粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

二つの選挙結果

2014-04-28 14:01:46 | 国内政治

昨日行なわれた衆議院鹿児島2区補欠選挙は自民党候補者が公明党の推薦を得て当選した。民主党、日本維新の会、結いの党、生活の党の推薦を受けた候補者とは2万票の差であった。あの山本太郎参議院議員が推す女性候補者も出ていたが、得票は当選者とは一桁違い泡沫でしかなかった。ただ共産党候補よりも僅差で上位に位置したのは「善戦」かもしれない。

菅官房長官は「安倍政権の掲げる日本経済再生、安全保障政策に一定の理解をいただいたと受け止めている。」と選挙結果を評価した。ただ同じ与党の公明党は必ずしも菅長官の発言を肯定しているわけではない。特に「安全保障政策」が必ずしも選挙で支持されたのではないとしている。具体的には自民党が推し進める集団的安全保障容認の法的解釈についてだが、公明党はこれには慎重であり、抵抗勢力でもある。

公明党の山口代表が、同じ昨日に行なわれた沖縄市長選の結果について言及している。この選挙も自民党が推す保守候補が共産党など3党が支援している革新候補を約2000票の僅差で当選した。保守候補はここでも公明党の強力な推薦でかろうじて勝利した。これを捉えて山口代表が「自民党は公明党の支援がないと選挙に勝てない」と明言している。だから集団的自衛権容認も「この選挙で支持されたと思っては困る」と釘をさしているわけだ。

確かにここ1年の地方選挙や衆議院補選を見ると与野党が対立する選挙では公明党が推薦した候補者が全て勝利している。象徴的なのは、沖縄の名護市長選挙では公明党が推薦せず自由投票となったが、ここの保守候補者だけが唯一敗北している。「公明党が支援しないと勝てない」という山口代表の「ドヤ顔」はまさに本物である。ある種「ドス」が利いているとも認めざるを得ない。

日本政界に公明党は隠然たる力をもっているのが現実だ。支持組織である創価学会の莫大の集票力は凄まじい。2012年の衆議院選挙の比例区では公明投票が全国で710万票以上獲得している。自民党は1660万票だから42%に該当する。さらに脅威なのは公明党票が支持政党なしの選挙民による浮動票ではなく、ほとんど「固定票」と呼んでもよいコアな票だということだ。

今回の衆議院補選は、徳州会グループの病院関係者が動員されたがそこに報酬が施された結果、公職選挙法違反に問われ議員辞職したことによるものだ。いわば「ボランティア」でなかったのだが、要は選挙の応援に「お金」が介在していたかの話だ。公明党の支援に動員された学会会員はその点では完全なボランティアであることは確かだが、実際行なっていることは徳州会グループと大して差異はないはずだ。

公明党の組織力とトップの指示で献身的に活動する機動力、これに700万を超す集票力が備わっていればまさに「鬼に金棒」ともいえる。徳州会の選挙には莫大な選挙資金が必要だったが、そもそも公明党にはそんな無茶な資金は必要なかっただけの話ではないか。

そんな公明党の存在が将来の日本の行方に影をおとしている。年々国政、地方を問わず投票率が下がってきている。そうなれば、ますます組織票が強い公明党が影響力を増していくことだろう。そんな歪とも思える日本の政治に危惧を感じないわけにはいかない。