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『アクアノートの休日』は、1995年にアートディンクより発表された海底を探索するシュミレーションゲーム。作者は、『太陽のしっぽ』、『巨人のドシン』の飯田和敏氏。改良を施した限定版『アクアノートの休日 MEMORIES OF SUMMER 1996』が96年、続編『アクアノートの休日2』が99年に発表されています。
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これは、PS初期の実験的な作品としては、かなり有名な作品。内容は、第一線を退いた海洋調査員となって、潜水艦を操り未知の海域の調査と漁礁作りをするというもの。一応ゲームらしい目標は設定してありますが、どちらかというと気ままに海底散策を楽しむのがメインとなるゲームです。PS1の初期には、このようなゲームとも言えないような、従来のゲームの枠を超える実験的な作品がたくさん作られていました。ある意味、それらのお手本となったような作品です。癒しという言葉が流行っていた時期でもあり、先鋭的な作品として、(トリップだのドラッグだの)必要以上にもて囃されてしまった部分もあったように思います。
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それでも、PS登場時にポリゴンを使って3次元の仮想空間をつくり、その中を自由に行動できるのは、かなり斬新でした。私もこれがやってみたくて、(中古で1万円を切るほどになってからでしたが)PS1を手に入れました。この海は無限に広がっている訳ではなく、端のほうには岸壁がそびえていて、行き止まりになっています。それでも隅から隅まで回るのに、1時間半ほどかかるといわれる程度には、広大でした。また深度によって生息する生物も変りますので、同じ場所でも海底と海面近くでは、景色も一変します。また飽きないように適度に、沈没船や幽霊船、ピラミッド、巨人の足跡、巨大な古代魚、海底に沈んだ古代の遺跡などが配置してあり、それを見つける楽しみもあります。
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海底深く潜るというのは、深層心理の奥底に降りてゆくということの暗喩でもあるそうです。また海=羊水でもありますので、胎児期への逆行というような意味もあるかもしれません。作者の飯田氏は、多摩美術大学の油絵科を卒業されたアート系の方ですが、ユングなど心理学的な意味合いも、この作品には込められていたようです。また深海でゆったりと動く巨大なマッコウクジラと出会うなど、なかなか普通ではできないような体験もさせてくれます。隠し要素として、白いイルカもこの海には生息していて、彼(彼女?)は仲良くなる事ができれば、プレイヤーの後を付いて回るようになります。この辺りは、ちょっと『海のトリトン』を連想させます。このように心理的な部分と、神秘的な演出が、この作品の重要な要素になっています。
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この作品で飯田和敏氏は、いちやく注目の作家となりました。この頃は、飯野賢治氏などゲーム製作者が作家として認知され、もて囃されていた時期でもありました。『アクアノートの休日2』は、より画面が美しくなり古代の恐竜まで登場するなど、かなりのパワーアップはされています。しかし飯田氏は携わっておらず、神秘的な部分というのは後退して、純粋に海底散歩を楽しむ要素が強くなってました。『アクアノートの休日』も、『休日2』も、中古で簡単に(300円~程度)手に入ると思いますので、まだ未体験の方には結構お勧めです。夏向きの作品ですけど。
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