ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

今年初めての焚火をナメラ沢で

2012年07月20日 | 沢登り/富士川笛吹川水系

せっかくの3連休、沢の中で泊まってまったりとしたいと思っていました。メンバーはS子と沢中ビバーク未経験のK美さんですから、易しくて楽な沢を探しました。いろいろと候補はありましたが、2人が確実に満足できる沢ということで選んだのがナメラ沢です。

S子は25年前にも僕と二人で遡行したことがありますが、そんなに昔ですから初めての沢といった感覚でしょう。それにその時は“耐寒ビバーク訓練”を兼ねての遡行でした。5月上旬に源流部でシュラフカバーとツエルトでのビバーク。朝目が覚めると、周囲は凍っていました。詰め上げた稜線にはまだ雪がたくさん積もっていて、地下足袋のまま下山したものです。

僕は他にも2回遡行経験がありますから、今回で4回目のナメラ沢。直近では一昨年の7月に訪れています。

2012/7/15  塩山駅から8:30の西沢渓谷行バスに乗って約1時間。雁坂峠入口で下車。すぐ近くに「道の駅みとみ」がありますから、ちょっと寄ります。

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▲イワツバメが飛び交い、庇の下の巣へ出入りしています。その巣の中には写真のような巨大な楕円球状の集合住宅が………??? よ~く見るとただとまっているだけで、出入りはしていません。球状のものもスズメバチの巣のようです。今はハチの姿は見えませんが、イワツバメとスズメバチは共存できていたのでしょうか? 9:49ころ。

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▲雁坂峠へ歩いて行くと、林道終点が沓切沢橋になっています。そこには「ここは沓切沢ではありません」という看板が立っています。実際、この橋がかかっている沢は唐松尾沢だと昭文社の地図や昔の遡行図には出ています。クッキリ沢はもっと先で登山道と出会っています。どうしてこの橋の名前が沓切沢橋となってしまったのでしょう?

その不思議な橋から少し山道を進むと写真のような看板が現われます。左下へ踏み跡を下ると、そこは峠沢です。11:16ころ。

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▲右の沢が峠沢です。ここで少しの腹ごしらえと沢支度をしました。11:21ころ。

峠沢をほんの少し下降するとナメラ沢出合です。

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▲右が峠沢で、左がナメラ沢。12:14ころ。

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▲ナメラ沢はその名の通りナメの多い沢。さっそく現われるのが「くの字」のナメです。12:24ころ。

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▲堰堤状5m滝。12:26ころ。右端を登ります。念のためにお助け紐を出しました。

源流部の小滝を除くと、この滝が唯一のナメやナメ滝ではない滝です。

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▲途中、クリンソウの群生がありました。花期は終わって実を付けています。12:42ころ。

お寺の屋根の上の柱状のものを九輪とか宝輪と言うそうです。それに似ているからクリンソウだとか。

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▲ナメラ沢はこのようなところが多く続きます。心地よい! 13:17ころ。

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▲向こうに10×20m滝が見えて来ました。天気も最高です。13:19ころ。

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▲10×20m滝です。13:22ころ。10は滝の高さ、20は滝の長さを表します。sin(サイン)の値が0.5ですから、この滝の傾斜は30度ということでしょうか?

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▲ナメやナメ滝の多い沢は遡行図(一番新しい記録が掲載されている『東京起点 沢登りルート120』を参考にしています)との照会が難しいですね。人によっても表記の仕方がまるで違いますし。7×10mかなとも思いますが、右の支沢の滝を15×30mとしていますから変ですよね。支沢の方が傾斜が強いですから。13:43ころ。

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▲足を止め、目線を下げて、そこを流れる水のさまを眺めるだけでも感動があります。13:55ころ。

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▲天場になりそうな場所を探しながら歩いていました。幾つかあったのですが、まだ時刻も早いのでもっといい場所をと、先に期待をしていました。そして出て来たのがこの場所。14:14ころ。

すぐに思い出しました。一昨年、泊まった場所です。049

▲岩の隙間に綺麗な蛾がいたので撮影しました。オオミズアオ(大水青)と言うそうです。14:59ころ。どうやらこの個体は♀のようです。

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▲タープを張りました。15:42ころ。さっきから同じ岸の山側のすぐ近くで鹿がずっと啼いています。警戒音を発しています。鹿にとってもこの場所は居心地が良いのでしょうね。僕たちに立ち去って欲しかったのでしょう。

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▲焚火の場所も一昨年と同じです。この辺り、流木は少ないのですが倒木はたくさんあります。まずは土台となる木を敷きます。以前の炭もその下にあるので、土台としては申し分ありません。15:54ころ。

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▲新聞紙を丸めて置き、その上に細い小枝をたっぷりと載せます。新聞紙に点火すると、中心部に熱がこもるように、見守ります。小枝が良く乾いていたのでしょう。今回は一発で成功しました。16:00ころ。

それからはあまりむやみにかき回したりせず、だんだんとより太い枝に火を燃え移らせます。

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▲焚火が安定したところで、サプライズ! なんと、K美さんがヤマメを自宅から持って来たのです。釣りを始めたのは知っていましたが、自宅そばの川で釣ったヤマメを冷凍して持って来ていたとは! 17:19ころ。

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▲写真に撮るのを忘れて、最後の残り物をパチリッ! 僕の定番メニュー高野豆腐+漉き昆布です。18:21ころ。

交代交代におかずを作りながら、ぼちぼちと食べ進むのが僕は好きです。当然その間にもチビリチビリと焼酎のお湯割りは飲み続けます。焼酎は屋久島の「三岳」、お湯は焚火にかけたビリー缶からですからほんのりと木だか炭だかの味がします。

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▲焚火周辺はこんな感じ。まだ18:22ころですから、薄明るいのです。フラッシュをたいていますから、火の赤みも消えてしまいます。S子は少し寒いと言って火のすぐそばに移って来ました。

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▲ちょっと小ぶりなヤマメです。美味!美味! 18:53ころ。

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▲またまた写真を撮り忘れました。K美さんの作った豚汁です。18:57ころ。

K美さんのザックの重量がやたらに重いので不思議に思っていましたが、天場に着いてからその訳が判明。ヤマメとビール1缶は大歓迎ですが、豚汁用の大根、人参、豚肉、コンニャク、………、その量の多いこと!多いこと! これでは重くなるのも当然。

それでも、共同装備から少しは持ってもらいました。強いですからね。

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▲S子がフライパンを使って焼きビーフンを作りました。20:04ころ。

み~んな美味しかったですよ。

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▲焚火を実際見ているのと同じように写真に撮るのは難しいことです。それ以上に、焚火の傍らで夜を過ごす心満たされる感覚を伝えることはほとんど不可能でしょう。

会話が途切れて焚火のはぜる微かな音しか聞こえなくなっても、そういう一瞬の方が豊かに感じられるほどですから。20:05ころ。

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▲おやすみなさい。21:45ころ。

2012/7/16  一昨年も同じ7月に同じ場所で寝ました。今年の方が暖かい夜でした。まったく寒さを感じません。途中、用足しで一回目覚めましたが、あとは熟睡。

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▲山で焚火をする際は、夜は火を消しません。主な燃え差しは離して置いて、熾きには風で舞い上がらないように石を載せておきます。風が強い夜は石をびっしりと置きます。夜中目が覚めた時に、もし少しでも火の粉が見えていたら要注意! 

穏やかな夜でしたから、焚火は寝る前と同じです。

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▲少しの新聞紙と少しの細い小枝、要領は前日と同じですが、いとも簡単に炎は上がります。明るくなったばかりの谷間に灰青色の煙が棚引いて行きます。4:45ころ。

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▲朝食当番はK美さん。メニューはうどんです。ウィンナーもたっぷり入った豪華なうどん。5:44ころ。

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▲最後に小さなゴミ拾いをして、いよいよ出発です。気持ちの良い天場でした。7:29ころ。

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▲この辺りから綺麗なナメのスタートです。何メートルあるのでしょうか? 7:50ころ。

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▲まだナメは続きます。7:51ころ。

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▲これまでもそうですが、綺麗な沢にも倒木くらいはあります。8:21ころ。

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▲二俣を過ぎると、傾斜がきつくなります。8:31ころ。

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▲谷も次第に狭くなってきました。8:47ころ。

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▲マタタビの花です。8:52ころ。

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▲水の流れも細くなり、源流の様相です。9:07ころ。

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▲水もほとんど涸れて来ました。9:34ころ。

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▲ツメは忠実に沢型から逃げずに登って行きます。最後は赤紐に導かれるようにして、ゴロゴロの岩の間を詰め上げます。上から10:10、10:53、10:58ころ。

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▲登山道に飛び出す一歩手前です。11:04ころ。手前の岩のところで、装備解除しました。

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▲歩きながら「シャクナゲはもう終わったよね~ぇ」と喋っていたら、こんな白いシャクナゲがここだけで現われました。キバナシャクナゲかなぁと思うのですが。11:54ころ。

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▲どうやら山の稜線にだけガスがかかっているようです。ときおりガスが飛ばされて青空が見えると、とたんに夏の暑さに見舞われます。12:01ころ。

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▲まあ!とげとげの草だこと!と思っていたら、調べると小灌木なんですね。ハリブキという名前です。12:22ころ。

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▲稜線を歩いていると、このように樹々が立ち枯れしている箇所が何箇所も出て来ます。12:24ころ。

縞枯れ現象なのでしょうか? それとも、酸性雨などの環境変化が原因なんでしょうか?

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▲雁坂峠を過ぎて、高度を下げると、ガスは完全に周囲からは消えました。目の前の谷沿いに下って行くのですが、まだまだ先は長い。14:06ころ。

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▲やっと見覚えのある沓切沢橋が見えました。ここからは林道歩きですから、暑さが身にこたえます。15:34ころ。

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▲林道脇の広場に鹿が3頭いました。そのうち山へと逃げて行きました。15:52ころ。

「道の駅みとみ」に着いたのは16:50ころ。すでにバスは終わっていたのでタクシーを呼んだ。

思いのほか早く来たタクシーで塩山温泉へ向かいました。ぬるぬるした泉質で石鹸が洗い流せたかどうかはっきりしません。塩山に来た時にはよく入る、いい温泉です。

温泉を出たところに、無料の桃が置いてあって「ご自由にお食べ下さい」と書いてあります。遠慮なくそこでむいて食べましたが、すごく甘~い!

塩山での打ち上げのお店は『菊亭』です。以前は一定していなかったのですが、大菩薩の山小屋「丸川荘」のHPに出ていたのを読んでからはここになりました。

K美さんは麒麟ビールから入ります。僕は黒霧島のオンザロック。芋焼酎です。

僕は4杯くらい飲んだと思いますが、お会計が滅茶苦茶安過ぎたような気が………。電車に乗ってから気づいたのですが、お店の方が間違えたのではないでしょうか?

お会計はともかく、このお店でも桃をたくさん貰ってしまいました。白桃3個とプラムのような外見の桃20個くらいです。K美さんと分けて貰いました。甘くて美味しい桃でした。

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1 コメント

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立山は連日雨でした~(T▽T) (kojima)
2012-07-24 11:40:39
立山は連日雨でした~(T▽T)
テントは張らずに室堂山荘に泊まって周辺を散策して終わり、最終日はK邸を拠点に観光してきました。
富山の魚とお酒はおいしかったです。

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