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リタイアーのよもやま話

父親再生

2010-09-06 11:06:45 | 書評紹介

書評紹介

新聞の書評に興味深い文章があった。

父親再生 信田さよ子著 NTT出版の書評を杉山由美子・
フリーライターが書いている。

その中で、「始末が悪いのは、能力、経済力、あらゆる面で
息子より優れた父だった。挫折し続ける息子を助け、理解
しようとする父には、息子を抑圧している自覚がないのだ。」

このような文章があったのだが、なんとも皮肉な話である。
父親が人間として、より理想に近づくにつれて、父親は、
後続の世代の成長の桎梏となる。




そして、「無関心な父も、完全な父も、支配的な父もいけない
となると、どんな父がいいのか。

著者は、『妻や息子を抑えつけず、時にケアしてくれる。家族
に愛されようとする父が合格』と言う。」としている。

このようなことができる程、男は強いのだろうか。「時にケア
してくれる」なんて言っているが、このような厳しい時代に
あって、いつも背伸びせざるを得ない男にとって、かえって
男の方がケアされたいのだ。

今の時代に「男を務める」なんて、難儀なことなんだから。

泣きながら男を務めざるを得ない男に、家族に愛されよう
なんて、ゆとりがあるのだろうか。

かえって、男の方が誰か俺を「かまってくれ」なんて、
泣いて暮らしていると思うのだが。


それは、ともかくとして、彼女の提言するような男像を務める
ために、男の方が心労で、倒れそうだ。

しかし、彼女の提言するような男であっても、やはり、それ
なりに、問題を引き起こすと思うのだが。

まだ、彼女のいうような男が一般的でないから、解決策の
ように見えているだけだと思うのだが。


そして、著者は提案している。

「まずは青春時代に学生運動を経験し、その後は企業戦士として
働いてきた自分のことを、自身の言葉で語ってはどうだろうか、
と。
そうしてさび付いた感情を解きほぐすことが、家族にとって望ま
しい存在になる一歩なのだ」

これは、厳しいね。そう簡単にできるものではない。

わたし自身も団塊の世代だから、何十年も振り返りながら、
生きてきた。

70年代半ばから、学生運動が急激に下火になるのに、
戸惑いながら。

時を経るにつれて、次から次へと新しい情報が開示され
過去を振り返る書物が出版される。

その都度、過去の評価をやり直す。そして、そのたび、
自分たちが考えていた見え方とは、全く違ったものが見えて
きて、戸惑いっぱなしだ。

その都度、わたしたちが思っていたことは、ただたんに、
時代的制約を伴いながら、思い込んでいただけなのでは
と悲しい結論が出てきそうだ。


信田さよ子氏は、プロフィールを調べてみた。

1946年(昭和21年)生まれ。臨床心理士。

1946年、岐阜県生。69年、お茶の水女子大学文教育学部
哲学科卒業、73年、同大学院修士課程(児童学)修了。
95年より原宿カウンセリングセンター所長。臨床心理士。


彼女が学生運動の経験があるのか、民間企業の経験があるのかと
知りたかったが、この履歴からすると可能性は薄いとみた。

「まずは青春時代に学生運動を経験し、その後は企業戦士として
働いてきた自分のことを、自身の言葉で語ってはどうだろうか、
と。
そうしてさび付いた感情を解きほぐすことが、家族にとって望ま
しい存在になる一歩なのだ」と言っているが、

このようなことが、どのような根拠で言えるのか、知りたいものだ。


「そうしてさび付いた感情を解きほぐすことが、家族にとって望ま
しい存在になる一歩なのだ」と言っているが、わたしには、その
ことが理解できない。

まったく、的外れな見解である。

そのようなことを誰もしてないから、彼女は、解答になると、
思い込んでいるように思えるのだが。

だから、余計に問題は解決されないのである。