粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

シンゾーとバラク

2014-04-25 10:48:56 | 国際時事

昨日の安倍首相とオバマ米大統領による共同記者会見で、安部さんが何度も「バラク」と相手方をファーストネームで呼んでいたのに、オバマ氏からは最後まで「シンゾー」の名前は出てこなかった。ずっと聞いていてひどく不自然な印象を拭えなかった。前日の寿司屋での会談ではお互いフファーストネームで呼んでいたようだが。

テレビのコメンテーターが解説していたが、やはりオバマ大統領に「怒り」の感情が残っていたのだろうか。オバマ大統領は「尖閣諸島は日米安保条約の適用対象」であることを本人の口から率先して表明するほど日本を支持する配慮をしたのに、TPP 交渉では日本は譲歩せず頑な態度をとっているこへのいらだちだろうか。

「俺がこんなに日本の防衛のため努力しているのに、牛肉、豚肉の関税大幅引き下げも駄目、米自動車の規制緩和による輸出も駄目では、割が合わない」とオバマ氏は歯ぎしりしているのかもしれない。そこには今年の中間選挙で自分を支持する業界に成果を示さなければならなに厳しい事情があるのだろう。そう意味ではまだ安倍首相の方に余裕すらみえる。

しかし、実際3月頃は日米関係が靖国問題や慰安婦問題でぎくしゃくしていてアメリカからは安倍首相を右傾化した民族主義者とみなす空気が充満していたようだ。そして米政府による「安部下し」の露骨な動きがあったともされる。3月危機とも呼ばれるほどに安倍首相にとっては深刻な状況が続いたとのことだ。

ただ、そんな中ケネディ駐日大使が安倍首相と密かに対談して、首相が過激な民族主義者ではなく極めてノーマルな現実主義者であることをオバマ大統領に直接伝えたようだ。オバマ氏もそれを聞いて安倍首相への先入観を改めたという。(ニッポン放送「ザ・ボイス」青山繁晴氏の証言より)

オバマ大統領の改心?によって尖閣問題で日本を強力に後押しすることにもなったが、そこは政治家だ。自分の政治的な立場を維持することに汲々としており、「見返り」を要求する。しかし、今回それが芳しくなかった。前日寿司屋でケネディ大使とともに人生最高の寿司を舌鼓してご満悦だったが、次の日が少しご機嫌斜めだった。そんな複雑な心境が会見に現れたといえる。

「バラク「と呼んで悦に入る安倍首相、かたや「安倍首相」と呼んで冷淡さがどこかみえるオバマ大統領。今回の日米首脳会談では日本側が有利に進めたようだが、一寸先は闇だ。米政界には親日派と親中派はしのぎを削っていて裏で暗闘を繰り広げているといわれる。

ミシェル夫人の周辺にも中国人の影があり、今回の不同行にも繋がっているという。逆に3月の夫人の中国訪問は米国に留学中の習近平の娘が画策に動いたともされる。大統領の事務所にも中国系を2人抱えている。ケリー国務長官は中国重視が際立っているという。TPP交渉などが進展しなければ、オバマ大統領周辺で親中派は勢力を増して対日対中の力点が変化しないとも限らない。シンゾー、バラクと気遣いなしに自然と飛び交う日が来るのは期待したいが。

 

ブログ移行完了

2014-04-23 15:52:43 | 一般

これまで使用していたブログの運営会社「ぷらら」がサービスを6月一杯で終了するというので、「ぷらら」が推奨するgooに移行する作業を今月7日から始めた。しかし、なかなかうまく実行できずにいたが、やっと今日になって終了することができた。

旧ブログを始めたのが,2011年9月ですでに800回を記事をアップしてきた。それなりに閲覧数は増えてきたが、新ブログに移って閲覧は半分以下になった。まあ、これからもあせらず地道にブログを続けていこうと思う。

gooのブロガーは200万を超えている。「ぷらら」の100倍はいるようなので自分の順位はこの2週間では最高位が29,359位/2,011,778ブログ中というところだ。ワンオブゼム、その他大勢というところだ。富士山の頂上は雲の上、酸欠で呼吸困難にならぬよう肺活量を高めるしかない?

 

自主避難姉弟のPTSD

2014-04-22 22:33:26 | 過剰不安の先

福島県の避難区域でない地域から、県外に自主避難する家族は数万人いるといわれる。こうした家族は強制避難と違い、なかなか物心ともに支援を得られない状況にある。特に福島に仕事を持つ夫を残しての母子避難はさらに厳しい環境におかれている。

ブログ仲間「福島信夫山ネコ」さんの最新記事にそうした自主避難母子の苦悩が紹介されていた。毎日新聞の記事の引用なのだが、東京の小学校に移った11歳の長女と10歳の長男が明らかに心的外傷後ストレス症候群(PTSD)の症状に陥っているという。

二人の子どもは通い始めてすぐ「異変」が起きた。

長男は知っているはずの漢字を書けなくなり、長女は「私は将来お母さんになれる?」と不安を口にするようになった。学校では同級生らから「放射能きったない」「5年もすれば死ぬ」など、理不尽な言葉を浴びせられたという。

 2学期になると、長女は無気力で勉強が手に着かず、長男は逆に落ち着きがなくなった。女性は「震災前と別人のよう。だが、心に問題があると考えたくなかった」と振り返る。

頼りになる父親を残して、ただでさえ慣れない都会で友だちもいない環境ではさぞかし孤立感が募っていっただろう。さらに東京の子どもたちから福島出身を中傷する言葉を浴びせられれば、子どもの心は傷ついてしまう。子どもは残酷だと思う。

国は災害時の心のケア支援強化の一環で災害派遣衣料チームを被災地に派遣したが、こうした自主避難者は支援から漏れる恐れがあるという。この母親もその例外ではなく「早期にケアを受けられたらこんなに長引かなかなかったのではないか」と悔いている。

確かに早期のケアは必要だったかもしれない。また母親が子どもの体のことを心配して県外に避難させる気持ちもわからないことはない。ただ残念ながら母親の思いが結果的に「裏目」に出てしまったと思えてならない。

子どもを田舎の友だちから引き裂き、冷淡にもみえる都会っ子ばかりの閉鎖世界に追いやることのマイナス面だ。実際、記事の子どもへの「放射能きったない」とか「5年もすれば死ぬ」などと理不尽な言葉を浴びせられている。おそらくクラスでいじめやシカトに近いものがあったのではないか。

端から見ると、むしろ福島に留まっていたら、子どもたちはこんなPTSDにはならなかったのではないかと思ってしまう。放射能の被曝で子どもの将来を案じるばかりに逆に「本物の病気」になってしまう皮肉だ。想像するにこうした症状に苦しむ自主避難家族は少なくないのではないか。

母親は「早く子どもへのケアが受けらればよかった」と後悔しているが、敢えていえばケアを受けるべき相手はこの母親ではないかとさえ思えてくる。こんなに放射能被曝を過剰に心配しなければ、わざわざ夫と離れて不自由な生活をすることもなかったろう。

信夫山ネコさんの記事で最近の発表された国連科学委員会の報告が取りあげられていた。「原発事故後の福島県民分析、がん増加確認されず」と。こうした内容の報告は他の権威ある国連機関である世界保健機関や国際原子力機関でも同様に出されている。

残念ながら、こうした客観的な訴えは自主避難者の心には届きにくい。すでに「放射能恐い」という呪文が強迫観念となって彼女たちの心を覆っていて容易には取り除けない。将来国連科学委員会の報告のように、福島を含めて放射能被害が見られず杞憂に終わったら?自主避難の子どもたちは自分たちのPTSDを将来どう思うのだろうか、特に親に対して。


隣国への恨みよりも若き自国民の将来を

2014-04-21 12:36:14 | 厄介な隣国

韓国の旅客船沈没事故は未熟な航海士による急旋回や過重な積み荷などで航行不能と沈没を招き、事故中に船長以下が責任放棄といえる対応をとったことでさらに被害を拡大させた。そして韓国政府が確たる情報を把握せず乗客の家族らに不信を広げた。朴槿恵大統領にも怒りが向けられたのは当然であろう。

ただ悪天候による2時間の遅れを挽回するために、不慣れな近道をかなりの速度で旅客船を飛ばしていった背景はあまり論じられていない。実はこの点が事故の隠された性格を物語っているような気がする。

普通悪天候なら、到着が遅れても乗客は仕方がないと思う。しかし、この船舶の乗客の大半が修学旅行の高校生であり、おそらくこの航海は高校の修学旅行に合わせてセットされたツアーだったためにそれが容認できなかったと考えられる。以下は自分の勝手な想像だ。

出航以前に旅行会社と高校の間でスケジュールが綿密に計画されたもの思われる。と同時に旅行料金の交渉もあったろうが、これは高校側の優位で進められたことが想像される。すなわち一度に300人以上の生徒たちが船を利用するという強みで高校側は代金を極力抑えようと努めた。それが保護者の希望に沿うものでもある。

旅行会社と船舶を運航する会社との関係はよくわからない。もしかして同一の会社かもしれない。出発が悪天候で遅れると修学旅行のスケジュールに大きな支障が生じる。ただでさえ料金が値切られているのに目的地に遅れるとなるとさらに旅行代金の減額というプレッシャーが旅行会社や運航会社に掛かってくる。

それが今回の不慣れな近道での強行となったように思う。これも推測だが、出航する港で高校側が時間の遅れに不満をもって「強い要望」を旅行会社や運航会社に示したかもしれない。報道によると、事故後高校の教頭が犠牲者を出した責任感から自殺したが、何かこうしたことと関連がある気がする。

仮に「要望」をしたのが、この教頭であっても教頭を責めるわけにはいかないだろう。問題はやはり、日頃の安全管理を軽視した船舶運航会社に違いない。ただどうも韓国社会にどこか安全よりも経済性、利益を優先させる風潮があるように思う。この高校のもなかったとは言い切れない。

そして政府の姿勢にも問題があるだろう。朴槿恵大統領は70年前の日本側の「人権」を問題視して、慰安婦問題で過剰とも思える態度を崩していない。しかし、そんな虚構にも近い人権擁護で日本を攻撃する前に、まず現在の自国民の人権に取り汲むべきだ。人権の基本というべき国民の安全を。

今回の被害者の多くが韓国の将来を担う高校生たちだったことが韓国政府にとっては衝撃であったに違いない。過去の訳の分からない隣国に対する恨みよりも、自国民、特に若者たちの未来に思いを馳せることこそ必要なはずだ。今は多くの乗客が救出されることを願うのみである。


脱原発の分裂

2014-04-19 21:07:19 | エネルギー政策

都知事選の惨敗にもかかわらず、この二人の元首相は凝りるどころか相変わらず意気盛んのようだ。細川護煕、小泉純一郎ご両人のことだ。今度は脱原発をめざす一般社団法人「自然エネルギー推進会議」を設立するという。発起人はこの二人の他に哲学者の梅原猛氏、作家の赤川次郎氏、瀬戸内寂聴氏ら、賛同人には女優の吉永小百合さんなどが名を連ねているようだ。

ただ、こうした顔ぶれを見ると、全て原子力どころか科学の「ド素人」ばかりで、本気で脱原発を考えているのか疑問が残る。特に瀬戸内寂聴氏や吉永小百合さんなどは昨年暮れの特別秘密保護法でこれまた「ド素人」的な反対表明をして良識派からの顰蹙を買ったばかりである。正直、小百合さん自身は女優としてはファンであるが、こうした情緒先行の言動には幻滅している。

朝日新聞によれば「推進会議」の活動方針①原発ゼロ・再生可能エネルギーの普及促進②原発再稼働反対③原発輸出反対で、細川・小泉両氏の考えが一致しているという。これはいうなれば、現在の安部政権の原発政策に反対する意思表示ということになる。

また具体的な活動内容として福島、新潟、青森など原発関連施設のある地域などを中心にタウンミーティングに出席し脱原発の気運を高めたり、福島県知事選や統一地方選で脱原発候補の支援を検討するという。これもまた、昨年小泉元首相が突然脱原発を唱えだしてその講演をしたり、今年2月都知事選で細川氏を応援したことと符合する。

したがってこの「推進会議」はこれまで小泉氏が個人で行なってきたことを「社団法人化」しただけで内容そのもに新味はない。この秋に行なわれる福島県知事選では2月に見られた選挙カーでの二人の共演が再現されるかもしれない。

しかし、都知事選では「枯れ木も山のにぎわい」(失礼!)であったが、福島では話題性も消えて「山」にはなりえないのではないか。瀬戸内氏と小百合さんを加えて「男女4人爺婆秋物語」では視聴率を稼げそうにもない?

そもそも福島の県知事選に立候補する人は全て脱原発を掲げるのではないか。少なくとも推進派が出るなど「狂気の沙汰」というのが福島の現状といえる。したがって、「脱原発度」の強弱に差があるだけとしか考えられない。

都知事選で細川候補以上得票を獲得した宇都宮健児氏がこうした小泉氏らの動きに対して、選挙戦で脱原発候補を分裂させるだけと批判している。原発問題が重要なテーマになる選挙で小泉氏らがある脱原発候補者を応援すれば、都知事選のように共産党や社民党支援の候補者と競合することは十分あり得る。

これを世間では「漁夫の利」という。もちろん得するのは自民党や公明党が押す与党支持候補者である。これでは安倍首相の援護射撃になってしまう。息子の小泉進次郎を本当は影で支援しているのではないかと小泉元首相にはあらぬ疑いを掛けられかねない。少なくとも脱原発行動を分裂させるだけの意味合いしか感じられない。

ところで自然エネルギーの推進というが、これが想像以上に困難を極めていることを細川・小泉両氏は原点に返って理解すべきであろう。既に再生可能エンルギーが全電力の24%を占めているドイツの現状を見れば分かる。不安定なエネルギーでいまだ社会的に混乱していて隣国の原子力に依存せざるを得ない現実を。細川・小泉両氏がまずすべきことは脱原発「先進国」のドイツを視察することだ。