『ハードドライビン』(HARD DRIVIN')は、1989年に米アタリ社から発売されたアーケードゲーム。早い時期にポリゴンを使用した作品で、かなりリアル指向で製作されており、ゲームというよりはドライブシミュレーターとでも言うべき特徴を持っていました。『レースドライビン・ア・ゴーゴー』は、続編ともいえる『レースドライビン』(90)のPS・SS版で、1996年に発売されました。
写真は、アタリの子会社であるテンゲンより発売されたメガドライブ版。
ポリゴンを使用した初期のものは、その特性からナムコ『ウイニングラン』(88)、セガ『バーチャレーシング』(92)など、リアルさを追求したシミュレーター的な作品が多く作られていました。空気抵抗や摩擦などの概念を取り入れたり、ちょっとしたミスでコントロールを失うなど、リアルな反面非常に難しい(シビアな)作品が多かったように思います。(ポリゴンではありませんが)タイトー『ミッドナイト・ランディング』(87)、その続編の『トップ・ランディング』(88)、ヘリの操縦をシミュレートした『エア・インフェルノ』(90)など、もともと3Dを使用したゲームは、主に“フライトシミュレーター”を中心としたものが多かったからでしょうか。それが『リッジレーサー』(93)の登場により一変します。これは、物理法則やリアルな挙動よりもゲームとしての楽しさに主眼をおいて製作されており、(面白ければ)実車の動きとは異なっていてもかまわないという方向性で、具体的には挙動の正しさより、ドリフトをする楽しさを前面に出していました。以後の車のゲームは、大体この路線を踏襲しており、リアルさを追求したものは『グランツーリスモ』(97)までは少なかったように思います。対して、この『ハードドライビン』は、ある意味『リッジ』の対極とでもいうべき作品でした。
この作品には様々な特徴がありますが、まず筐体が(リアル指向に)非常に凝っていた点があげられます。この手のドライブゲームとしては、かなり珍しいクラッチ付き(それも重い)の4段ギア、ハンドルもパワステのない重いもの。ゲームは、イグニッションキーを捻ることによりスタートします。
ルールは、規定時間内にコースを回るというもので、トリッキーなスタントコース、高速で回るスピードコースが準備されてました。スタントコースでは、360のループやジャンプなどもありますが、どちらかというと派手な演出とは無縁で、教習場のコースを回っているような感じでした。ポリゴンを使った最初期のレースゲームということもあり、クラッシュしたあとに再現が行われるインスタントリプレー機能も備えていました。時折対向車がすれ違う程度で、ライバルカーとのバトルというようなものはなく、ハンドルが非常に重いため、切り過ぎると横を向いてしまうなど(運転そのものが非常に難しい)、車の運転そのものを楽しむゲームになっています。(※チャンピオンシップラップでは、ライバルとしてゴーストカーが出現)。当時、車の免許を持っていなかったのですが、ギアをマニュアルで操作する余裕もなく、車の運転とはこんなに難しいものなのだろうかと思った記憶があります。
PS版『レースドライビン・ア・ゴーゴー』
コンシューマ向けに大幅にアレンジされています。
アタリを特集した『謎のゲーム魔境2』
どちらにしてもBGMもないシンプルなゲームのため、同時期稼動していたアウトランの陰に隠れて日本では、それほど人気は出なかったようです。しかし印象には残るゲームで、衝突すると『モー』となく牛など、知名度は高いゲームですね。凝った大型筐体のため現在では遊べるところはほとんどないようですが、車の運転をするようになった現在、再びクラッチ付きのマニュアルモードで遊んでみたいような気がします。
参考:Wiki アタリ、テンゲン、ハードドライビングの項
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます