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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【4航海目】!

2022年09月14日 | モバイル

9月9日・朝7時30分、花咲入港。

1週間の航海、時化で2晩漁が出来なかった事でFo消費は約40kL
漁場も少しずつ西よりに推移してきている…

入港後即給水
帰航中にFAXで食料の仕込みをオーダーしており入港の際に積み込み。
Foと氷は入港順なので入港してから各箇所の積み込み数量をオーダー。
水揚げ所要時間が短い為、接岸してからは多忙である…

8時30分、花咲出港 凪良く公海向け…!
操業予定ポイントまで約36時間程。

10日・15時30分、S/B 。

日没から調査しながら各船操業中のポイント向け…

操業中の船団の明かりが見えており、ポイント着まで後少しの19時頃
探照灯で照らす先から、漁灯の明かりに跳ねてくるサンマ…

にわかに活気づく甲板 すぐさま操業開始…!

少しだけ纏まった群を操業
魚体組成もだいぶ良くなってきている。

数回の操業後、付近にはあっという間に船が集まった…
その後北よりに調査も、纏まった群はなく 南へ…
数隻の外国籍船の赤い明かりが近くなってきた…

夜明け前に数回操業して漂泊。

11日・16時S/B 。

日没前から付近には日本船が集まっていたが、日没後は各船が散らばった…




昨年が不漁の底で、今期からは回復していくことを念じていたが
現段階での漁模様も冴えない…
とてもじゃないがSDGsには程遠い…

表層海水温は約1℃~2℃程下がり19℃台、それでもまだまだ高水である…
南よりに調査範囲を拡げ、外国籍船団操業中のポイントに…

サンマは見えず…
夜明けまで踏ん張るも僅かな漁獲 北上し漂泊…

12日・16時、S/B 。

日暮れにあった魚探反応が日没と共に消えてしまった…
南西よりに調査。

大震災後に建造された最近のサンマ漁船、一昔前のサンマ漁船比で
船内居住環境がかなり良くなったが、その分多くの消費が伴う!

なかでも清水の消費量は著しく増加傾向に…
以前のような日本沿岸での操業であれば、容量的に間に合うが
公海操業では日数的に清水タンクの容量が心許ない…

船内と云う限られた空間、清水は貴重である!
乗船したての頃、口うるさく教え込まれた清水の大切さ…。

清水使用上、ふだんから要注意なのが蛇口の閉め忘れ!
特に洗濯機使用時の出しっぱなしと
過剰な洗濯洗剤による清水ゆすぎの過多…!
機関室内にある清水タンクのゲージで目視、確認しているし
清水使用時の注意書は掲示している!

沖乗り漁師の短所として
管理を甘くするとなあなあになってそれが当たり前の事になってしまい
そこの統制がとれなくなってしまう…!

そういう事を個人感で無視する輩が私は大嫌いだ…。
「自分一人くらい」という感覚でやる事を新人も真似をする…
そうなると注意書の掲示も効かない!

多くの漁船の中、船に一人か二人くらい、注意書等を無視する人間はいるものだが
そういう個人感や多様性は諸々を管理する者にとっては非常に厄介だ!
団体生活の中では船内ルールや注意書には従ってもらわねばならない。
最低限大目に見ることもあり、それの必要性もわきまえてはいるけれど…

「多様性の調和」は団体生活上の必須項目である!

そこで、匙加減と云う言葉を使えば

「鶴の一声の匙加減」が一番効果を発揮する!
ブレンドするスプーンが金のスプーンか銀のスプーンか
鉄のスプーンか… etc…
匙加減で調和の度合いは変わる!
それが多様性の調和・船内の多くの抑止力となる…!

沖合い漁場と薄漁により航海が長期化してきている
日本沿岸でサンマが獲れていた時とは違うのだ…。
管理する諸々は少なくはない…
いろんな事に気を付けていかなければならないのは私だけではない筈だ…!

…現在メンタル面の起伏が大きくて、自身の平静を保つのに四苦八苦だ…。
…管理責任の放棄も頭をよぎる…!

日没からの調査もサンマは薄く、灯付きも悪い…
数回操業も僅かな漁獲で22時、あきらめて帰途航走。

14日・朝6時30分頃の花咲入港予定。