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アクアノートの休日・アートディンク

2007-03-14 22:28:19 | レトロゲームReview

 『アクアノートの休日』は、1995年にアートディンクより発表された海底を探索するシュミレーションゲーム。作者は、『太陽のしっぽ』、『巨人のドシン』の飯田和敏氏。改良を施した限定版『アクアノートの休日 MEMORIES OF SUMMER 1996』が96年、続編『アクアノートの休日2』が99年に発表されています。


 これは、PS初期の実験的な作品としては、かなり有名な作品。内容は、第一線を退いた海洋調査員となって、潜水艦を操り未知の海域の調査と漁礁作りをするというもの。一応ゲームらしい目標は設定してありますが、どちらかというと気ままに海底散策を楽しむのがメインとなるゲームです。PS1の初期には、このようなゲームとも言えないような、従来のゲームの枠を超える実験的な作品がたくさん作られていました。ある意味、それらのお手本となったような作品です。癒しという言葉が流行っていた時期でもあり、先鋭的な作品として、(トリップだのドラッグだの)必要以上にもて囃されてしまった部分もあったように思います。



 それでも、PS登場時にポリゴンを使って3次元の仮想空間をつくり、その中を自由に行動できるのは、かなり斬新でした。私もこれがやってみたくて、(中古で1万円を切るほどになってからでしたが)PS1を手に入れました。この海は無限に広がっている訳ではなく、端のほうには岸壁がそびえていて、行き止まりになっています。それでも隅から隅まで回るのに、1時間半ほどかかるといわれる程度には、広大でした。また深度によって生息する生物も変りますので、同じ場所でも海底と海面近くでは、景色も一変します。また飽きないように適度に、沈没船幽霊船ピラミッド巨人の足跡巨大な古代魚海底に沈んだ古代の遺跡などが配置してあり、それを見つける楽しみもあります。


 海底深く潜るというのは、深層心理の奥底に降りてゆくということの暗喩でもあるそうです。また海=羊水でもありますので、胎児期への逆行というような意味もあるかもしれません。作者の飯田氏は、多摩美術大学の油絵科を卒業されたアート系の方ですが、ユングなど心理学的な意味合いも、この作品には込められていたようです。また深海でゆったりと動く巨大なマッコウクジラと出会うなど、なかなか普通ではできないような体験もさせてくれます。隠し要素として、白いイルカもこの海には生息していて、彼(彼女?)は仲良くなる事ができれば、プレイヤーの後を付いて回るようになります。この辺りは、ちょっと『海のトリトン』を連想させます。このように心理的な部分と、神秘的な演出が、この作品の重要な要素になっています。


 この作品で飯田和敏氏は、いちやく注目の作家となりました。この頃は、飯野賢治氏などゲーム製作者が作家として認知され、もて囃されていた時期でもありました。『アクアノートの休日2』は、より画面が美しくなり古代の恐竜まで登場するなど、かなりのパワーアップはされています。しかし飯田氏は携わっておらず、神秘的な部分というのは後退して、純粋に海底散歩を楽しむ要素が強くなってました。『アクアノートの休日』も、『休日2』も、中古で簡単に(300円~程度)手に入ると思いますので、まだ未体験の方には結構お勧めです。夏向きの作品ですけど。


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