木のトレーを知っているだろうか。
間伐材を薄く剥いて、それを数枚張り合わせることで強度を保ち、プレスして作ったトレーである。発泡スチロール製のトレーに代わって広がれば、新たな木材需要を生み出すと期待されたことがある。
なにしろスーパーマーケットなどで食品を入れるトレーは、毎日一億枚ほど消費されている。そのいくらかでもシェアを食えば、ものすごい需要だ。
が、完璧に失敗した。全然売れないのだ。だって、発泡スチロール製の十倍の値段(1枚約20円)もしたから。しかも水分に弱いなど、機能的にもよくない。デザインはまったくダメ。
岩手に建設された工場は、誰が使い込んだのか本格稼働の前に倒産したし、大分のものも在庫の山。高知では、売れないので生産品を変えてしまった。
ところが、この木のトレーが復活するかもしれない。
まったく新たな製法が開発され、いよいよ稼働するかもしれないからだ。
その商品は、無垢の板をプレスしたものと、木粉にしてから成型したものの2種類で、後者は発泡スチロール製と価格は同じだ。欠点も直した。デザインも千差万別。弁当容器のように複雑な形にもできるそうだ。価格と機能が同じなら、木製トレーを使ってくれる企業はあるだろう。こうした大量消費型の木製品も必要だ。割り箸に取って代わる商品として。
ところが、この新しいトレーにほとんど特許はない。既成の技術を組み合わせただけらしい。それなのに、なぜ今まで作れなかったのか。ここに怠慢を感じる。これも補助金で作ったから甘えが出たのではないか。
今度は、株式会社だ。早ければ来年から生産が始まる。今度こそ期待できるか。