森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

木の杖

2006-07-18 18:02:51 | 木製品・建築

友人に、京都愛宕山を追いかけているカメラマンがいる。
愛宕山は、火の神様を祀り、全国に名を馳せている信仰の山。明智光秀が本能寺の変の前にも参ったところだ。

 

この夏、愛宕山に関するイベントが行われ、登山が行われる。そこで主催者は木の杖を売ることを考えた。信仰の登山につきものの、太い八角形の杖である。豪華な錫杖までいかなくても、白装束に杖をつけば、行者気分になれる。これは売れるはずである。たしか600本を用意するとか。

 

ところが、春から頼んでいた業者が、この期に及んで、「作れない」と投げ出したそうだ。半分くらいしか納められないとか。材料が足りないのか、製作の手が足りないのか、はたまた責任感の欠如か。

 

私のところにも相談に来られたのだが、寸法や材質、形状を知らないと作れるところを探すこともできない。
そうこう言っているうちに、奈良の吉野、つまり大峰山(修験道のメッカ)の行者向けに杖を作っている業者が引き受けてくれて、なんとか間に合ったそうだ。

 

それにしても、注文を受けても数を揃えられないとは、なんだか国産材の世界みたいではないか(笑)。この杖も、ヒノキ製だそうだが、間伐材の使い道にもってこいだと思う。そういうチャンスを逃すと、次から米材を使った中国製の杖が出回るぞ。


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2 コメント

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うーん (になみ)
2006-07-19 07:53:53
木製のものをどう売るか、何が売れるか、少しでもお金になればと苦心してる一方で

そういう「できない」がちょこちょこ聞かれますよね。。。

木を扱う世界って、血の巡りがよくないみたい。

末端だけ輸血してても、よくならないですよねぇ・・・
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血の巡り (田中淳夫)
2006-07-19 12:11:03
冷え性なのか、自律神経失調症なのか……。



会計学の世界では、「チャンスロス」というそうですが(「さおだけや~」の本の受け売り)、儲かるチャンスを逃すことは、負債を抱えることと同じ扱いを受けるそうです。



案外、国産材の世界は、この手の負債がてんこ盛りで苦しんでいるのかもしれない。
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