森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

取材拒否は危険

2006-08-25 13:20:05 | 仕事関係

テレビ番組の話ついでに、一言。

 

今春から、割り箸を取り上げる番組がいくつかあったが、たいてい吉野の割り箸業者の組合などに取材に行っている。ところが、放映した番組を見た彼らの反応は、かなり悪い。

「無理して時間とって、あんなに丁寧に話したのに、番組に流れたのは○分しかなかった。それも暗い話題のところばかりだ」
といった調子だ。そして、もう取材を受けるのはこりごり、となる。
実は、その後に取材を申し込んだ私も、そのためか取材拒否されかかったのだが、しっかり押しかけた(笑)。そして取材を越えて議論を吹っ掛けてきたのだけど、結果的にはコチラのスタンスはわかってくれたようだ。

 

マスコミ側の立場で言えば、取材した内容を全部放映(記事に書く)するなんてありえないし、話の内容で使える部分が少なかったとか、十分にこちらの気持ちを汲んでくれなかったということは、情報を発信できなかった側の責任もあると思う。
実際、取材していても内向きの話題が多いのだ。よくも悪くも勢いのない話は使えない。強い理念のない話は危なくて紹介できない。割り箸業者の多くは、それらが欠けているのではないか。

後で文句を言っても始まらない。よほど出来の悪い取材者ならともかく、熱意を込めて話して、取材者を味方にしてしまおうというぐらいの勢いで臨んでもらいたいものだ。

 

なお、マスコミは自分たちの味方のはずという幻想は持たないことだ。あくまで事実を伝えるのが役割であって、自分たちの都合の悪い部分を取り上げたとムクレテいるようじゃ、幼すぎる。

もし番組の内容が気に入らなかったからと取材拒否をしたら、ますます情報は出なくなり、自らの言い分は誰も代弁してくれないだろう。そして世論から消え、無視される。意見を表明せずに「理解してくれ」と言ってもダメなのだ。

 

この当たり、市民運動家と似ているかもしれない。自分たちの活動を好意的に紹介してくれないマスコミは敵だ、という態度で、内向きになる連中である。しかし、そうした活動は、狭い仲間内の世界に籠もってしまい、環境や平和など一見正しそうなことでも、周囲の支持は得られないのである。


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4 コメント

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マスコミとのお付き合い (紀州の丁稚)
2006-08-25 20:57:56
>マスコミは自分たちの味方のはずという幻想

これは本当にそうですね。でも、この点わきまえて

私はTVなんかの「ニーズ」に田舎とか取材対象の側も

答えるのも必要かと。田中さんも書いているように

「強い理念の無い話」とか、解りやすいテーマを用意すると

TVは思っている以上に食いついてきます。

(今回、焼き鳥イベントで実感しています)
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マスコミの意図 (になみ)
2006-08-25 21:57:24
企画の段階で結論ができあがっていて、材料を集めて、多少強引にでもそこへ持っていく構\成、

の情報って結構\多いですよね。

カラス博士の杉田昭栄先生の「カラスなぜ遊ぶ」という本にも、

テレビ局から、田舎と都会のカラスの脳は進化的に違うはずだ」という前提で取材を受け、

学者として、ありえないと断ったが、考えをと求められ解説したところ、

貸したカラスの脳の写真が改ざん(!)されて、脳が写真がしたような番組になっていた…

という内容の体験談が書かれていました。

「クロワッサン」の田中さんの記事の場合は誠実なほうだと感じますが田中さんとしてはいかがなんだろう。もう一回記事とblogを読み返してみます。

林業関係には、ニュースで取り上げられれば…ドラマや映画で舞台となれば…

という期待が少なからずあるような気がします。

NHKの朝の連続ドラマで植木屋さん(でしたっけ?)や大工さんのヒロインになると

林業関係の新聞等では過剰な期待の声が載っていたような。

地方が大河ドラマの舞台になると観光客増加を期待するのと同じですね。

視聴者は気まぐれなもの…愛媛や韓国は意外な観光効果にびっくりしたかな?
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取材は難しいです。 (よっしゃんです。)
2006-08-26 00:30:38
田中さんのおっしゃるとおりです。



取材を受けるこちらの人たちに熱意がこもって火傷するくらいの内容であればマスコミも食いついてくると思います。

そのあたりが欠落していたのかもしれません。

自分たち若手も悪いのです。



熱意も受け取る側次第でどうとでも変化しますし・・・



本当に取材は難しいです。

決して過大に放送して欲しいとは思っていません。真実をきっちり伝えて欲しい!のです。

でもその真実があまりにネガティブすぎて取材陣に伝わらなかったのでしょう。



吉野の箸業界! 正念場です。
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メディア・リテラシー (田中淳夫)
2006-08-26 00:48:35
最近は「メディア・リテラシー」という言葉も出てきて、メディアの伝える内容を検証したり、読み取り方が課題になってきています。

同時に「メディア・アドバイザー」のような仕事も生まれており、選挙運動から商品販売、危機管理までのメディア戦略を指揮するケースもあります。



もちろんアホな取材者も多いのだけど、拒否したら思うつぼ。好きなように書けますからね。

私は、最近は取材されることも多いのだけど、コチラの意図と違う描き方をしようとしていると見抜いたら、結構ドスを効かせて脅しをかけます(^o^)。もちろん媒体の性格もあるので、譲ところは譲りますが、最終的な事実関係とか、発表後のリアクションを考えて、落としどころを探ることになります。



取材する側の立場として言えば、メディアを利用しようとして小手先の手練手管を弄しても、たいてい見抜きますし、逆にそうした部分はカットすることが多いですね。むしろ、背景の熱意とか思い(理念)が強ければ、ほだされて迎合することも(^o^)あるかな。
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