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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【5航海目】!

2016年09月14日 | モバイル
9月9日・9時 気仙沼出港。

台風崩れの低気圧の影響でうねりが残る三陸沿岸を微速で北上…!

10日・10時、チェックポイント通過 16時 S/B。

まだまだうねりが高く、東程風が残る気象予報…。

低海水温域から伸びる分枝の西端側を各船が調査。

調査航走中、霧が低くたちこめ、雲の上を航海しているような

…稀にみる幻想的な海上…

調査に終わり、夜明けより漂泊。

11日 16時 S/B。

日没後、各船と共に調査開始。

やや纏まった群れを操業中、付近1哩圏内に船が集まった…

操業できる範囲が狭く、抜けて調査航走となると、なかなか群れが無い…

狭い範囲内に数隻が集まる、そんなパターンが何ケ所か…



操業各船の隙間を縫うように調査…

日付けが変わった頃に月が隠れた…

その頃から船団を抜けて西よりに調査。

うねりに加えて風も強まった…

漁撈長の指示で、船首側の燃料を船尾側にシフト…。

この時点で、一旦は帰途も考えたのだろうが、私を呼ぶベルが機関室内に鳴り響く…

考えが変わったようで、夜明けより漂泊。

12日 16時 S/B。

日暮れ頃から各船が散らばっての調査航走、北よりに調査し

19時頃より操業開始!
若干纏まった漁獲があった…!

その後の調査・操業を経て22時、帰途航走となった…。

13日・朝6時、チェックポイントにて臨検…。

2時間程臨検に時間を要したが無事にチェックポイント通過。

凪良く南下、女川向け…!
14日・朝8時頃の入港予定。

…ルーキー便り…

船上の限られたスペース、機関室内の一部を

長靴を乾燥させる為の場に解放している…

空き箱にナイロンシートを被せて置場を造り、各々が管理するルールで…

機関室内には、長靴はおろか安全靴も置く事を許さない機関長もいる…。

統制の為と、安全靴を通路に出された事もあったが…

S/B時に、乾かない長靴で仕事を始めるのは嫌なものだ…

若い頃の自身の体験から、そういう事を統制するつもりは更々ない…!

しかし、秋刀魚漁の操業後は、合羽・長靴に鱗が当然のように付着する…

洗い落としてくるのが当たり前で、暗黙のルールも存在する…!

機関部当直時は、掃除機で鱗掃除もするのだが、

私の目にとまったのは、ビッシリと長靴に鱗が着き、

ファンの送風で、乾いた鱗が舞い主機関の過給機に集まっていく…

…ルーキーの長靴だった…
そういう事から気を付けるのが団体生活のルールと教えているのだが…

しかも、その天井部の蛍光灯が球切れ…

漁に直結するような事ではないが、何だかいつもより暗いな…

とか感じた時、これはっと…!!
反応する…!
そういう事が仕事中の諸々につながる…!

注意するように指導した…。

乗船したかぎり、云われた事ばかりやっているようではダメなのだ…!

自身で気が付き、行動する事で開く扉がある…。

私にも、若い先輩逹にも教育されて大変だろうけど、

二十歳の若人を、預かったからには、一日も早く一人前にしたい!

ルーキーイヤーが重要だ!
頑張れ秀斗!

【台風避難】!

2016年09月08日 | モバイル
女川港を出港し南三陸の歌津崎沿岸まで行き
 泊崎半島御崎神社に向かって参拝。

その後、台風避難が決まり気仙沼港へ廻航・時化休みとなり
 9日、9時の出港予定が組まれた…。

昼前に気仙沼入港となったので、氷艙・冷水冷却の傍ら
 機関燃料油関連のメンテナンス作業

時化休みと云えども機関部はメンテナンス作業の予定スケジュールが

時期的に近ければ、ナイスタイミングになる…!

今回はナイスタイミングだったのだが… しかし…
 今回の作業後には、込み上げてくる葛藤があった…。

これらの作業は、全て船の為の作業であって
 漁の為の作業でもある…!

時間潰しの遊びでやっている訳ではない…
 漁に直結する事は、自分達乗組員にも直結するのだ…!

自分は、最低限、そういう志で作業にあたり、多忙であっても
 その作業が一段落するまでは頑張ってやる!

当然、普段から食事も乗組員のラストがほとんど…。

…機関室内の暑さと空腹に耐えて、作業後にサロンに行った…
 そこには虚しさしか無かった…

…更にモチベーションを上げて頑張らなければ… の やさきに……

8日朝・気を取り直して…
 氷艙保冷の傍ら潤滑油関連のメンテナンス作業

作業が一段落した頃、台風崩れの低気圧の影響で風が強まりはじめ

サイドのフェンダーをやり直し、暴風雨に備えた。




【4航海目】!

2016年09月07日 | モバイル
9月2日朝7時30分、花咲入港水揚げ。

氷の積み込みを終えて9時15分・花咲出港!
チェックポイントを経て漁場向け…。

公海に程近いロシア海区の東端側、まだまだ漁場は遠い…


3日16時S/B・凪良く、水色も良く、獲れそうな期待感で日暮れを待った…

日没頃より水平線に、外国船団(台湾?)の赤い漁り火が広がる…

付近には日本漁船のカラフル?なLED漁灯が点り、北の漁場が華やぐ…

調査開始も、期待にそぐわず群れは薄い…

活気のある声も聞こえてこない…

回数操業も空しく僅かな漁獲に終わり夜が明け漂泊。

朝食を済ませ、眠りについて程なくメインエンジン始動の合図!

ロシアコーストガードが外国船団を臨検中との情報で、漂泊位置を移動。

違反がなくとも臨検ともなれば時間に縛られる…。

ロシア海区内、相手はロシアコーストガード、日本漁船の理屈は通用しない…!

4日・16時S/B、更に凪が良くなり、鏡のような海面…。

北海の低水温域特有の緑色の濁水系。

付近には日本の漁船のみ十数隻、外国船団は見えない…

調査開始、漁灯の光の下にゆらゆらと游ぐ秋刀魚…

この濁水系では秋刀魚の動きが遅い

1回目の操業で若干纏まった漁獲があった…!

なかなか連続操業、(続けて網を入れられる)ような群れは少ないながらも

3回操業して調査航走、しかしその後は群れが薄く、薄群れを数回操業…



日付けが変わって各船が散らばり、南西よりに調査。

遠くに外国船団の赤い漁り火が見え始めた頃、秋刀魚の動きが活発化した…

鯨である…
今年もまた鯨の回遊と共に秋刀魚を追うのだ…!

夜明け近く、探照灯の先の海面に秋刀魚が跳ねる…

群れは薄いが秋刀魚が見え始めた!

若干纏まった群れを操業し、夜明けより帰途航走。

若干纏まった群れとは云っても、

一度に1つの漁艙が決まるような群れとは程遠い…

しかし、夜明け近くに跳ねる秋刀魚が見え始めたのは、近々群れが固まる兆し…

低海水温域の分枝の張り出しに注意だな…

まだ尚遠い漁場、6日朝チェックポイント通過、船は女川向け…

7日朝6時頃の入港予定…!

…ルーキー便り…

やや纏まった群れを操業した際、氷がおわれそうになった…

群れの状況によって甲板への氷の準備が変わる…!

この時は、氷の用意が少なかった…

一気に氷を氷艙から揚げなければならないので、甲板は忙がしくなる…

それぞれの作業のピッチを急がなければならないのだが…

まだ慣れないルーキーはマイペースだった…。

実はそこがスイッチの入れ時なのだ…!

スピードが要求される秋刀魚漁の中で、若人が配置される氷艙担当。

ここの作業の進行によっては漁獲が変わるのだ!

状況に応じて各々がスイッチのオンオフを切り替えて作業にあたる…!

シーズン中に、これから幾度となく遭遇する…!

操業を終えて、当直が一回りした時に今航海の感想と、今後の楽しみを聞いてみた…。

「氷がおわれた時に疲れた…」 正直な感想だろう。

今後の楽しみ「漁が終わってからのお金…」   ・・・・ 地味だぞ秀斗…

これから何度もスピーディな作業を要求される場に遭遇する…

もっとモチベーションを上げて頑張れ秀斗…!

【3航海目】!

2016年09月02日 | モバイル
水揚げ・氷の積み込みを終え、8月29日朝6時30分、花咲出港!

ややうねりの高い道東沿岸、チェックポイントを通過し沖へ…。

30日・16時S/B。

S/B時の濃霧が日暮れ前にうすくなり、各船の漁り火を見ながら調査開始!

魚体組成は良く、アミ喰いが少なくなったが依然として秋刀魚の群れは薄い…

調査・操業を繰り返しながらも漁獲は伸びない…

僅かな漁獲に終わり、夜明けより漂泊。

31日・16時S/B、久し振りに霧がなく、快晴!

遥ロシア海区で水平線に隠れて行く夕焼けを見ながら…
日没は17時40分頃。

黄昏時の海に秋刀魚漁船の漁り火が映える…

各船調査開始!

まだまだ小さい秋刀魚の稚魚の群れが漁灯の光に跳ねる…

薄群れを操業しながら、調査範囲を拡げて行く…

ロシア・台湾の秋刀魚漁船と今年も共に秋刀魚を追う…

早くも、暦を一枚捲る…
8月が終わってしまった…

漁場が遠く、チェックポイントまで約400哩もある…

日付が変わって、西よりに調査、夜明けを待たず帰途航。

9月2日朝3時S/B、チェックポイントにて4時より臨検…




1時間程で無事に終わり、5時チェックポイント通過、花咲向け

7時半頃の花咲入港予定…!

…ルーキー便り…

ロープワークのさつまも練習のかいがあってだいぶ上達したようだ。

操業の流れも理解してきて、次に何をやるべきかの反応も速くなってはきている…

遠目に見ていても、みんなに可愛がられている。

若いメンバーが多い本船は、意外と馴染みやすいようだ…。

ケガに気を付けて頑張れ秀斗!