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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【台風避難・気仙沼港】!

2015年10月08日 | モバイル
10月6日、女川港での水揚げ後に台風避難で気仙沼港に廻航!

時化休みとなった…。

この時化休みにも助けられました。

女川入港前、上部船橋操舵室の操作盤

船首側のサイドスラスタのダイヤルが効かなくなった…

当初は、電磁弁の不調かと考えましたが、 船橋の操作盤のダイヤルでは操縦可能…

電磁弁ではない、上部船橋操舵室の操縦ダイヤルの不具合が考えられる!

…操作盤内、ダイヤルのリミットスイッチのスプリングが何らかの原因で外れ、

破損して線が2本接触した状態になっていた…

取り外すと、リミットスイッチに亀裂が確認できた…





そのリミットスイッチの手配をお願いし、機関室内のFo・海水関連のメンテナンス作業

前航海に焼きついた紫外線殺菌装置専用の甲板異動排水ポンプの交換作業後、

久しぶりに帰宅。

帰宅後の故郷・自宅の庭先 虫の鳴き声に秋風がここちよく すっかり秋本番!

(自分の部屋のカレンダーはまだ8月のままですが…)

今年も夏を乗り越え、また少し成長が感じられる末っ子と一緒の入浴タイムは

船での緊張感からしばし開放される…。

…内陸・登米市北方の「鈴木さんが作ったひとめぼれ」の新米が今年も届いており、

相変わらずの美味さに、これまた秋を 実りの秋を実感。

久々の帰宅、私用も山積みで いろいろしたい事もあるのですが

7日朝リミットスイッチの到着を前に、船に向かった…。

予想以上に早く到着したおかげで、交換作業・メインエンジンを始動しての

スラスタ稼働テストも午前中に終わった。

各氷艙を保冷し、私用のため 石巻市に…

…大震災から、もうすぐ4年7ヶ月となりますが、高台移転の宅地整備が進み

自宅に被害があった故郷の仲間達も次々に新築、新居が完成しています。

震災後、3ヶ月も経過してからの故郷帰りとなり、

その後私は何にもしてやれなかった…

未だに、心の中に引きずっている思いがあります…。

震災から2年が過ぎて、津波によって自宅を失った仲間と親戚は20軒…

大きな苦しみの中、頑張っている方々が自宅を再建する暁には… と

20枚の封筒を作ったと云うか、用意した。

その20枚の封筒を使いきる未来を思いながら…



今回の時化休みを利用して、足を運ぶ予定3軒。

仲間・友達であっても大震災後は面と向かっては、自分の思いを

なかなか上手く言葉に出来ない、もどかしさがある…!

私以上に頑張っている仲間に 頑張れとも云えないし…

仲間3軒、親戚4軒 あと7枚の封筒が 早くなくなってほしい。

その時に吹っ切れる何かがあるように思えてならないのだ…

…石巻から自宅に帰り、部屋のPCをW8.1からW10にアップグレード!

溜まっていたメールを整理、メンテナンスを済ませた。

船でも自宅でも数年前と違って、自分の時間が少なくなってしまったが

いろんな意味で向き合わなければならない事は多い!

立場上、船中心 船に関わる業者さん達との連絡が優先となり

多くの方々からのメールに返信できなかった事、申し訳ありませんでした…!

8日、台風による影響を心配しながら風が強くなってきた気仙沼港接岸中の船で

各氷艙の保冷をしながら、船を見廻り。

風はこれからがピーク、明日の出港予定時間まで…!


【12航海目】!

2015年10月05日 | モバイル
3日朝5時・気仙沼出港北上!

前航海の衛星水温図ではロシア海区、東側の冷海水域から伸びる低水温域が

ついにロシアの領海ラインを越えて、日本の領海内へと張り出して来ている…。

しかし、東北の太平洋岸からは、かなり東・沖合の公海に程近い…!

襟裳岬の沿岸にも、ロシア海区から低海水の分枝が伸びて来ている。

襟裳岬の東南東に小さな低水温域の渦が表れている…

その低水温域が時化後の衛星水温図では拡がりを見せた…。

北上中の僚船と2隻でコース変更、襟裳岬の東南東を調査する選択をしたようだ…

16時S/B。

調査海区まではあと3時間程も、僚船と並び日没から調査開始!

ライトの探照先に、ポツポツとサンマが跳ねる…!

サンマは確実に南下して来ている!

しかし、灯付きが悪いようだ…

19時薄群れを1回操業。

付近にはサンマが見えるも、灯付きが悪い為、更に東へ…。

21時過ぎ、暗い水平線から月が見え始めた頃、サンマの灯付きが良くなった!

クジラが船底から右舷の漁灯下に浮き上がった…!

驚き半分、クジラもサンマを追っての南下回遊・狩りを続けている。

ホエールウオッチングを楽しみながら数回操業も、反転西へ…

後を航走してきた2隻の僚船が纏まった漁獲をしたらしい…

我々が1回操業したが、灯付きが悪かったポイントだ…

僚船3隻と並び、更に遅れて来た1隻の僚船が加わり、

5隻で付近を調査・操業を繰り返したが、南下第一陣の割には群れが大きくなく、

サンマの群遊は少ないようだ…。

纏まった漁獲のあった僚船2隻は、夜が明けて帰途

本船と僚船2隻は夜明けから沖よりに航走し、漂泊。

4日16時S/B。

日没からサンマは見えず、調査範囲を拡げた…!

…南下第一陣のサンマは、ある程度の条件が揃わないと、漁獲が難しい…。

前夜のように、跳ねるサンマは見えない…

北側からライトの光が近づいて来ている…

北海道籍の3隻の小型船だった…。

…どうやら、襟裳岬沿岸の低海水には、サンマが見えないようだ…。

大小6隻のサンマ漁船が付近を調査、操業も漁は低調に終わり、

台風を警戒し、夜明けより帰途航走女川向け!



5日・22時頃の入港予定。

【季節風】!

2015年10月02日 | モバイル
10月2日、水揚げ中の船の回りに集まる人々…

聞けば「川越シェフ」が何かのロケで来ていたらしい。

女川港・朝から季節風が強く、秋刀魚を汲み揚げる水揚げ用のタモが

折からの強い風に煽られる…

各船、昨日のうちに時化休みが決まっていたようですが、

本船の漁撈長の気象の読みは、夜半には凪て、出港出来る と読んでいて、

女川港から気仙沼港に廻航し、夜半に出港の予定でした…

ですが、東北各港に入港中の船団で決まった事には逆らえず…

3日・朝5時出港の予定が組まれた…!

女川から気仙沼までの廻航中、強い季節風が白波を立てて轟音と共に船に打ち付ける!

12時20分、気仙沼入港。

…この時間を利用して、機付冷却海水ポンプのオイルシールの破損により

不調だった補機や、その他の不調箇所を修復。

18時に作業を終えました!

現在の気仙沼港内、穏やかである…

湾外は、まだ波が高いだろうけど…

せっかくの気仙沼港での時化休みではあるが、帰宅せず!

10月になったとはいえ、秋刀魚漁は12月まで続く!

まだ2ヶ月ある と考えるか、もう2ヶ月しかない と考えるかは

それぞれであるが、漁期間中は私は必死にやる!

季節風に阻まれる事があっても…。









【11航海目】!

2015年10月01日 | モバイル
9月27日・朝6時女川入港も日曜日で市場は休み…。

28日朝からの水揚げまで休みであるが、女川魚市場付近は

大震災からの復興工事中で買い物には、峠を越えていかねばならず…

乗組員のほとんどがタクシーや電車を利用して石巻市まで行ったようだ…

女川港停泊中の船でメンテナンス作業をしていたのですが、

この日は残暑が厳しかった。

しかし夜になってからは、秋らしい涼しさ…

夜空には中秋の名月…。

28日、水揚げ・氷の積み込み後の9時20分に女川出港北上。

16時S/B。

漁灯を拡げ、ライトを点灯させて固定、航海当直で調査しながら…

追い手の風(船の後方)夜空の雲の間には満月・スーパームーンとの事…



月明かりとLED漁灯の光のコントラスの中、夜明けまで調査していくも

残念ながらサンマは見えず…!

29日・ロシアチェックポイント経由漁場向け、16時S/B。

夜半過ぎから風になるらしいが、日没後は良い凪となった…。

嵐の前の静けさか…?

サンマはポツポツと見えるも、灯付きが悪く

薄群れを数回操業し、南側へと調査。

22時頃から操業再開、サンマは深いようで、海面にはあまり見えない…

纏まった漁獲を連続操業!

更に南側へ調査範囲を拡げるも日付けが変わる前に雨が来た…

直ぐに雨は止んだが、それが合図のように風が来た…!

西風が白波をたて、うねりも高くなってきた頃、サンマの動きも活発になった…!

漁撈長からの指示で船首側の燃料タンク内の燃料を船尾側にシフト…!

本船の燃料移送ポンプでは1klの燃料移送時間が約6分…。

操業から一人離れ、機関室内での作業になる…
その作業中であっても、各機関の音で操業の様子が予想できる。

網を揚げた後、船の動きがあまりにも静かだ…

不安感が頭をよぎった…

そんな時、操機長が機関室に呼びにきた…

移送ポンプを停めてデッキへ

甲板油圧系統の船尾側カン巻き接続部が折損…

高圧ホースではなく、アジャスタが折れてしまった…

応急措置を急ぎ、場は凌いだ…!

燃料シフトを済ませて甲板へ…

すると、今度はまたもやフイッシュポンプからサンマが揚がらなくなった…

例によってホースの先にサメが詰まっていた…

今度はヨシキリザメ…

あっさりと取り除く事が出来たものの、

今度は氷を揚げる機械(アイスキャッター)が揚がらなくなった…

風は更に強まり、一気に嵐…!

急ぐ漁撈長、またもやテンションMAX…!

アイスキャッターが復旧するも、嵐の威力は凄まじく…

朝3時半、漁灯を仕舞い荒天準備!

ロシアチェックポイント経由、支えながら南下帰途航走 女川向け!

大時化の中、船橋には漁撈長と船長が付きっきり、

機関室には私が…、危急に備えた…!

早、季節風の時季になった… 暦も10月…

船は、10月1日午後2時30分に女川入港。

入港後、フィッシュポンプのホース口にサメ対策、

トラブった箇所・傷んだ漁撈器具の修理等の作業…

嵐の11航海目、疲れました…。