森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

木のトレー復活

2006-12-20 13:46:02 | 木製品・建築

木のトレーを知っているだろうか。

間伐材を薄く剥いて、それを数枚張り合わせることで強度を保ち、プレスして作ったトレーである。発泡スチロール製のトレーに代わって広がれば、新たな木材需要を生み出すと期待されたことがある。
なにしろスーパーマーケットなどで食品を入れるトレーは、毎日一億枚ほど消費されている。そのいくらかでもシェアを食えば、ものすごい需要だ。

が、完璧に失敗した。全然売れないのだ。だって、発泡スチロール製の十倍の値段(1枚約20円)もしたから。しかも水分に弱いなど、機能的にもよくない。デザインはまったくダメ。
岩手に建設された工場は、誰が使い込んだのか本格稼働の前に倒産したし、大分のものも在庫の山。高知では、売れないので生産品を変えてしまった。

 

ところが、この木のトレーが復活するかもしれない。
まったく新たな製法が開発され、いよいよ稼働するかもしれないからだ。

その商品は、無垢の板をプレスしたものと、木粉にしてから成型したものの2種類で、後者は発泡スチロール製と価格は同じだ。欠点も直した。デザインも千差万別。弁当容器のように複雑な形にもできるそうだ。価格と機能が同じなら、木製トレーを使ってくれる企業はあるだろう。こうした大量消費型の木製品も必要だ。割り箸に取って代わる商品として。

ところが、この新しいトレーにほとんど特許はない。既成の技術を組み合わせただけらしい。それなのに、なぜ今まで作れなかったのか。ここに怠慢を感じる。これも補助金で作ったから甘えが出たのではないか。

今度は、株式会社だ。早ければ来年から生産が始まる。今度こそ期待できるか。


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13 コメント

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補助事業の問題 (bwe)
2006-12-20 16:06:36
トレーは包装材であり消費者にはその素材に特に関心は薄い。
発泡スチロールと木質とで大きな価格差があればスーパーなどは当然採用はしない。
事前にいくらでも利用の可能性を調べることができるはずなのに、誰が当初から問題のある事業を行おうとしたのだろうか。
木材関係業者が思いつくはずはないと思えることから、そのプラント機械メーカーが国に働きかけて導入を持ち込んだものではないかと推察する。
補助事業にはこの様な無責任な事業が多すぎる。
今はやりの木材のバイオマス発電でも補助事業での導入では当初より赤字を予定している。
何のためのまた誰のための補助事業なのだろうか。
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??? (とんばら人)
2006-12-20 18:03:13
たこ焼きとかの入ってる舟みたいなものですか?

良いにおいがするといいなあ。

殺菌効果とかもあるともっといいなあ。

むかしおすしが入ってたひらひらのやつみたいなので

すか?

いずれにしてもいいかんじがしますね。
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木のカバン (tsukkiy)
2006-12-20 19:30:27
間伐トレイは設計事務所勤務時代に大分の第3セクタートライウッドさんなどからよく頂き、今もペン置きとして愛用しています。

そのトレイは、
最近、高知馬路村のエコアス馬路村が販売しているhttp://www.ecoasu.co.jp/monacca/monacca_top.html MONACCAというカバンを想起させます。

 まさにトレイが大きくなったような感じですが興味あります。どなたか買って使用している人はいませんかね。使い勝手が気になってます。。
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間初材トレー (田中淳夫)
2006-12-20 21:39:16
木のトレーというと、立派な木彫りのトレーもありますね。ここで紹介しているのは、まさにたこ焼きの舟みたいなものです。

無垢の板を成型したものは、本当に木目も残り、いい感じですよ。木粉を固めたものは、そのままだと無味乾燥ですが、塗装して色も模様も付けられるそうです。見た目はプラスチック製と変わらないかも。

馬路村のモナッカは、この間伐材トレーを作る技術を応用して作ったものです。ウチワにカバンに座布団となかなか面白いですが、これでは量は捌けないでしょう。エコアス馬路村の経営は成り立っても、間伐材を高く買い取って林業再生にはつながらない。

やはり安く大量に売れる商品を作らないと、森林への影響は与えられないのです。
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高知では (になみ)
2006-12-21 08:00:13
スーパーで、お肉とかを白いトレイじゃなくて木のトレイを使って売ってました。
でも、田中さんのお話を読むと、今はやめちゃったのかなあ。

お土産としてもらったり、「いらないから」と他人からもらったりして手元にいくつかあります。
どう使うかかなり困りました。
結局、1枚は観葉植物の受け皿、
あとは自然教室での、木の実などの取り皿(?)に使ってます。

安価で大量に売れ、粗品としても喜ばれるものなのか、
それともそこそこの値段だけれど「イイモノ」「長く使えるモノ」「ちょっとしたギフトにしたいもの」なのか、
どっちつかずになっているような気がしました。

間伐材のアタッシュケース、持ち歩いてる県庁の方を見かけたことがあります。
目立ちます。(白っぽいせいかな)
メモをとるときに机代わりになるそうです。
あんまり詳しいことは聞けませんでしたが・・・
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そうそう (になみ)
2006-12-21 08:03:23
小学生たちは、買い物をするときは木のトレイを使ったものを選ぼう。
なんていう投書を、新聞などにしてました。
それを思い出すと、なくなってしまったのならちょっと残念。
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商品としての木材製品 (海杉)
2006-12-21 08:06:13
確かに難しい問題ですね。私たちは、需要がありそうでなかなか販売まで行き着かないモノやかつては、販売されていたが、他の素材に変わったものをもう一度見直す作業をしています。トレーもそのひとつですが、価格を考えるとだめかなあと思っていました。大工さんの言葉は重要です。腐らない破風や屋外専用の手摺などは、需要がありそうです。木製のユニットバスも思索中です。市場に出しても売り物にならない放置残材を中心に製品化できればと考えています。商品開発には、デザインが重要なポイントです。アメリカでは、デザイナーのことを「プロブレムソルバー」(問題を解決する人)と呼んでいます。
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商品開発の難しさ (bwe)
2006-12-21 10:42:27
国産木材の利用を高めるためには、生産性のアップと、新たな需要の開発の二つがあります。
生産性は海外と比べ大きく遅れています。それを改善するためには大きな資金が必要になると思われます。これはどうしようもありません。
しかし新たな用途の開発は個人でも何とかなるのではないかと思っています。
売り物にならない放置残材を使った商品開発を行っていますが、実現することは大変なことです。(当然売れる魅力が商品になければならないですし、大量生産できるシステムの開発が必要となります。)
「プロブレムソルバー」という表現がアメリカにはあるようですが、社会がそれをバックアップする何かがあるのでしょう。うらやましい限りです。
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木のトレーの行方 (田中淳夫)
2006-12-21 11:49:40
以前は、大分や高知で作られた木のトレーは全森連が買い上げていたのだけど、今はどうなったやら。生産は少量でも続けているようですが。

「緑の雇用」の説明会に行ったら、参加者に無料で配っていたこともある(^o^)。

商品開発は、技術力や生産力も必要ですが、何より営業力・販売力が要です。今回の新たな木のトレーは、既製品と価格が同じで、ゴミになりにくいという点でかなり有望だと睨んでいるのですが、いかがでしょうか。
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Unknown (Unknown)
2006-12-21 17:18:25
発泡スチロールのリサイクルってコスト的にどうなのだろう?
CO2排出量ベースだと合ってないような気もします
それよりはワンウエイの木材トレーを、とか
抗菌作用もありそうだし、肉、魚の場合ドリップを吸収してくれる分いいと思うのだけど

あとは売り場とかでのハンドリングでしょうか?
剛性低いと使いづらいと敬遠されそうな気もします

やっぱり問題は量産性、供給力ですか
トレーのサイズって規格が多そうだから規格固めないと金型コストがすごいことになりそう

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