
『愛と青春の旅立ち』(82)は、リチャード・ギア主演のアメリカの青春映画です。(原題はAn Officer and A Gentleman) リチャード・ギアの出世作であり、代表作であるといえると思います。この邦題は日本でのヒットに大きく寄与していると思うのですが、この映画にはすこし甘すぎのイメージももたらしているような気がします。

『トップガン』(86)は、トム・クルーズ主演の青春映画です。これもトム・クルーズの出世作であり、また代表作でもあると思います。(原題もTop Gun) 監督は、リドリー・スコットの弟、トニー・スコット。この2つを並べて紹介するのは、個人的な思い出があるからなのですが、実はトップガンは愛と青春~をリメイクした作品なのだそうです。共通項としては、軍隊とエリート、挫折、友達の不幸、恋愛・・・などなど。また、主演俳優の魅力が、映画成功の大きな部分を占めていることも共通項と言えるでしょうか。
『愛と青春の旅立ち』は、さえない生活を送っている青年が、そこから脱け出すために海軍士官養成学校にはいり、鬼軍曹に鍛えられて成長を遂げてゆくという物語です。日本では、(そのタイトルからか)女性に受けがいい映画の代表格ともいえるようです。またあのファミコンウォーズのCMの元ネタでもあります。昔見たときには、あまりにも物語が上手くいきすぎて、出来すぎだという感想を持ったのですが、今の視点で見ると少し感想も変ってきます。
ヒロインはたいした産業もない田舎町で、今の現状から抜けだす術を持っていません。士官候補生を捕まえる事だけが、現状を大きく変える力を持っているわけです。ラスト主人公がエリート仕官候補生となって颯爽と旅立つのですが、ヒロインも同じく旅立つんですね。(今までの毎日ではないところへ) 甘い現代のおとぎ話のようなストーリの底には、現実の厳しい日常が横たわっていて結構リアリティ溢れる話なんですね。(女性に受けがいいというのも、そこからきてるのかもしれません)

『トップガン』の場合は、主人公は怖い物無しの若きパイロットで、お相手もエリート教官になっています。主人公の無謀さのため、友を失い挫折を経験する事となります。その挫折を乗り越えて一人前のトップパイロットとなってゆく話です。トムクルーズの若さと、爆走するカワサキ忍者(オートバイ)が、最新鋭の戦闘機とも重なって映画にかなりの躍動感、スピード感をもたらしています。とにかく映像の全てが新鮮で躍動感に満ちています。アメリカ空軍全面協力の元に作られ、当時は空軍のPR映画などとも言われましたが、主演のトム君の魅力も全開で、彼のプロモーション映画のような感じもしますね。また愛と青春~の舞台となった街が殺風景な感じがするのに対して、こちらの舞台となった街は生活感のまるでないリゾート地のような雰囲気を漂わせています。舞台となった場所が違い、テーマも異なるからでしょうが、82年と86年という時代の変化も背景にあるかもしれません。こちらは、セガの体感ゲーム『アフターバーナー』の元ネタでもあります。


個人的な思い出としては、80年代の終わり頃、これらの映画を2本立てのオールナイトで見た記憶があります。あれこれあって落ち込んでいたか、なんだか元気が無かった時で、とにかく戦闘機の爆音と激しい音楽に意味もなく元気付けられたような思い出があります。また学生の頃にはバイクでよく遊んでいたのですが、カワサキ忍者を所有する友達が、なんどもトム君の疾走シーンを繰り返して見ていた事を覚えています。戦争を賛美する映画だという言われかたも当時はよくされていましたが、個人的には疾走するエネルギーと躍動感が、これらの映画を名作に昇華させているような気もします。これらは(ある意味、80年代らしい)、80年代を代表する青春映画、恋愛映画のひとつであるといえると思います。
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