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リタイアーのよもやま話

カネで買えぬ?幸福感、年収7・5万ドルで頭打ち

2010-09-07 20:36:41 | 経済
ヤフーのニュースである。


以下、その記事である。


カネで買えぬ?幸福感、年収7・5万ドルで頭打ち
読売新聞 9月7日(火)13時4分配信

【ワシントン=山田哲朗】

収入が上がるにつれ生活の満足度は上がるものの、
必ずしも幸福感が増すとは限らないとする調査結果を
ダニエル・カーネマン米プリンストン大教授らがまとめ、
米科学アカデミー紀要で7日発表する。

「幸福は金で買えない」という通説を裏づける報告と
言えそうだ。

カーネマン教授は、米国人45万人以上を対象に調査
会社が実施した電話調査のデータを基に、年収と幸福の
関係を統計的に分析した。

暮らしに対する満足度を10段階で自己評価してもらう
「生活評価」の数値は、年収が増えるにつれ一貫して
上昇した。

しかし、「昨日笑ったか」などの質問で測る「感情的幸福」
の度合いは、年収7万5000ドル(約630万円)前後
で頭打ちになっていた。

教授は「高収入で満足は得られるが、幸せになれるとは限
らない」と結論している。

最終更新:9月7日(火)13時16分


以上。


面白い調査が行われたものだと、興味深く思った。

ある意味で、年収7万5000ドル(約630万円)
で、充分だと言えるのか?


その他ネットより資料

プリンストン大学の調査により、世帯年収が7万5000ドル
(約631万円)以下の人では収入と「喜び」や「満足感」
といった感情は比例するのに対し、7万5000ドルを超えると
「稼げば稼ぐほどハッピーになれる」というわけではなく
なってしまうことが明らかになりました。

この7万5000ドルという額がどうやら「仕事のストレスや
仕事につぎ込む時間の長さ」と「稼いだお金で買える物や
体験」が相殺しあうようになるしきい値となっているよう
です。






仕事に打ち込んで年収1000万を稼ぐようになっても
年収630万円の人より幸福になれないのなら、仕事を
頑張る意味がなく不毛なのではないか、と思ってしま
いますが、これはあくまで「日々感じる生活に対する
満足感や幸福感」の話であって、自分の人生全体を
自己評価したときには、例えば年収12万ドルの人は
年収7万5000ドルの人より自己評価が高く、年収16万
ドルの人は年収12万ドルの人よりさらに「人生に満足
している」と答えるそうです。

研究を行ったプリンストン大学で経済学と国際関係論
を専門とするAngus Deaton教授は、「幸福という言葉
は、広い意味を持つことを考慮する必要があります。

自分の人生を全体として見たとき、うまく行っていると
評価できるという意味での『幸福』がある一方で、今
この瞬間の心理状態はどうか、日々の生活で心の満足を
得られているかという意味での『幸福』も存在します。

後者の意味での幸福度は年収7万5000ドルを超えるとそれ
以上稼ぐようになっても向上しないのですが、前者の意味
での幸福、人生に対する自己評価は、高所得者層だけを見
ても、収入と比例して上がっていくのです」と語っています。

米国科学アカデミー紀要に掲載された研究では、2008年と
2009年に45万人のアメリカ人を対象に世帯収入や調査前日
の感情の状態、人生や生活に対する自己評価を調査した
Gallup-Healthways Well-Being Indexのデータを用い、
2種の「幸福」と収入の関係を調べました。

その日の心理状態という意味での「幸福」と、人生に対する
満足感という意味での「幸福」というのは異なるものだ、
とDeaton教授は述べています。

例えば、調査を受けた前日はたまたま上司にしかられたり、
スピード違反で切符を切られたため気分がふさいでいたが、
人生全体にはおおむね満足している、という人もいれば、
調査を受けた前日には友人や家族と出かけたり、楽しいこと
があったので良い気分だったが、人生について評価してみる
と満足しているとは言えない、という人もいるはずです。

その2つの「幸福」のどちらが重要かというのは哲学的な
問題で、個人の価値観によって異なるだろう、とDeaton
教授は述べています。

「それはとても難しく、深い問題で、どちらの幸福も重要
です。

いまこの瞬間に悲しい気分の人にとっては、その人の人生が
全体としてうまく行っているとしても、それで悲しみが紛
れるというわけではないのですから」

これまで多くの社会科学者や心理学者が「幸福度」の測定
方法を模索してきましたが、今回の研究は「いまこの瞬間の
幸福感」と「自分の人生全体を幸福と思うかどうか」という
2つの側面を切り離して分析することにより、長い目で見た
幸福度は高所得者であっても収入とともに上がり続けるが、
日々感じる瞬間的な幸福度は、年収7万5000ドルを境に収入
が増えても上がらなくなるという、興味深い結果を得ています。

この結果はこれまでに収入と幸福の関係について調べたさま
ざまな研究結果とも合致していて、アメリカに限らず「収入は、
一定の額に達するまでは幸福度に影響するが、ある額を境に
それ以上稼いでも幸福度は上がらなくなる」という傾向がさま
ざまなデータから示唆されているそうです。

参考までに世帯年収7万5000ドルというのがどの程度の収入なのか
というと、2008年のアメリカの世帯年収の平均は7万1500ドルで
あったのに対し、中央値は5万2000ドルだったとのこと。

ごく一部の億万長者が平均値を押し上げているというわけなので、
中央値を重視して考えてみましょう。

「貧困層」と呼ばれるのが世帯年収が中央値の半分未満、つまり
年収2万6000ドル未満の層であることを考えると、年収7万5000
ドルというのはその約3倍。

生活に困ることなく比較的裕福な暮らしができる収入、例えば
子どもを私立の学校に入れることができたり、ローンを組んで
住宅を購入することができる収入、といったイメージでしょうか。

日本では2008年の世帯所得の平均は556万2000円、全世帯の中央値
は448万円となっているので、中央値との比から計算すると、アメ
リカでいう年収7万5000ドルというのは日本でいう年収646万円程度
となりそうです。

また、「病気」や「離婚」といったネガティブな出来事の心理的
影響は、所得が低い人の方が高所得者と比べ同じ出来事から受ける
ダメージが大きく、逆に週末のレジャーなどの「気分転換」や
「ちょっといいこと」からどれくらい元気づけられるかというと、
高所得者の方が低所得者より同じ出来事からより多くの幸福感を
得られるという傾向も明らかになったそうです。

「あらゆる側面で、貧しい者にとって人生は厳しいのです」と
Deaton教授は語っています。