虹
だいぶ前のことになった。
父親のリハビリを終え、病院の前の
通りに出て、坂道を東南東の方角に
下ってゆくと、眼下の彼方、島々が
見えるあたりの上空に、虹が出た。
虹は好きなので、嬉しい。
それから、集落内を出て、県道に出
て車を走らせると、車の頭上を雨が
降り注いだ。
すると、車のボンネットの手前の雨
の中に、虹が浮かんだ。
びっくりである。始めての経験だ。
普段、車に乗って見る虹は、視界の
彼方に見ることが多い。
いつも見ている虹の橋は地平線で消
える。
今日はその虹が車のボンネットの手
前まで伸びていて、その虹を踏みつ
けるように車は走る。
非常に不思議な気分で、車を走らせ
る。
いつぞやは、虹の橋をくぐったらど
うなる?なんて、ブログに書いたの
だが、この前は、その虹を轢いて走
った。
なんとも不思議な気分だった。