昨日に続いて。池田炭は、菊炭とも呼ばれる。
写真を見ていただいたとおり、炭の断面が菊の花のように放射状の筋が走っているからだ。この美しさが「茶の湯」に似合っているのだろう。
木炭の最高峰というと、最近では素人でも「紀州備長炭」というが、こちらは白炭。そのため火付きが悪い。扱いも難しい。業務用の料理に使う炭なら長持ちしてくれる方がよいのだが、茶会では困る。
その点、黒炭は、火付きがよい。扱いも比較的簡単で、いったん火がいこったら、それほどいじらなくてよい。火持ちもほどほど。そんなことで、好まれる。
もう一つ、違いは、菊炭は樹皮が着いていること。それが美しさでもある。備長炭は皮を落としている。それとはぜないことも条件だそうだ。
アウトドアならともかく、屋内で使う炭がはぜたら怖い。とくに茶の湯では、何百万円もする着物を着た人もいるうえ、畳にも焦げ目を付けるわけにはいかない。
それに向いているのがクヌギなのだそうだ。クヌギそっくりなアベマキは、菊の模様はできるが、皮が分厚くてはぜやすいから×。
炭焼きの際に、一目で原木の種類を見分けて、ほかの木がまざっていたらハネる。こうした技術も重要なのであった。