

これは、電子ゲーム後期(83年頃)にバンダイより発売されたTECTRON(テクトロン)シリーズのNo.3コマンドレーダーです。同シリーズには、No.1『エッチな小人』、No.2『オモラシベイビー』、No.3『コマンドレーダー』の3種が発売されていました。箱には、エレクトロニクス テクトロン LSI GAME&AM RADIO&ELKITと書かれています。電子ゲームブームも後期になると、単なるゲームだけではなく電卓付き、ソーラーパネル付き、液晶画面ダブル(トリプル)パネル、など色々と趣向をこらしたものが登場しました。このTECTRON(テクトロン)シリーズは、その中でも極め付きのもの(企画モノ、イロモノ)だったといえるでしょう。No.1『エッチな小人』は、お姫様の洋服を狙ってくる小人を天使を使って撃退するという内容。No.2『オモラシベイビー』は、ベッドで寝ている赤ちゃんのお漏らしをこぼさないよう拾いゴミ箱に捨てるという内容でした。ブーム後期になると、電子ゲームも値がこなれて入手しやすくなっていたとはいえ、なかなかこの内容に6,000円払うのは勇気がいるように思います。とはいえ2つともその内容からインパクトは絶大で、今でも記憶に残っている方が多いようです。このNo.3『コマンドレーダー』は、あまりにも地味な内容のため、それらのインパクトに隠れて埋もれた珍品とでも言えるでしょうか。

ゲームの方は、敵機がトラックと基地を狙って爆撃をしかけてきます。トラックは高射砲の弾を運んでおり、爆撃を避けながら基地に入れなければなりません。基地には高射砲が付いており、標準の中央に入ってきた敵機を撃ち落すことができます。トラックを爆撃されてしまうと高射砲の弾が補充されなくなり(基地には4発しかストックされない)、敵機を撃ち逃してしまうと基地が爆撃を受けてしまいます。トラックか基地のどちらかが3回爆撃を受けてしまうと、ゲーム終了になります。ということで、この当時のものとしては(かなりシンプルですが)標準的な内容だと思います。ただ『エッチな小人』と、『オモラシベイビー』のインパクトの前には、あまりにも普通すぎて(ネタとして)友達に受けるために買う、という購入層も期待できなかったのでは。それ以前に、存在すら知られていなかったというところかも知れませんが。

ただ当時6,000円もしたものだけに作りはしっかりしていて、それなりに高級感もあります。インパネ前方には、これ見よがしに基盤が見えておりLEDライトが装着されています。この透明な部分が外れてプリント基板に電子部品を差し込むようになっており、シリーズ一番の売りである電子キットとして遊べるようになっています。またLSI GAME&AM RADIO&ELKITと謳ってあるように、シリーズ共通の特徴としてラジオも聞けるようになっています(時計とアラームも共通)。電子キットは機種ごとに異なっており、『エッチな小人』は、スピードメーター/ストップウォッチ/タコメーター、『オモラシベイビー』は、リズムボックス/メトロノーム/データー暗号となっており、『コマンドレーダー』では、ランプフラッシュ(基盤に付いているLEDが点滅)/モーターコントロール(玩具用モーターの回転速度を制御)/モールス信号となっていて・・・ってシリーズ最後のためネタが尽きていたのでしょうか。電子キットでも負けてます。(というか、LEDランプ点滅とモーター制御っていったい何に使うんでしょうか)
ラジオの付属品としてイヤホン付き。それ以外にモーターリード線、アースリード線、ジャンパー線、トランジスタ、ビス&ナット、ストラップが付いています。学研の教材みたいです。
説明書にはキット部内部構造の写真が入っており、ゲーム用LSI内にゲーム、キット、時刻、アラーム用それぞれのプログラムが入っており、キー入力により必要な出力を取り出せる旨の解説があります。あの当時は、こんなの(LSIとか、電子回路とか、マイコンとか)がかっこよく感じたんですね。

ということでメジャー所の電子ゲームサイトでも、扱ってもらえない地味なやつ『コマンドレーダー』君でした。TECTRON(テクトロン)シリーズ自体があまり売れなかっただろうと思いますが、これはその中でも更に輪をかけて売れてない気がします。私が入手したのは未使用品だったのですが、あの頃から時間を止めたまま手に取られるのを待っていたんでしょうか。そのように考えると、古い玩具はどんなものでも感慨深いです。
参考:帰ってきた電子ゲーム『エッチな小人』の項
確かにこの2つに比べるとインパクトに欠けますが。
ひょっとするとかなりレア物かもしれませんね。
レアといえばレアみたいですが、欲しいと思う人が少ないので、値が付かないという感じでしょうね。その前に、存在すらあまり知られてないのでしょうが。