ネットの記事を読んでいたら、次ぎのような
タイトルが目についた。
ファーストクラスに乗る人が機上で読む
本リスト
とあって、いろいろな本が紹介されていた。
その中で、『男の作法』 池波正太郎著(新潮文庫)
に興味がわいた。
彼の鬼平犯科帳を全巻、読み終えたことが
あったからである。
読む前は、ありきたりの説教話かと、思った
のだが、読んでびっくりである。
着物の着方について、寿司の食べ方、洋服の
着方等、センスの問題について、書いていた
のだが、品を身につけるということが、こん
なにも手の込んだことなのかと、愕然として
しまった。
自分の無教養さに、絶句する。と同時に、
いかに、上昇志向で、野心を抱いても、
自分の身の程を超えられない壁というのを
思い知らされてしまった。
それにしても、この本を20代の前半で読ん
でいればと思ったのだが、わたしは、学生運
動に大きく影響されていたから、この本をブ
ルジョア的だと、糾弾したかも知れないので、
それは、無理な話だったかも知れない。
そういう意味では、このような素養な獲得と
いうのは、望みようはなかったのかも知れな
い。
ただ、解説を書いた、1931年〈昭和6年〉
生まれの小説家・翻訳家、常磐新平氏も20
代で読んでおきたかった。おそくとも30代
に読みたかったと、書いているので、みみっ
ちい話だが、少し、安堵してしまった。
この本を読んで、はっきりしたことがある。
下手な背伸びをして、格好つけるものでは
ない。自分の分をわきまえたつつましい生
活をすべし。
下手な悪あがきは、下品にしかならないと。
身の程をふまえ、上品でありたいものだ。
しかし、まだ読まれてない方には、一読を
お薦めしたい。
身につくかどうかは、別として、知っておい
た方が良かったということはあるかも知れな
い。