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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【17航海目】!

2015年10月30日 | モバイル
24日・01時、釧路入港。

水揚げ・氷の積み込み後、時化休みが決まった!

この時化休みを利用して、網の足ワイヤー等全てのワイヤーを交換、

ワイヤープーラー等、漁撈機具のメンテナンス。

時期的にサンマ漁は折り返し、漁はまだまだ続く!

これからの時期は冬海となって、季節風の中での操業も増え、

漁撈機械や漁具への負荷がいっそう強まる…

順調に漁を継続していくには、その為の備えは必要不可欠…!

その後、冷水用の海水取水を兼ねて足ワイヤー調整の為の試運転で釧路港外へ……

海水取水・調整試運転を済ませ再度、釧路魚市場岸壁接岸、休みとなった…

冷たい雨と低い気温、10月下旬の北海道道東の港、冬近しである…。

冷水造りの為に取水した清水も海水も、温度は低く

夕方18時には全ての冷水を冷却完了!

入浴後、船の外は冬の寒さ…

…街へ、と思ったが冬服はまだ船に持ってきていなかった…

…25日・久々にゆっくり起き、機関室へ…

氷艙、凍結室の保冷と機関室内の清掃後、街へ。

操業用のジャージがくたびれてきたので、新しいジャージのまとめ買い…。

日曜日の午後とあってデパートは多くの家族連れで賑やか…

家族が恋しくなったが…
それは年末まで心の中で温めておこう…。

これが今回の時化休みの束の間の息抜きでした…

船までの帰路、小さな雪が舞った、今年の初雪は釧路で…

船に着き、夕刻の早い時間に就寝、出港に備えた。

…26日・1時起床、3時の出港予定時間に合わせ、

気温の低下もあるので、早めにエンジンを暖めた…

いつものように30分前にエンジン始動、3時・釧路出港、南下。

季節風が強い…!

吹き荒れる季節風を右舷にうけながら津軽海峡沖を南下中、

燃料が揚がらなくなった…

本船のウィークポイントがこれ…

何等かの影響で燃料配管にエアーを吸ってしまうと、

サービスポンプが、燃料を吸いきれなくなってしまう…

移送ポンプでは揚がるので、移送ポンプと併用しながら…

久しく調子が良かったのですが…

…試行錯誤しながら5時間を要し、サービスポンプでやっと揚がった…

今回はこれまでで一番手強かった…!

船は大きなローリングを繰り返しながら更に南下、17時・S/B。

陸中沖である…!

操業中の船団の付近から東よりに調査。

サンマは跳ねるも、小サンマの群れ…

ポイント着と時同じくして一旦おさまった季節風だが、

20時過ぎ頃から、また強まった…

更に東側へ調査範囲を拡げるも、操業できるような群れには当たらず…

日付けが変わって01時・調査終わり… 沖へ、公海に向かった!

うねりが高く、微速航走でも船は揺れに揺れる…

27日、ポイント着と同時刻、15時30分・S/B。

公海のサンマ操業海区、外国籍船団には、韓国船らしき船も加わったよう…

時間の経過と共に、

満月の月明かりとサンマ漁船の漁り火が、いつもにも増して色鮮やか…。

次第にうねりはおさまってきたが寒気の影響で、寒い!

操業ポイントでは、同じ群れを追ってニアミスする事も…

…時折、若干纏まった群れを操業するも、思った程漁獲は伸びず、

夜明けより、南東側に50哩程異動し、漂泊。

28日、15時30分・S/B。

南からの風が、高いうねりを連れて来た…!

気圧配置では前線も通過する…!

激しい雨も伴って、最悪のコンデションの中、調査航走・操業…

甲板に積んだ氷の入ったカゴが幾度となく転がる…!

高いうねりによって揚網前の、ワイヤー巻き上げ時、大きな負荷がかかり、

油圧の高圧ホースがパンク…!

時化海での操業ではよくある事、想定内…。

機関部スタッフが手際よく敏速に交換作業、すぐさま揚網に移行した…!

程なく、サンマに浴びせる冷水を汲み上げるポンプのスイッチが止まらなくなった…

こちらも交換作業により、対処。

大きく揺れる船上、普段の操業時とは違って大変である…。

…夜明けが近くなった頃から風が北に廻り、雨は冷たくなり、

気温も低下、冬海である…!

やや纏まった漁獲に終わり、夜明けより南下帰途航走!

ローリング(横揺れ)続きだったこの航海も、

帰途航海になり、やっと凪となった…

凪良く女川向け、30日朝7時頃の入港予定!



画像は女川魚市場、裏山では高台移転の工事中。