紅蓮(ぐれん)のポケット

子どもの本の作家・三輪裕子のふつうの毎日
2015年夏。三宅島で農業を始め、東京と行ったり、来たりの生活になる

8.最後に

2004-08-14 06:41:48 | 8・山と旅の思い出
あれから、もう20年の月日が流れたが、イギリスの旅は、その後の私の人生を変えたと思う。
私は大学時代から、いつかは子どもの本を書きたいと思いながら、暮らしてきた。いつでも、どんな仕事をしながらでも。
実際に、真剣に書いた最初は、27歳の時だった。それは講談社の新人賞に応募し、選外になった。その2年後の29歳の時に書いた物語が、幸運にも新人賞を受賞した。

けれど、私は、そのイギリスの旅までずっと、何も、誰も犠牲にしないで、書いてきた。
が、イギリスの旅は、2週間も泊めてくれたKさんファミリーや、途中、ほんの少し間接的な知り合いというだけで、1日泊めてもらった家、何日間か泊めてくれた、ノッティンガムのK子さん、すてきな出会いのあったウェールズの農場・・etc、大勢の人にお世話になった。それに、おそらく子どもたちは、二ヶ月間も海外を転々とさせられて、ある意味では、私の犠牲になった。途中で「おうちに帰りたいよー。」と娘は泣いていたこともある。

金銭面でも、もちろん賞金では二ヶ月間の旅はできないので、持ち出しになった。それに、そんな小さい子たちを、二ヶ月間も連れて日本を離れたことで、夫や私の実家にも心配をかけた。夫は、海外出張も多かったとはいえ、何日間かは、一人暮らしをさせることになった。
いろんな人に、これだけの迷惑、負担をかけたのだから、イギリスには行きました。でも本は書けませんでした。とはいえないと思った。とにかく、最初の本も何とかして出版にこぎつけた上で、イギリスの本を書くのだと、もう後には引けないという思いで、日本に帰ってきたのだった。

(写真:旅の終わり頃、1歳だったF・謙君は、2歳の誕生日をむかえた。みんなで、ケーキにろうそくを2本立ててお祝いをした。おむつもとれていた。長い2ヶ月間だったのだ)

★ イギリスの旅
1・おそろしくも楽しいイギリス旅行
2・なぜイギリスにいくことにしたのか
3・二つの幸運
4・旅立ち
5・ウェールズ地方で
6・湖水地方
7・コニストン湖へ
8.最後に

14 コメント

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必死さが、 (真蘭)
2004-08-14 07:08:59
紅蓮さん

其の必死さが今の貴女を育てたんですね。

人生の中で、そんな決意と必死さをもって、私は何かしてきたことがあるだろうか?と自分に問うています。



「やりたいことは、今やる」このあなたの言葉に、私はどれだけ刺激されていることか。



無謀ともいえるイギリス取材旅行。なんだかアッケラカンとして、楽しんでやってきたようにも読めますが、そこが貴女のすごいとこですね。天性の楽天性と物事に怯まない強靭な精神力。あの小さな身体の何処にそんなパワーが。

今日の記事で、ますます、私は貴女のファンになりました。

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まさに命をかけた・・・ (comugi)
2004-08-14 07:44:33
自分の人生の 進退をかけた旅行でしたか・・

それだけ懸けるものがあるって事は 一種 幸せとも言える事ですね



昨日一日で「太古の森へ」を読んでしまいました

子供とか大人とかの区別なく 充分面白く読みました

さて 次は何の本に行きましょうか・・・

因みに私の座右の名も

「明日はない!」です(笑)
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ほめすぎ (*^_^*) (紅蓮)
2004-08-14 10:23:57
林さんのような大先輩から、そのように書いて頂け光栄です。林さんだって、私からみると、いつもいつも一生懸命ですよ。

ほんとうに。
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comugiさんへ (紅蓮)
2004-08-14 10:28:02
comugiさんに、本を読んでいただけて、とてもとても嬉しいです。

ほんとうに、ありがとうございました。

最初に、山のことを書いていたので、ふと目にとまり、comugiさんのBlogにおじゃまさせて頂いたのでした。不思議なつながりだと思いました。
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素敵なお写真 (あいあい)
2004-08-16 23:09:00
ああー、お子さん達の写真なんて可愛いのでしょう~(*^_^*)。この笑顔に思わず私もPCの前でニンマリ。写真の中のお子さんたちは、まるで絵本の世界の登場人物のよう。どんなお話してるのかな?何を感じているのかな?とイメージを膨らませています。



そして、イギリスを旅行されたときの紅蓮さんは今の私と同じ世代。すごく親近感を感じます!若く生き生きとしたお母さんもとても眩しくて綺麗♪すごく刺激になりました!
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あいあいさんへ (紅蓮)
2004-08-17 07:33:24
あいあいさん、

読んでくださって、コメントも書いてくれて、どうもありがとう。



ただ目まぐるしく駆け回ってばかりいた子どもたちだったけど、かわいいっていって頂けて嬉しいです。久しぶりに、Blogを書くために、この頃の写真を見たら、忘れていたことを思い出しました。
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緑色の休み時間、大好き! (けい)
2011-11-10 16:13:10
はじめまして。
私は小学生低学年の頃に図書室で緑色の休み時間を読み、それが忘れられず中学生の頃にもう一度借りて読み、大学生の頃にまた思い出して読みたくなり、今度は図書館で見つけられなかったため購入しました。
子供のころは本の作者など意識しないものですが、あなたの名前は覚えていて、母に頼んで公民館の図書室からジャイアントセコイアの話を見つけてもらったこともあります。こちらも好きでした。
27歳になった今、ふと思い出し、あの本の作者の方はどんな方だったのだろうとインターネットで検索をし、こちらに辿り着きました。
私は緑色の休み時間を読んで、自分がその場にいるような気がしていました。子供の集中力をもって読み込んだせいか、私の記憶の中に、体験したもののようにあの城があるのです。
それは、こんな大胆な体験の中書かれたものだったからなのですね。大旅行の記録、とても楽しく拝読しました。
最初の話を書かれたのが27歳だったというのも、驚きました。私はジャンルは違いますが小説をずっと書いていて、ただどうしても投稿する勇気が持てずこの歳になりました。対象年齢が15~20くらいのジャンルということもあり、もう遅いかなと思ってしまっていたのですが・・・
好奇心から検索させていただいたのですが、思いがけず大きな勇気をいただきました。
作品リストが更新され続けていることにも感動を覚えました。漢字も読めないまま作者名をメモしたあの頃から、現在も継続してご活躍されている方だということを知って、なぜか本当に嬉しいのです。
いっそうのご活躍とご健康を心よりお祈りいたします。
長文失礼いたしました。ありがとうございました。
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けいさんへ (紅蓮)
2011-11-10 17:10:19
ようこそ♪
そして、うれしいコメントを、ほんとうにどうもありがとう。
緑色の休み時間は、これが書けなかったなら、その後書き続けることはできなかっただろうと思われる一冊となりました。
旅の間も、部屋のくらがりの中で、ノートに構想を書き付けていた時のことを思い出します。
本を書いていらっしゃるんですね。私も中学生の頃から本を書きたいと思っていて、なかなか思うようにはいかず、それでもあきらめないで、書き続けていました。
文章を書くのが好きというよりは、話しを創作するのが好きでした。ずっと書けないでいたのが、ある時ふっと書けたのはなぜだったのか。今も不思議です。
あきれめずに、書き続けてくださいね。
またブログに遊びに来てくださいね♪
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だれでも27歳のときがあったのだ (久我山散人)
2011-11-10 20:49:00
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散人さんへ (紅蓮)
2011-11-11 21:51:32
だれにでも、10歳の時があり、15歳の時があり・・27歳の時も・・。
その時のことというより、その時の心のふるえを憶えているかどうか、が本を書くのに必要だなあと思うこの頃。
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