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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【……漁休止……】!

2014年11月18日 | モバイル
17日・9時30分釧路入港!

潜水士による水中カメラの撮影で写っていたのは…

無惨に曲がったソナー魚群探知機の音波送・受信装置がある足…

シャフト部が、およそ45°程後方に曲がり、

シャフトのセンターから左舷側前方に凹みが確認できる…

経験豊富な潜水士曰く、鯨に当たったのでは…

硬い物ならシャフトに残る跡はこの程度では済まない…

軟かな物であっても、これほど曲がるのは珍しいらしい…!

これほど曲がったら、海水が浸水してもあたりまえらしい…

足は、格納出来ないまま、船底に出ている…

今は止まっているが、船の振動や水圧で、いつシャフトのグランド部から、

激しく浸水してくるかわからない…

機関部としては、漁撈長の指示に従って、それなりの対策を考えるしかない…!

漁撈長と社長との対話に添ってやるしかない!

……想定される状況を考え、機関部は浸水に対する備えを講じた!!

私が初めて機関部に入った時の機関長の教えに

「機関の故障は人名には関わらないが、ビルジは人名に関わる!!」

…船の航海・運航で一番怖いのは機関室への浸水…

…想定外の出来事に対して、どれほど対応出来るか…?

12時45分、釧路出港南下。

気仙沼向け…

造船所に上架して、ソナーの足を交換する事になった…

これまで、トラブルがあっても、漁はしてきただけに、

今回は、漁をせずに船を港に止める事になった…

格納出来ずに船底から出ているソナーの足…

気仙沼湾内、慎重に微速で航行中…

18日・11時気仙沼入港予定。

入港後、即 作業になりますが、どれだけ時間を要するかは未定…

【……釧路向け…】!

2014年11月17日 | モバイル
14日・銚子港での水揚げ・氷の積み込みを終え、11時30分出港北上。

低気圧の通過で北ほど時化で、気仙沼沖のポイントは、

漁模様が芳しくないらしく、15日・01時気仙沼入港…

朝まで船内待機、16日・00時の出港予定が組まれた…。

日昼は寒気を伴った季節風が吹き荒れ、気仙沼港では多くの船が時化休み…。

…00時・気仙沼出港北上!

北上するにつれ、うねりを伴う季節風が強まり、

船は大きなローリングを繰り返す…!

午後になってから、幾分うねりも風も弱まって、15時過ぎにS/B。

日没と共に冷たい雨が降りだし、雪になるのでは…

と、思える程海上は寒い…!!

11月中旬・津軽海峡沖である…!

ライト当直の方々はニット帽にネックウォーマー・防寒仕様に衣替え…。

東よりに調査、そろそろ、この海域は季節的な気象条件に追われそう…。

…日暮れから僚船や各船と共に北東側へ調査、日没後の冷たい雨と季節風が

冬の訪れを告げているよう…

雨が止み、若干うねりがある襟裳岬の南東を沖よりに調査。

……しかし、その調査航走中に、機関室に異常があった…!!

ソナー魚群探知機の足(音波の送・受信装置があり、船底に格納できる)

そのシャフト部から海水が入って来た…!

漁撈長に状況を伝え、増締めし、海水の浸水は一応止めたが、

同じ頃から操舵室のソナー魚群探知機のモニターにも異常があったよう…!!

漁撈長はモニターが変だと感じていて、そこに私が行ったので

これは、ソナーの足に何かしらの異変 となった…

浸水に注意しながらの調査も、ソナーが不調では…

21時・漁模様も悪い事から操業を諦め、北上釧路向け!

ソナーの不調原因をさがし、直す為に釧路へ…

17日・10時頃の入港予定。

【さんま漁・26 航海目】!

2014年11月13日 | モバイル
10日・17時30分、女川入港!

機関室内の作業を済ませ、夕食をとる為サロンへ…

19時過ぎに懐かしい方々が訪船してきた…。

2年前に乗船した船「第18三笠丸」が珍しく女川に入港したとの事で、

…久しぶりの再会は、船のサロンが交流会場となった…。

11日・水揚げ開始が5時30分、女川市場は大型船2隻だけと思っていたが、

早朝、小型船が数隻入港してきた…

操業してきたポイントは気仙沼沖との事ですが、魚体組成は悪いようです。

水揚げ・氷の積み込みを終えて10時過ぎに女川出港!

漁灯を拡げ、凪良く北上。

22時・S/B。

操業各船の漁り火は、まだまだ遠い…

日付けが変わった頃から、漁灯の明かりに向かって跳ねるさんまが見えはじめた…

00時30分頃から操業開始!

纏まった漁獲を数回、更に北上しながらの調査航走…。

明日夜、この海区は時化模様が予想される気象予報。

夜明けまでになんとかしたい思いが強い…

操業各船から離れた3時過ぎ、スピーカー越しに漁撈長の声が響いた!!

大きな反応を見つけたらしい!!

氷艙を急いで空けて、大群に備える!!

群れに乗せ、網を入れるギリギリまで氷が入ったカゴが甲板に並んでいく!!

…大群操業を連続で…

漁艙が次々に決まっていくも、沖の水平線側・東の空が白んできた…

朝5時過ぎである…

後1回の操業で夜が明ける…

最後の入漁艙、一杯にはならなかった…!

残念ながら、僅かに足りなかった…

満船にはならず漁灯を拡げたまま南下。

小型船が操業している気仙沼沖の海区を操業した僚船が

早い時間に終わったとの情報があり、

そのポイントを調査していくようです。

…12日・19時S/B。

南東からのうねりに雨が伴う…

17時頃のトドケ崎沿岸付近から、

漁灯の明かりに向かって跳ねるさんまが見えはじめるが

小さんまの薄群れ…

調査しながら三陸沿岸沿いを南下。

次第に雨脚も強まり、うねりも大きくなってきた…

19時・S/B。

20時頃、各船操業中のポイント着、ほどなく操業開始!

魚体組成は、ガラリ一変…。

薄群れを2回操業し、22時頃に終わり。

南下帰途航走・銚子向け、13日昼過ぎ頃の入港予定。

【さんま漁・25 航海目】!

2014年11月10日 | モバイル
11月7日・12時50分、女川入港。

女川港には、台風避難中の各船が停泊中…。

我々が入港するのを見つけ、訪船してきた若人ががいた…!

2年前に共に乗船した20代の若人…

あまり交流もなかったのですが、よくぞ覚えていて、顔を見せに来てくれた…

…避難していた各船は、8日早朝3時頃に出港して行った。

朝5時30分より水揚げ開始!

久しぶりに1隻での水揚げだったので、

水揚げ・氷の積み込みも若干早く終わり、9時45分・女川出港、凪良く北上!

前航海の花咲水揚げで、3つ目の目標をクリア…!!

今回の女川水揚げで、問屋さんから御祝いを頂いた!!

次の目標に向けて、気を引き締めなおして 16時・S/B。



漁灯を拡げ、甲板を操業準備…

綺麗な夕焼けが陸中の山陰に消えていく…

めっきり日没も早くなった…。

目指すポイントはまだ先、調査しながら北上…

寒い夜である…

22時過ぎに各船操業中のポイントに到着も、お祭り終わりのパターン…

さんまが見えなくなり、調査航走が続く…。

夜明け近くに若干さんまが浮いたが、僅かな漁獲に終わり、

夜明けより西に30哩程航走し、漂泊。

9日、16時・S/B。

17時過ぎ頃から操業開始!

纏まった漁獲を数回、付近操業中の各船は少ない…。

凪は良いが、冷たい雨…

船の周りに集まる鳥が変わった…

茶褐色系の羽色の海鳥から灰白色系の羽色の海鳥が集まるようになった…

さんまの魚体組成もまちまちになってきた…。

群れによって、ジャミサンマ(小さんま)が混じる。

…早い時間に終わると思ったが、21時頃から急に灯付きが悪くなり

予想外に調査航走を余儀なく…

結局、日付けが変わってからの終わりとなった…!

冷たい雨の中での操業を終え、南下帰途航走女川向けも、

都合により、気仙沼へ…!

14時30分頃気仙沼入港。

機関の状態に気になる事があったので、早いうちに診てもらいたく、

漁撈長に相談、理解を得ての気仙沼寄港でしたが、

不安と心配は杞憂に終わった…。

常々、船を止め漁を休まなければならない事態だけは防ぎたい!

そう思いながら従事しており、自身のプライドは二の次…!!

親会社のためにも、漁撈長に仕えるためにも、大事なのは

無事に漁を終える事!!

船に関わるいろんな関連業者さん達には 感謝 である…!

昨夜の漁を終えてからは、不安ばかりが先に立ち、寝るに寝れず…

……女川向けの航海 ほっとしながら…

女川入港後は、明朝の作業まで爆睡しようか…

西風強く、17時30分頃の入港予定!


【さんま漁・24 航海目】!

2014年11月07日 | モバイル
11月5日・19時過ぎに花咲入港。

6日・早朝3時30分から水揚げ開始!

水揚げ・氷の積み込みを終え朝7時・花咲出港、南下漁場向け…

台風20号の影響を考慮しながら…

16時・S/B。

操業できる時間は限られる…。

…釧路に水揚げして、出港してきた僚船2隻の漁り火が

遠く南西側にわずかに見えるが付近に他船はいない…

18時30分頃から凪良く操業開始!

あいかわらずさんまは深い…。

若干纏まった漁獲を3回程、その後東側に調査していき、

ほどなく操業再開、大群操業となった…!

嵐の前の静けさ だろうか、良い凪での連続操業…。

21時過ぎ頃から、いくぶんうねりがでてきた…

船の周りにはおびただしい数の海鳥…。

右舷側の海鳥があわただしく飛んだ…!

鯨が尾で海面を叩いている…

時化前に操業を終えて、少しでも早く、内地の沿岸沿いまで行きたい…

いつもにもまして漁撈長の急ぐ気持ちがよくわかる…!

乗組員各自、いつも以上にスピーディーに・前々と次の過程の用意をこなし、

22時、魚艙が一杯になり操業終わり!

後1時間早く終わりたかったようでしたが、ある程度は漁撈長の思惑に添った…。

漁灯を仕舞い、甲板を整理し、大急ぎで荒天準備。

南下帰途航走!

ブリッジでは、漁撈長が舵をもったまま、来るべき大時化に備えた…

日付けが変わった頃から、うねりを伴い風が強まった!!

夜明け前には、大時化となり、

折れる波の巡間に来る大波に併せてストップ・航走を繰り返す…!!

時折来る大きな白波は、僅かに灯した波見のLED漁灯の光で

まるで滝のように魅える…

朝7時頃までには、だいぶ陸中沿岸沿いまで近ずける…

これ以上、風が強まったら支えなければならないが…!

決して無茶な航走ではなく、波の見方を誤らず、陸中沿岸沿いまで…

朝7時30分頃にトドケ崎灯台を通過。

さすがに、山の下(沿岸沿い)までくると、うねりは低く、

風だけはまだまだ強いが、かなりほっとできるレベルの海…。

三陸沿岸沿いを西風強く南下中・12時過ぎに女川入港予定。