
『恋しくて』と、『ルーカスの初恋メモリー』は、ともに80年代のアメリカのハイスクールを舞台にした青春映画です。80年代には、このような青春映画が数多く作られていました。なかでも有名なのが、青春映画の旗手ジョン・ヒューズ(John Hughes)監督による作品群です。ブレックファスト・クラブ』(The Breakfast Club)(85)を始めとして、すてきな片想い(Sixteen Candles)(84)、プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角(Pretty in Pink)(86)、フェリスはある朝突然に(Ferris Bueller's Day Off)(86)、恋しくて(Some Kind of Wonderful)(87)など、様々な作品がありました。ただ90年代の『ホーム・アローン』(Home Alone)の大ヒット以降は、青春映画からは離れてしまったようです。※( )内は、全て原題。

『恋しくて』(原題:Some Kind of Wonderful)は、1987年公開のアメリカの青春映画です。製作・脚本はジョン・ヒューズ、監督はハワードドイッチ。主演は、主人公キースにエリック・ストルツ、幼馴染ワッツにメアリー・スチュワート・マスターソン、主人公が憧れるクラスのマドンナ・アマンダにリー・トンプソン。主人公のキースは、ちょっと地味なクラスでもさえない青年。彼にはボーイッシュな幼馴染みのワッツがいるが、彼女の気持ちに気づかないまま、同じクラスの魅惑的なアマンダに憧れ夢中になってしまう。ワッツは自分の気持ちを抑えたまま、彼の手助けをしようとするのだが・・。物語自体は、(よくまとまってはいるけれど)わりとありがちな話で 、特に特筆するようなところはありません。この映画の魅力は、一にも二にもワッツを演じた、M・S・マスターソンにあると言えるでしょう。

この映画は、製作者が彼女を見つけたことで撮る気に(製作が可能に)なったとどこかで読んだ覚えがありますが、そのくらい彼女の魅力が炸裂(youtube)しています。M・S・マスターソンは、両親とも俳優で子役としても活動してきたようですが、これが彼女の出世作となっています。また映画内では、損な役回りを演じたL・トンプソンですが、この頃は人気者で様々な映画に出演していました。主演のE・ストルツは、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主演だったのですが、6週間ほど撮り終えたところで高校生にはみえない(イメージとあわない)と、交代を余儀なくされてしまったとか。ということでL・ トンプソンも出演していますので(時期もバック~と同時期)、幻の『バック・トゥ~』はこんな感じだろうかと、想像することもできます。べたな邦題(それでもこれ以外にはない)で、敬遠される方も多いと思いますが、爽やかでよい青春映画です。恋しくて - goo 映画

『ルーカスの初恋メモリー』(原題:LUCAS)は、1989年公開(86年製作)のアメリカの青春映画です。こちらはジョン・ヒューズ作品ではなく、当時人気だった若手スター、チャーリー・シーン、コリー・ハイム、ケリー・グリーン(グーニーズ)、ウイノナ・ライダーが出演した、アイドル映画的な作品です。物語は、昆虫好きな14歳の高校生ルーカス(コリー・ハイム)が、転校してきた少女マギー(ケリー・グリーン)と仲良くなるところから始まります。やがてマギーも学校になじむにつれ、フットボール選手キャビー(チャーリー・シーン)と知り合い仲良くなってゆきます。それが理解できないルーカス少年は、自分もフットボール部に入部して彼と張り合おうとするのですが・・。ウイノナ・ライダーは、ルーカスを見守る少女リナ役で出ています。これがデビュー作ということもあって、他のキャストに比べればちょい役っぽいです。

タイトルのLUCASというのは、ジョージ・ルーカスとは関係なくセミのスラングなんだとか。14歳の高校生という設定もあって(飛び級でしょうか)、ルーカスだけは少年ぽいわけです。大人になるまで土の中で何年も過ごすセミと、主人公を重ねた意味合いもあるのでしょう。大人びた同級生たちと、必死に対等に行動しようとするルーカス少年(youtube)がいい味出しています。またこの映画も、ウイノナ・ライダーの魅力が炸裂しちゃってます。これがデビュー作なのでちょい役なのですが、主演の女の子を食っちゃってます。この後、スター女優としての階段を瞬く間に上がってしまいました。本当はブロンドなのだそうですが、この映画の役作りのため黒髪に染めショートにしたのだとか。それがそのまま彼女のイメージになっていますので、ここでのイメージ作りは成功していたということなのでしょう。ルーカスの初恋メモリー - goo 映画


このような感じで80年代には、たくさんのアメリカの青春映画がありました。広々とした芝生のキャンパスに思い思いの服装で通学して、車で遊んだり、ダンスパーティに出席したり。ある意味、こんな世界もあるんだな~と憧れのキャンパスライフでしたね。
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