blog-atom 2

…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【21航海目】!

2020年12月05日 | モバイル
今期は沿岸沿いの航行がなく、沖からの航行の為
入港1時間前頃から滞在時間・出港後1時間程が
携帯の電波の届いている範囲…
しかし水揚げや機関室内での作業で電波を利用できる時間は限られる…

予め寝る前にモバイル投稿用に書きためておいたメールを
入港前に送信し、blogを更新・編集。

限られた時間内に家族LINEの画像で初孫の成長の様子を覗き、
AIS追跡アプリで春に乗船した船の位置確認をする。
こんなささやかな事であるが入港時の楽しみにしている…!

情報の伝達に携帯電話やタブレット機器が使える今の時代であっても
電波が届かなければ使えない…。

漁船でもこの辺がもう少し進歩してほしいと思っているが、なかなか叶わない…

12月2日 朝6時・女川出港 Co105°
金華山の沖合いにポイントが立った…!

16時30分・S/B。
更に沖への針路…
北緯37°40´ 前航海からしたらかなり南の位置ではあるが
さすがに12月、やっぱり寒い…!

19時頃から冷たい雨が降りだし、強まったり弱まったりと結果朝まで降り続いた…

サンマ漁解禁前の母港気仙沼から、およそ3ヶ月半振りに
兄弟船がランデブー


僅かな時間ではあったが同じ船名が公海を並走…!

…僅かな漁獲で夜明けをむかえ、微速で90哩程北上…!

14時30分・S/B。
良い凪だが、空色は冴えない…

付近には外国籍船団が漂泊中…。

さすがに師走、日没も早い…

日没後調査開始、17時過ぎに1回操業も、著しく悪い魚体組成…

外国籍船団のやや西側を南よりに調査…。

またも19時頃から雨が降りだした…
最近は雨が多い、雪もそう遠くないのかもしれない…。

雨が止むと季節風が吹き始めた…!

操業1回のみで調査航走が続き、日付けが変わり3時
吹き荒れる季節風に夜明けを待たず漁灯を仕舞い
季節風の吹く方向に微速で航走…。

夜が明けて、波が見えるようになると
高いうねりと強い季節風で鉛色の海面を白波が渡って行く…
時に支えながらの航走中、寝室の警報がけたたましく鳴り響いた…!

「減速機作動油圧力低下」
クラッチ入り口・出口温度が異常に高い…。

機関室警報盤に「スリップ中」のランプが点灯中…
支えながら微速での航海、当直者のダイヤル操作にもよるが
長く前進スリップ中だった為に減速機のLo温度が上昇し、圧力低下を招いたようだ…

これまで、幾度か支えながらの航海はあったが、今回初めて支え中に減速機警報
曰く付きなだけに心配が尽きない…。

この先、いつ遭遇するやも知れぬ大時化…
大時化時の航海当直者の操舵に課題を残した…
機関部の方も何らかの対策の必要性を実感し、また一つ学んだ…。

時化海航海は時に海難につながる…
早急な対策が不可欠かもしれない…!

スリップの使用を最小限に抑えてもらい、
若干ピッチングが激しさを増した。
船首外板に当たる波の圧力は相当だが、しかし、
その後警報は鳴らなくなり、温度も正常範囲内に留まった…。

4日、15時・S/B。
まだうねりは残るが季節風は弱まった…

17時過ぎに1回操業も僅かな漁獲…

その後操業出来るような群れは無く、調査しながら微速で北東へ…。

またも冷たい雨が降りだし、季節風が吹き始めた…!

5日・土曜日は宮城県の魚市場が休みらしく、岩手県の釜石向けとなった…
微速での帰途航、5日朝5時頃の入港予定。

【20航海目】!

2020年12月01日 | モバイル
11月27日 朝08時15分・女川出港、凪良く漁場向け!

11月も下旬だと云うのに漁場は三陸の沖より…

例年であれば、この時期は沖よりには行けない…
時化に阻まれるのだ。

今期は凪に恵まれているのかもしれない…
時期的な季節風はやむを得ないとしても…。

19時・S/B。
凛とした空気の海上、本格的な寒さが訪れた…。

いよいよライト当直の方々は衣替え、冬の装い防寒仕様…!

寒さが身に凍みる甲板上…
上部機関室にいても寒さを感じる程…。

20時過ぎから薄群れを数回操業した後、調査航走が続いた…

日付けが変わる頃から雨がパラつき、北東からの風が吹き始めた!

次第に雨・風 共に強まり時化海に…

僅かな漁獲で夜明けより微速で公海向け…!

28日はS/Bなし、向かい風強く、時に支えながら北東へ…

29日朝、航走ストップ漂泊…。

昼に起きて機関室に向かう途中外を観る…
「天使の梯子」と云うのを聞いた事があるが、
実際どういうのかわからないので、らしきのを撮ってみた…
「天使の梯子・ver海」







ノートPCに移して見たら びっくり なんと天使がこっちを見て微笑んでくれていた…!

天使と云えば、漁後の楽しみである初孫との対面は、
世の中コロナの第3波で大変になってきており、会いに行けるのか心配でもある…!

14時30分・S/B。
まだうねりが残る公海、外気温度が低く震える寒さ…!

外国籍の赤い船団も少なくはなったが未だ奮闘中のようである。

船の周りにサンマが集まった数回目の操業中に、
フィッシュポンプが吸わなくなってしまい
船上のスピーカー越しに荒ぶる声が響き渡る…
甲板上は一気に慌ただしさを増した!

開けてみると逆止弁以外にもサンマがびっしり詰まってしまっていた…
滅多にないのだが……

急を要する作業に寒さも忘れ、気が付けばうねりも低くなっていた…。

サンマが見えた時にかぎってトラぶる…

きっと海の神様のいたずらだな…。
いや、海の天使のいたずらか…?

風もうねりも弱まったが一時的だった…
ポツリポツリと降り始めた冷たい雨が、次第に激しさを増し、遂には豪雨に…
豪雨の後には季節風が…

夜明けを待たず、漁灯を仕舞い西よりに航走、強まった季節風を向かい風で…

微速を余儀なく、時に支えながら…
凪間 数時間の操業・時化海の航海…
今期のサンマ漁は序盤から終盤まで例年とは大きく異なる…
不漁を象徴するように…!

30日、15時・S/B。
季節風は若干弱まったものの空色は冴えず…

南西よりの針路、風に乗る波飛沫が降り注ぎ、額が痛い…!

日没後数回操業し、20時頃から再度南西よりに調査航走…。

満月の月明かりに見る季節風による風波が、海面に白く条を描く…

日付けが変わり暦を捲る…
暦は残り1枚、ついに12月 師走…

月末締め燃料消費の計算中にS/Bベルが鳴った…

漁灯を仕舞い、帰途航走女川向け…。
季節風による風と波に追われた格好だ…。

帰途航中季節風強く、微速を余儀なく…
12月1日・22時頃の入港予定!