blog-atom 2

…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【さんま漁・23 航海目】!

2014年11月05日 | モバイル
2日・朝8時、気仙沼入港も日曜日で市場は休み。

入港早々に3日の水揚げ後の時化休みも決まった…!

機関のLo・Fo関連のメンテナンス作業を済ませて車をとりに帰宅し、

他地区で練習試合らしい末っ子を待ったのですが、

怪我をして帰って来た…

腕の打撲らしいが身体中が痛がったので、石巻市の救急外来へ…

さいわい、左腕のヒビで済んだが、当分野球の練習も出来ない…

稀にしか出来ない親子のキャッチボールも…

いつでも、私が帰宅するなり、キャッチボールをせがんでいたのに、

しばらく出来ない事に寂しそうな表情をみせる…

スポーツに怪我は付き物ですが、さすがに元気のない姿は胸にくる…

…3日、水揚げ・氷の積み込み後、滅菌海水取水の為、気仙沼湾外まで…

水揚げ中に取水した清水温度が+13.0℃、それを-0.2℃まで冷却し、

気仙沼大島沖16.8℃の海水を滅菌器を通して取水、

三陸沿岸の海水温も最近になってだいぶ下がった…。

海水循環ポンプで循環しながら混合すると冷水艙内の水温が+6.2℃。

海水クーラーを通して-0.3℃をメドに冷却。

4箇所の冷水艙・約50tを冷却し終えたのが16時頃。

帰路途中、車窓に木枯らしに舞う落葉、そしてあっという間に陽が暮れた…

4日朝7時10分・気仙沼出港、強い季節風の三陸沿岸沿いを微速で北上!

トドケ崎より、北東側へ…!

後方から来る各船の多くは、更に山の下(沿岸沿い)を航走、宮古に向けたよう…

16時・S/B。(スタンバイ・操業準備)

漁灯を拡げながら、西に夕陽からのシルエット、うっすらと陸中の山陰が見える…

日没と共に、調査開始!

他船は僚船を含め4隻…。

うねりは高いものの、風はさほど強くはなくなった、

それでも向かい風になると船首で叩いた波の飛沫が船尾を越えていく…!

18時頃に群れに当たるも、目視でわかる小さんまの群れ…

操業せずに航走、冷たい季節風で波飛沫のあたる頬が痛い…。

調査しながら北上、また季節風が強まり、追い風で東へ…

23時30分過ぎ、機関室内で燃料消費量を計算しようとしていると、

けたたましい後進時のエンジン音…!!

急いで操業ポジション・定位置へ…!

海面の白い波間からさんまが忙しく跳ねる!

大群である!!

魚体組成も悪くなさそう…

高波と強い季節風で揺れる甲板に、大急ぎで氷を揚げて、網を入れる…

大群操業!!

入魚魚艙は左舷側、右舷側、センターと

バランスをとりながら入れていきますが、

船のバラストをフルに使っても、網に入ったさんまの重みと

魚艙に入魚しているさんまで、船の傾斜は簡単には平らにならない…

氷の入ったカゴが滑ってきたりと、時化海での操業は普段の操業とは違う…!

連続操業の最中に、船首側のワイヤーに

網が乗ったまま落ちていくトラブルがあった…

そんな時に限って、さんまが入りすぎた…

ワイヤーを巻く過程で網が破損し、網を締めていく間に、

高波により船の船首側が大きくピッチング(上下に揺れる)

そのはずみで破損箇所が大破していった…

……船の大型化によって漁の効率性・能率・性能が大幅に良くなったが、

その分、漁撈機械への負担も大きくなっている…。

ましてや時化海…

操作・作業する我々が細心の注意をはらい、

状況にあった仕事をしなければならない…!

操業コンディションが悪い中、朝4時・一杯になった。

僚船に群れを渡して北上帰途航走、花咲向け!

左舷後方からの追い波強く、船は大きなローリングを繰り返す…

夜が明けて、少しずつ波が下がり、昼頃からは良い凪になった。

5日・13時から網の入れ替え作業。

船のすぐ隣でイルカの群れが遊ぶ…

今回も午後の陽が左舷後方から甲板を照らす…

19時過ぎに花咲入港予定!

…ブログの引っ越しが完了し、これまで読んでいただいていた方々以外にも

読んでいただく事を仮定して、

私のブログの記事更新は、簡潔に内容をまとめており、

さんま漁・さんまの漁獲が簡単に行われているように誤解されそうですが、

実はそれほど簡単な漁ではありません!!

夜間の操業、暗闇の海上を漁灯を照らして、

ソナー魚群探知機と探照灯でさんまを探し、北は北海道道東沖から

さんまの南下回遊を追って房総半島沖まで、

8月から12月までの4ヶ月・旬のさんまを鮮度良く流通させる為に漁をします!

光に集まる・南下回遊する、さんまの習性を利用した漁であり、

夜間にしか漁獲できないため、スピードも確実性も要求され、

昼の作業もあり、体力も必要な漁業です…!

それでも、良い仲間達(乗組員)が揃うと、楽しい職場(漁)でもある事、

親会社をはじめ、船に携わる多くの関連業者さん方々のおかげで

漁に没頭できている事を、ここに記しておきます…!