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スーパー・ブラック・オニキス(Super Black Onyx)・BPS

2011-04-14 01:49:16 | RPGゲームReview

 『スーパー・ブラック・オニキス』(Super Black Onyx)は、BPSより88年にファミリーコンピュータ用ソフトとして発売されました。日本で最初期のRPGとしてPCで人気だった『ザ ブラックオニキス』をFCへと移植した作品で、移植の際に様々なアレンジ施され、全く別ものといってよい作品に仕上がっていました。また87年12月には、ゲームブック版の『スーパー・ブラック・オニキス』も発売されていますが、こちらもFC版とは別ものでオリジナルのPC版に近い内容となっています。


 ストーリーは、オニキスタワーと呼ばれる地上44階、地下18階の広大な迷宮を探索して、はかりしれない闇の力を秘めた宝石Black Onyxを封印をするために手に入れるというもの。原作では、Black Onyxは神秘的な力を秘めた富と名声の象徴という位置づけでしたので、少し設定が変わっています。なにより大きな変更だったのは、迷宮の構造。原作では、ウツロの町、町の地下に広がる6層からなる地下迷路、地下まで降りてカラー迷路を抜けた後、そこからタワー内を登って行き、町の上空に広がるブラックタワーに上がるという構成になっていました。本作では、14ものエリアに別れたオニキスタワーというひとつの迷路を上下に移動することになります。またオリジナルのブラックオニキスでは、容量の関係で削られたパーティのCLASS(職業)の概念も、HERO(戦士)、MONK(僧侶)、MAGE(魔術師)として入っていました。


 オリジナルのブラックオニキスは、当時のPCの多くの機種に移植されており、パッケージやデザインのイメージも統一されていたのですが、こちらはパッケージもがらりと変わり全くの別もの。画面がほとんど英語で表記されているということ、本格的な3DRPGということもあって、マニュアルもヒント集、マップ、英語メッセージの訳など入っており50ページと結構細かいものが付いています。というよりこれ、マニュアルなしでゲームすること自体困難だと思います。ファミコンらしからぬアダルトな感じを漂わせていて雰囲気はなかなか良いですね。


 オリジナル版ブラックオニキスのウツロの町。右上にブラックタワーが見える。うつろの町の廃墟より地下のダンジョンに降りていき、地下6階のカラー迷路よりブラックタワーを上がっていき、ブラックタワーの頂上に達する。このように、マップにメリハリが効いていて、物語を感じさせる仕掛けがしてあったのも名作といわれる所以かも。スーパーブラックオニキスでは、この点が弱かった。


 ゲーム画面もオリジナルのイメージとは随分異なっています。魔術師はGEMという宝石、僧侶はIKONというアイテムにより使用可能となります。オリジナルを残す部分としては、装備を変えた場合のキャラのグラフィック変更、床屋での髪型変更、名前の変更、パラメーターにLIFE、STRENGTH、EXPERIENCEに混じってKARMA(カルマ)も入っている、他の冒険者に話しかけて仲間にできるなど。クラーケン、オーク、デーモンなどお馴染みのモンスターも登場します。ただ全体的なイメージや遊んだ感覚などは、ほぼ別ものと言ってよいかと思います。


 個人的な思い出としては、85年~86年頃にオリジナルのPC版『ブラックオニキス』をPC-88版とMSX版で遊び、こちらは88年に懐かしい~と言う感覚で、中古FC本体と中古ソフト、攻略本を手に入れて遊びました。ただブラックオニキスのイメージとはあまりにもかけ離れすぎていて、あまり乗れず最初の段階で挫折してしまいました。ゲームブック版のほうは、90年前後頃に古本屋で手に入れて読んだ覚えがあります。オリジナルのブラックオニキスは、町、迷宮、ブラックタワーとマップにメリハリが利いていて、一度地下まで降りてから、タワーを上に上ってゆくなど立体的な構造になっていたのですが、こちらは壁紙の異なったマップが幾つも繋がっているという感覚で、(マップが広すぎるということもあって)変化に乏しいと感じたように思います。BPS開発のBPS発売なのですが、オリジナルとイメージが違いすぎて別ものと感じてしまいました。


 『スーパー・ブラック・オニキス』を語る場合外せないのが、ゲームブックとも共通した妙にかっこいいロゴと、ファンタジー調でどこか中国っぽい背景に、微妙な構図で配置されている(日本を連想させる)松という、妙に印象に残るパッケージデザインでしょうか。これ実は、YESのジャケットなどを手がけた画家、アートデザイナーであるロジャー・ディーン(Roger Dean)氏の手によるもので、氏は90年代にBPSと関わりがあったようです。1994~98年にかけては『Black Onyx』のデザインを担当し、開発プロジェクトにも参加していたようです。PS版だかPC版だかはわかりませんが、開発途中のBlack Onyxのムービーからは、氏の世界観っぽいものを感じることができます。このスーパー・ブラック・オニキス版パッケージイラストは、Freyja's Castle(フレアの城)というタイトルで氏の公式ページでも見ることができます。また一時期使われていたライオンの横顔のようなBPSロゴ、テトリスロゴなども手がけています。


 ということで、このFC版『スーパー・ブラック・オニキス』(Super Black Onyx)は、中古で売られている場合裸のものが多く、なかなか箱付きのものは見かけませんが、入手する際にはぜひ箱付きで出に入れたい一品だと思います。当時はわりと印象の薄い作品でしたが、実はオリジナルのザブラックオニキス、ゲームブック版『スーパー・ブラック・オニキス』にも勝るとも劣らない魅力を持った一本だと思います。

参考:Wiki ザブラックオニキス、ロジャーディーンの項、スーパーブラックオニキス取扱説明書、ロジャーディーン日本公式サイト


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