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第5回古文書に親しむ「直江大言の事」 その2

(島田中央公園の山柿、口に入れたら甘いと思った次の瞬間渋さに口が曲った)

今朝、まーくんとママが来た。最近、よく出かける子育て支援センターで運動会があり、同じくらいの子供の駆け比べで、泣きながらママも所へ駆けたまーくんが、ダントツの一位になったと聞く。家でも覚束ない足取りながら駆け回っているから納得の結果である。まーくんはいったい一日にどのくらいの歩数を動くのだろうと思い、まーくんに万歩計を付けてみた。お昼を食べて昼寝をするころまで、およそ4時間ほどで、1561歩という歩数になった。1歳と4ヶ月にしてはちょこまかと動く方なのだろう。

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先週の土曜日、第5回「古文書に親しむ」に出席した。先月読み始めた、大平基軍伝の中の「直江大言の事」の続きで、いよいよ直江の大言壮語の内容が明らかになる。直江とはもちろん、NHK大河ドラマ「天地人」の主人公で、直江山城守兼継のことである。

山城守にっこと笑い、身不肖なれども、それがしは上杉の執権をつとめ、一国の政事を預り、景勝の後見たり。上々もより御存じの事。殊更今日は主人の代りに列座仕り候えば、天下評定の事においては、いさゝかもおのおの項(候)に遠慮仕るべき由なし。唯今の義は所存あって致せしなりと申すにぞ。
※ 不肖 - 未熟で劣ること。

田中赤面の体にて、所存とはいかなる事ぞや、子細を承り申さんと尋ねなれば、直江、おのおの様、件(くだん)の銭を御覧あって、はなはだ称美し給えども、それがしが目にては何とも存ぜず。金にも贋銀にもせよ、かたちは銭に候らわずや。匹夫、下賎、乞食、までも持て扱うものを、尊貴の手に触れる用なし。

かく申すは、それがし自ら尊大を申す様に思し召し候わんなれども、まったく左様にあらず。主人景勝は一国の王にて官爵ともに卑しからず。その名代たるそれがしなれば、主人の尊貴を穢し候わん事を存じての義なり。たとえ、さはなくとも、大丈夫の士は金銀を見る事、塵あくたのごとくす。

※ 尊大 - いばって、他人を見下げるような態度をとること。
※ 官爵 - 官職と爵位。
※ 名代 - ある人の代わりを務めること。代理。
※ 大丈夫 - りっぱな男子。

国家を失い身を亡す根元は色欲の二つなり。女に迷ひ金銀に迷ひぬる心ある時は、自然と悪を行い不忠をいたす。それがし、いさゝかこの義をまもり、追従軽薄を除きて丈夫の心指しに習わんと歎(たん)ず。このゆえに言語に絶せしなり。必ず無礼と思し召さるゝ事なかれと傍若無人に返答せしかば、列座の諸侯顔見合せ、いずれも銭を誉めたる衆中なれば、手持ち無沙汰に挨拶もなく、座中白けて見えにける。
※ 追従(ついしょう)- 他人の気に入るような言動をすること。こびへつらうこと。
※ 軽薄 - 人の機嫌をとること。

直江の発言に座が白けてしまった。現代の言葉でいうならば、空気読めよと言いたいところであろう。この後に、その場に居合わせた石田三成の発言になる。連なる諸侯の中でも最も若くて軽輩の、直江兼継と石田三成がこの時より昵懇の間柄になり、同志となっていく。続きは次の機会にする。
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