山口県萩の竹家具製造メーカーは、フィンランドの家具ブランド「アルテック」と契約して、地元産の竹材による椅子やテーブルを製造し、同ブランド製品として輸出することになったそうだ。
家具のブランドやデザインを海外に求めるようになったのか。ちょうど国産材家具をじっくり見る機会があったのだが、そこで感じたのは、デザインの問題。
家具はデザインが重要だが、では、デザイナーがよい設計図を描き、それを真似ればステキな家具ができるだろうか。
同じデザイナーの作品でも、工房が違うと、いや職人が違うと、微妙に違っているものだ。とくに国産材の無垢材を使うと、材の色の差や加工度に差が出る。技術の差もあるが、それ以上に職人のセンスの差があるように思う。
たとえば天板も、寸法通りになっていても、何枚の板にするか、その板の色合いや木目の違いをどのように選ぶかで変わってくる。一枚板だと反るから、たいてい幾枚か集成するが、その枚数で全体の印象がガラリと変わる。無造作に並べると、隣り合った板の色がバラバラだったり、木目が断絶して見苦しい。
おそらく強度などにも影響してくるのではないか。結局、最終的なデザインは、現場の職人が作るものなのだ。外から高名なデザイナーを連れてきても、よいものはできないと気づいた。
ただ木材は、あまりにもお互いが情報の共有化をしていなかったような気がします。慣習や00信仰みたいな情報が歪曲された木材情報になっている例があります。
しっかりとしたやり取りをして本物を作るものづくりをしたいものです。
職人は、頑丈さを追求するのかミカン箱に足を付けたような家具を作りがちだし、作家は座ると崩壊しないか心配するような細い足のイスになることも……。
「椅子は作りたくない」と言っていた職人がいました。その理由は、「わしの作ったものに、尻を載せられたくないから」だと(笑)。