ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

九竜山から御前山へ 2/2 ――― S子には少し酷な急下降の登山道でした

2015年08月01日 | ハイキング/奥多摩

2015/7/11  もう少し早く鞘口山1142mに到着すると思っていましたが、まあ、これくらいの時刻も想定内です。S子にとって一ヶ月ぶりの登山ですが、体調もまずまずのようでした。


▲12:38ころ、S子も山頂に到着しました。


▲しばらく山頂のベンチで休憩し、再びの出発です。12:59ころ。


▲またまた、ギンリョウソウです。花の中央に青みを帯びて丸っぽいのは雌しべの柱頭。その周りにはよく見ると雄しべらしきものもあります。地下茎から伸びたこの花茎ですが、鱗片状に付着しているのが葉っぱなのだとか。
分類学的にはツツジ科だと言うのですから驚きですよね! 13:08ころ。


▲トリアシショウマかヤマブキショウマかは分かりません。おそらくトリアシショウマだと思いますが、確信はありません。トリアシなら三回三出複葉で、ヤマブキは二回三出複葉なのだそうです。現場でそこまでの確認はしませんでした。13:10ころ。
参考までに
 http://www.ysn21.jp/~eipos/data/02_WB/h15/bunarin/3fukuyou2.htm
を見てください。


▲クロノ尾山1170余mです。檜原村神戸(かのと)の中尾根を登ると、ここに到着します。13:20ころ。


▲僅かなアップダウンがある穏やかな登山道を進みます。このあたりの多摩川南岸はシカが少ないせいなのでしょうか、下草もそれなりに生えています。写真の下草は背の低い小笹でした。13:46ころ。


▲理由は分かりませんが、この花を見ると「ホウキ」を連想してしまいました。昔調べたことのある花の名前に「ホウキ」という名が付く、似た花があったのでしょう。

大昔の一時期、20代の前半だったでしょうか、官ノ倉山という標高344mほどの低山に3年間ほど通ったことがあります。年中通って、野鳥や草花を見ました。今の時代と違って、フィルム一枚一枚に貴重なお金がかかりますし、現像代もかかります。撮ってきた写真をモノクロの『牧野日本植物図鑑』で調べたり、図書館の図鑑で調べるのは大変な労力でした。名前が判明するのは見ることのできた花の中のごく一部ですし、それも間違っている可能性は高いのです。
それほど熱心に勉強したわけでもありませんから、僕の植物に関する知識はやっぱりど素人の域でしかありません。ただ、この時代の官ノ倉山での経験がその後の基礎になっていることだけは確かです。

「ホウキギ」、「ホウキギク」、「ホウキモロコシ」を見てみましたが違います。
花の形状がキク科に似ていると思いました。キク科の花は小さな花の集合です。この花の写真の白黒で飛び出している部分などはアザミに似ていると思いました。アザミもキク科です。
キク科で『牧野日本植物図鑑』を当たると、大当たり! です。「ナガバノコウヤボウキ(長葉高野箒)」でした。

近縁種にコウヤボウキがあるのですが、この名前には面白い由来がありました。高野山を開山したのは弘法大師ですが、彼は弟子たちに「人の心を惑わすような木を植えてはならない」と言い残したのだそうです。それもどういう意味だか、俗人の僕には理解出来かねますが、お弟子さんたちはその言葉に従って高野山には竹を植えなかったのだそうです。竹はいろいろと重宝されますから、お金になるという理由のようですね。そこで困ったのが庭掃除等で使う箒。高野山では竹の代用品としてコウヤボウキ(当時は別の名前だったでしょうが)を使ったのだそうです。

ひとつの花の名前を調べる、そんな他愛もないことを通じてさえ、たくさんの興味深いことが分かります。13:48ころ。


▲ヤマボウシですね。街路樹になっているハナミズキとはごく近縁種なのですが、ヤマボウシは果実が甘くて美味しいです。僕も食べたことがありますが、仄かな上品な甘さでした。13:50ころ。


▲コアジサイも僕の好きな花のひとつです。森の下層でコアジサイが群生していて一斉に花開いていたりするとそれは見事です。薄っすらと水色の小さな花ですから、いくら頑張っても派手になりようがありません。徹底的に清楚な花です。13:56ころ。
この時まで、帰宅してからの何日間もずう~っと、僕はこの御前山の手前ではコアジサイが咲いているのに、そこより標高が低い場所ではまだ蕾だったと、不思議に感じていました。標高差=気温差 以外の影響を受けているのだろうと考えていました。でも、何日か経過して、蕾だと思っていた写真を拡大してよく見てみると、すでに開花した後の姿でした。
コアジサイは標高1000m前後よりは低いところで見ることが多いですから、S子が山に行かなかった間にもう咲いて、散ってしまっていたのですね。


▲前方から中高年の男女の登山者が山を下りて来ました。すれ違う時に「小さくてとっても綺麗なアジサイが咲いていたわよ」と言います。相方の男性にも「そうよね、〇〇ちゃん。今日はあの花と出会えただけで来た甲斐があったわよね」と嬉しそうに話していました。
そのアジサイがこれです。ガクアジサイはいろいろと種類が多くて正確な名前はよく分かりませんが、おそらくホソバコガクではないでしょうか? 14:09ころ。


▲御前山へ登る最後の急登です。急登と言っても、こんな階段つきの楽な登りです。14:16ころ。


▲御前山1405.0m山頂には人がたくさんいました。14:18ころ。


▲休憩している間に誰もいなくなりました。僕たちも出発。14:38ころ。


▲この御前山付近は春にはカタクリがよく咲く尾根です。有名になりすぎた影響なのでしょうか、年々カタクリの数が減っているように感じられます。そのカタクリを保護する意味で登山道の両側には柵が張り巡らされています。14:45ころ。


▲惣岳山1340mです。14:57ころ。

ここでS子の足の調子が少しだけ悪いことが判明。たいして酷くはなさそうなので、心にとめる程度ですが・・・・


▲大ブナ尾根の急降下をゆっくりと丁寧に下って行きます。途中、尾根の右側を見ると、コバイケイソウの枯れた群生があります。15:19ころ。


▲まだ枯れていないのもあります。15:20ころ。


▲枯れていないのをよく見ると、緑色で綺麗ですね。15:23ころ。

その後、何日間の間ずうっと、これはコバイケイソウの白い花びらが落ちた姿だとばかり思っていました。この緑色のはガクなんだろう、なと。
でも、写真を何度も見るにつけ、あまりに美しすぎて、これが花弁の落ちた枯れる寸前の姿だとは思えなくなりました。よく見ると、先端には蕾もありますから、どう考えても変です。
そこで調べ直しました。すると、バイケイソウなんですね! バイケイソウの花は白から緑まで色幅があるそうです。


▲山を下るS子とバイケイソウ。15:23ころ。


▲大ブナ尾根の急な部分が終了しました。美しい森が続きます。15:37ころ。


▲時折、岩場も出て来ます。石灰岩でした。15:45ころ。


▲大ブナ尾根は下の方でも急下降が続きます。疲れた足には酷な下降。16:33ころ。


▲ロープもたくさん張ってあります。16:48ころ。

S子も足がだんだん辛そうになってきました。バスの時間には十分間に合うだけのゆとりがあるので、急ぐ必要はないのですが、大休止をとるほどのゆとりはありません。ゆっくりでもいいので、歩き続けさせなければなりません。S子のブツブツとしゃべる文句の言葉を聞き流すように歩き続けさせます。


▲急降下は終了し、奥多摩湖が近づいてきます。17:02

今日は急に行先を変えましたから、奥多摩湖バス停のバス時間は把握していません。その代わり、その少し奥の倉戸口バス停の時刻が分かっています。それが17:19ですから、余裕をもって17:20を目標にして歩いて来ました。
最初は余裕だと考えて来ましたが、途中から「ギリギリかもしれない」と感じ始めていました。今ここまで来て、本当にギリギリです!


▲奥多摩湖。小河内ダムを渡り、向う側にバス停はあります。17:13ころ。

山の中では急がせるような言葉はS子には言いませんでした。とにかく歩みを止めさせないだけ。ゆっくりと注意深く歩かせました。
でも、小河内ダムに着くと、少し早足で歩かせました。速足というよりは、普通のスピードなのですが、足の調子がいまいちなS子にとってはちょっときつかったかもしれません。


▲中央の山は月夜見山1147.0mでしょうか。17:15ころ。


▲奥多摩湖バス停です。目標時間の1分前、17:19に到着しました。
バスは17:24で、ちょうどいい到着ですね。

一ヶ月ぶりの山歩きだったS子にはほんの少しきつい今日の山歩きでした。まあ、ほんの少しですから、これくらいでちょうど良かったのではないでしょうか。

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