

オイルギャング(OIL GANG)は、エポック社よりエポック・ポケットデジコムシリーズの1つとして1982年に発売されました。まずは、ポケットデジコムシリーズの第一弾として“パクパクマン”が登場し大ヒット、その第2弾として“モンスターパニック”と同時期に登場したものだったと思います。当時人気だったパックマンという題材、かわいらしいキャラ、(パターンが作りやすく、だれで最高得点までいけるという)優れたゲーム性をもった“パクパクマン”と、多彩なモンスターと、それぞれが異なった動きと、異なる対処法を必要とした、アクション性・ギミックに優れた“モンスターパニック”に対して、中東のオイルギャングというちょっと地味なキャラ、パイプラインからタンカーに石油を流すという地味な題材・設定で、こちらは前の2作に隠れてしまったような印象となりました。この当時、パクパクマン、モンスターパニックは何人も持っており、学校などでやり込むほど遊んだ覚えがあるのですが、これを持っていた友達の記憶はほとんどなかったように思います。そのためか、このゲームはかなり後までおもちゃ屋のショーケースなどで売れ残り品として見かける機会が多く、90年初頭くらいに模型店の隅で見かけて、なつかし~と思ったことがありました。発売当時よりも、そういった後からの遭遇によって、より印象に残るゲームだったと思います。現在でも、レトロ専門店などに行くと、未使用品をよく見つけることができます。

同時期の2作があまりにも売れたため、それらに隠れた印象になっていますが、ゲームとしてはとてもよくできています。ゲームの内容は、オイルタンクからパイプを通してタンカーまでオイルが流れるてくるのですが、それを狙ってくるオイルギャング団を阻止してタンカーに規定量オイルを溜めるというもの。はしごがランダムに出現して近道ができたり、写真にはありませんが画面右端に爆弾が出現して、ギャングが火をつけるというしかけもありました。この時期、日本物産が発売していた“フリスキートム”(電子ゲームはバンダイより発売)に似ていますが、それらの大元のネタ元は、1976年にアメリカで開発されたWaterWorks(水道管ゲーム)というカードゲームだと思います。この水道管よりの水漏れを塞ぐという設定のものは他社からも出ており、電子ゲームには(なぜか)よく使われた題材でした。ただ、舞台を中東としたこと、設定をパイプラインとオイルを狙ってくるギャング団としたことで、このゲーム独特の雰囲気や個性は出ており、電子ゲームの名作のひとつだといってよいと思います。

このオイルギャングに追加されてたエポック独特のギミックが、ギャング団を率いるボスとの対決です。パイプラインを守っていると、時折ボスが登場してハンマーを振ってきます。そのままにしておくと、オイルを盗まれてさらに足止めをくらいますので、ハンマーを振り上げた時にふところに飛び込んでパンチで撃退します。最初のうちはよいのですが、面が進んでくるとハンマーを振り下ろす速度が速くなること、突然表れることなどから、ボス攻略がこのゲームの鍵になっています。このボス戦は、同時期発売の“モンスターパニック”的なギミックで、わりと単調になりがちなこの種のゲームに彩を添えていたと思います。

ということで、オイルギャング本体です。未使用品で、電池も東芝製の当時もの。おそらく店のデッドストック品で、紹介のため開けて遊んでみましたが、30年近く遊ばれていなかったものを、今になって開封するというのも躊躇してしまいます。当時6,000円程しましたので、(ゲームウォッチほどの高級感はないですが)作りもしっかりしていて、最近の1,000円ほどのMINIゲームとはあきらかに質感がちがいます。パッケージ、本体ともデザイン的にも優れていて、レロトな感じがどことなくお洒落。

このゲームには、発売当時の思い出と、90年代以降に玩具店でデッドストック品と遭遇したときの記憶とが交錯して、時代を超えた(またがった)印象があります。オークションにも良く出てくるようですし、リサイクルショップで電子ゲームと遭遇する場合でも、これと出会う確率は高いと思います。その割には、あまり売れてなくなってしまう印象がありませんので、スルーされてしまう率も高いのでしょうか。ただゲームとしても完成度が高く、今遊んでも十分に熱中できますので、安く売っていたら買いの一品だと思います。
参考:帰ってきた電子ゲーム、GAME&WATCH ゲームウォッチ カンストへの道、Curo.jp
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