復への近道」だと思いこむ人の、いかに多いことか。

 

徹底的な悲嘆の作業の大切さ

グリーフワークの重要性」に全く気づいていない人たちが

いかに多いことか?

 

その人たちの求める本当の支援とはなにか

気づいている人たちが

いかに少ないことか?

 

医療関係者にも少ないのでは、全く嘆かわしいことです。

 

あの8月11日読売新聞夕刊「健康のページ」記事の、正直な私の感想は、

「あの記事に出てきた、患者も医師も、記者も、み~んなわかっていない。

悪気のない人生経験がたりない若くて幸運な人たち」ってこと。

 

いくら同じ病名の患者といっても、

いくら、患者を診た経験豊かで脳脊髄液減少症を「座学だけで詳しい」医者といっても、

 

脳脊髄液減少症の経験を自らしたこともない人には

脳脊髄液減少症の悲惨さ、苦しさ、理不尽さなんてわかるわけがないのです。

 

長く病名がつかない苦しみも、誤解にさらされ続け人生をメチャクチャにされた経験したこともない人が考えた

「プラス思考を育むトレーニング」なんて、

長い放置で、人生をめちゃくちゃにされ、心まで傷つけられた、私には全く通用しないのです。

 

通用するのは、スポーツマンか、

脳脊髄液減少症ではない、ふつうの人たちか

ほぼ、健康な人たちでしょう。

 

あの記事の

「プラス思考を育むトレーニング」に対抗して、

私の考えを

パロディみたいに内容を私向けにアレンジして書きます。

 

根底に流れるものは

「プラス思考のススメ」ではなく、

 

「一見マイナスの思考、マイナスの感情も含め、

ありのままの自分を受け止めること」のススメです。

 

さらに言えば、

ありのままの自分とは、嘆き愚痴り、悲しみ、うらみ、

一見、プラス思考には程遠い自分もありのままに受け止め、

必要なら、時には徹底的に自分の悲劇の人生物語の「悲劇のヒロイン、ヒーロー」にひたることのススメです。

 

自分の人生物語は、

自分が主人公にきまっています。

 

自分の人生物語で、自分が脇役なんてことはないのです。

物語のストーリーも、

主人公のセリフも、

誰にも文句言われるすじあいはありません。

 

 

いうならば、

立ち直るために、あえて

「悲劇のヒロイン症候群」に陥ることさえ否定せず、

徹底的に悲嘆の感情にもひたる

「悲劇のヒロイン症候群のススメ」です。

 

 ただし、

これはあくまで、

私という患者が今までの経験から考えた、

個人的な「自分の人生をありのままに受け入れるためのコツみたいなもの」であり、

 

多くの人たちに、「指導」するつもりも

「説教」するつもりも

「実践をすすめるもの」でもありません。

 

あくまで、参考までに

以下、

一患者の私による考えを書きます。

 

「理不尽な事故に加え、医師や周囲の無理解に何年もさらされ、

深く傷ついた心と体を抱えていても、前向きに生き続けるために・・・・・。」

T先生による、

 「プラス思考を育むトレーニング」に対抗して。

 

1.頭の中で、後ろ向きなことが浮かんだら、それを否定せず、言葉や文字にし、表現し

徹底的に自分の外へ吐き出し続ける。

 

そうすることで、自分の気持ちに向き合い自分と会話する。

 

2、落ち込んでいる時は、意識的に胸なんか張らなくてもいい。

猫背で机や床に突っ伏してもいいから、

ふとんにくるまってもいいから、

楽な姿勢で、

徹底的に落ち込みたいだけ落ち込む。

 

自分でもういいやと嫌気がさすまで、

徹底的に自分の人生という物語の悲劇のヒロインになりつくす。

そして、

「なんて自分はかわいそうなのだろう」と、徹底的に涙枯れるまで嘆き悲しむ。

 

気がすむまで、嘆き悲しんだら、ふと空を見上げる。

 もし、その時、わずかでも、

「自然はいつだって、どんな時でも

淡々を時間を重ねていること」に気づけたら、

 

自分も、その自然の一部であることにひたる。

 

自然の一部である自分も、淡々と時間を重ねるように生きていけばいいんだと

もし、わずかでも思えたら。

涙を拭いて、立ち上がる。

 

そして、今生きていることの奇跡とその喜びが少しでもわいたなら、

その小さな「生きる喜び」の火を消さないように持ち続ける。

 

3、できることと、できないこと、変えられない過去と、変えられる未来、が何かを、

ゆっくりでいいから、

無理しないでいいから、少しずつ考えていく。

 

脳脊髄液減少症で見た目どこも悪くなさそうな人間が

好きなことをすれば、

自分の好きなことはできて、そうでないやるべきことはできないダメなやつだと責められがち。

 

でも、かまわず、

自分がやっていて苦にならないこと、癒される、楽しいと感じることや

時間を忘れると感じることは

周囲の目を気にしないで、遠慮しないでやりつづける。

 

4、今も残る症状や、悪い情報ばかりに目を向けるのではなく、

以前よりもよくなった症状、それによりできるようになったことを、

書きだしたり、言葉にして、医師や家族や周囲に伝えることで意識すること。

(これだけはT先生と同じ考えだわね。唯一共通点があったわ。)

 

5、「感謝の気持ちは大切な前向き思考」というのは私は違うと思う。

逆だ。

「前向き思考になって心が少し落ち着いてきてはじめて、感謝の気持ちが自然にわいてくるものだ。」と思う。

 

だから、

苦しくつらい最中に、

無理に周囲に感謝の気持ちはもたなくてもいい。

 

心が癒され、現実を受け止められ、穏やかな気持ちになれば、

自分が生きていることへの感謝の気持ちや

周囲の人たちの支えに対する感謝の気持ちは自然にわいてくるもの。

 

それまでは、

自分の苦しみや悲しみで精いっぱいで、

他人のことなんか思いやれる余裕もないのがあたりまえ。

 

ましてや感謝の気持ちすらわくゆとりがない自分を

「ダメなやつだ」と周囲と一緒になって責めてはいけない。

 

そんな自分も、回復の一過程だとありのままに受け止める。

 

感謝の気持ちが自分の中から自然にわいてくるまで、

意識してむりやり感謝の気持ちは持たなくてもいい。

 

もし、感謝の気持ちが自然にわいてきたら、

そこまで気持ちに余裕が出たということで、心も回復し元気になってきた自分を意識し、

そんな自分をいとおしく思い、大切にする。

 

6、嘆き悲しむ作業は、決してマイナスなことではなく、

プラス思考になる前段階の準備期間、基礎づくりだととらえる。

 

落ち込んでいる自分を否定したり、そんな自分に自己嫌悪して責め、よけい落ち込んだり

周囲に励まされて、無理にプラス思考にしようと努力したり、

とにかく無理をしない。

 

感情には、悪い感情も、いい感情もなく、ありのままでいいんだと

受け止め、

 

周囲に何を言われようと、自分でだけは、ありのままの自分を肯定する。

 

ただ

自分の感情を出しても批判されたり、指導されたりしない、

ありのままの自分を出しても、ありのままに受け止めてくれる、

安全な人、安全な場を確保する。

 ***************

 

(私はわかっていない人がいれば遠慮しないで、伝えますよ。

脳脊髄液減少症治療にかかわる医師だろうが、なかろうが、

否定派医師だろうが、肯定派医師だろうが、

 

患者の実際の思いは伝えなければ、伝わりませんから。

患者の思いがよりよく想像できて、対応できる医師が

これから一人でも多く育ってほしいから。

T先生には、もっともっと脳脊髄液減少症患者の気持ちを理解してもらいたいから。)

(S記者さまへ

 

記者も、あんな記事を書くべきではなかった。

たとえ、先生がそんな言葉を実際に口にしたとしても。若いね、記者も。わかっていないね。

「訓練と感謝で育むプラス思考、。いざという時のために、心に備えておきたい。」としめて、

ビシッと決めたつもりでしょうが、

私はそのオチでガクッとしましたよ。

そんなもん、心に備えておいたって、いざという時はそれどころではなく、

実際は何の役にもたたないのを私は経験して知っているから。

あなたは今までの軽度外傷性脳損傷の取材から、今やっと脳脊髄液減少症の取材もはじめたばかり。

以前の軽度外傷性脳損傷の記事の方がむしろ、

患者の苦しみがダイレクトに伝わる記事だったのに。

 

脳脊髄液減少症の記事だと、なんでこうなるの?

何か意図があるの?

「脳脊髄液減少症患者の訴えは大げさだ。」とか、誰かに吹き込まれたの?

 

あの記事が、患者を傷つけることに気づかないようでは、

あなたは脳脊髄液減少症の患者の気持ちをまだ充分取材しきれていないのです。

あなたの理解はまだまだです。

 

これからももっともっと、重傷患者の脳脊髄液減少症患者の気持ちや、

ドクターショッピングを何年も何年も強いられたり、損保や加害者から理不尽なしうちにあった、交通事故被害者での脳脊髄液減少症患者の声もぜひぜひ取材してみてください。

自分の意思でやっていた好きなスポーツや、競技以外での

まったく自分には落ち度がない交通事故での脳脊髄液減少症患者も取材してください。

その患者が長期間受けた、理不尽な仕打ちもきちんと取材してください。

 

あなたの知る脳脊髄液減少症は、まだまだごくごくわずかです。

脳脊髄液減少症の全体像がつかめるまで、いろんな医師、いろんな患者の話を聞き続けてください。

よろしくお願いします。

事故後すぐさま、脳脊髄液減少症だと診断がつき、

自費のブラッドパッチ治療代が払えて、

一日3万円の個室代も数日難なく払って、無事治療を受けられ、

その上、症状がさっさと軽快したような患者以外の

 

自分には落ち度のない事故での脳脊髄液減少症を発症したのに、

その事故の後遺症だとさえ、認められず、

 

何の保障も受けられず、

 

働けず、怠け者扱いされ、

お金もなく、検査も受けられず、病名もなく、

自費の治療も受けられず、

周囲の理解も支援もない、

悲惨な状況の脳脊髄液減少症患者も、きちんと取材してください。

 

次回の記事が、より脳脊髄液減少症患者の実態に迫ることを期待してまっています。)

 

あの8月11日夕刊の実際の新聞記事には、こんなことも書き添えられていましたよ。

 

「医療に関する、体験、意見、疑問をお寄せください。

住所、氏名、年齢、電話番号を明記、

あて先は

〒104-8243

読売新聞東京本社、医療情報部

「わたしの医県」係

ファックス 03-3217-1960

電子メール iryou@yomiuri.com

読売新聞の医療サイト「ヨミドクター」にも掲載します。

紙面掲載分には図書カードを贈呈します。」ってね。

 せっかくそういってくださっているんだから、

黙っていることはないですよね。

 

みなさんも「わたしの医見」を伝えてみませんか?

読売新聞は最近、

脳脊髄液減少症に関心を持ち始めてくれていますから。

今がチャンスの気がします。

 

病人やけが人に対する、グリーフワークの重要性や、

支援者が患者に対して行うグリーフケアでは、高価な有償グリーフケアについて書かれたサイトしかみつからなかったので、

葬儀関係のページでのグリーフケアに関する記事は比較的ヒットするので、ここや、

ここにはっておきます。

大切な人との死別での悲嘆(グリーフ)を、

いきなりの交通事故によって、見えない脳脊髄液減少症になってしまったことで、失われた健康、

失われた人間関係、うしなった仕事、での悲しみと置き換えて考えるとわかりやすいかもしれません。

 

あと、日本ホスピス在宅ケア研究会のホームページの

グリーフケアの記述はこちら

 

もっと知りたい方は、ご自分で

「グリーフケア」や「グリーフワーク」で検索してお調べください。

交通事故被害者遺族の方のホームページでの

グリーフワークにかかわる記事を見つけました。

 

死別によって、残された人たちのグリーフワークにかかわる記事は

比較的見つかるのですが、

 

交通事故被害者自身のグリーフケアについて書かれたページは

みつけられません。

生きている交通事故被害者の支援って、

犯罪被害者の支援の一部に入れてもらうしかないから、

ここのページの団体の取り組んでいる、

グリーフワークに近いのかな?

それだけ、事故被害者の

この分野は未整備だということでしょう。

これからの分野なのでしょう。

ここの本屋さんに、グリーフケア関連本が置いてあるって。

 

 上智大学グリーフケア研究所

 

。「悲嘆について学ぶ」

 

ブラッドパッチ治療でさえ、健康保険適用がまだなのだから、

交通事故での脳脊髄液減少症を発症したうえ、さらに理不尽な目にあってしまった

被害者のグリーフワークに、専門家が関心をもって取り組む日は、

まだまだ先だろうなぁ・・・・・

脳脊髄液減少症の専門医が「悲劇のヒロイン症候群を乗り越えることが大切」なんて考えで「グリーフワークの重要性」にまったく気づいていないようじゃ、

脳脊髄液減少症患者のグリーフケアは先が思いやられる。

 

 

私の言いたいことを代弁してくれる

いい記事を見つけましたよ。

三年も前の2008年の神戸新聞記事です

「悲しみの社会で ブリーフケアの今」

こういう医師、こういう記者もいるんですねぇ。

 

日本グリーフケア協会 「悲しみを癒すためには」

 

悲嘆にくれる震災被災者へのケアとは

 

家族失った被災者のグリーフケア

コメント (13)
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