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富士溶岩流が作った「鮎壷の滝」

(黄瀬川と鮎壷の滝)

明日から天気が荒れて、少し寒くなるという予報に、今週は今日が出かける絶好の日だと、朝から滝を見に出掛けた。見ていない滝が多く残っているのは伊豆半島である。今回も前回伊豆に出掛けた同じコースで伊豆半島を目指した。

それまでに見残した滝で、長泉町に「鮎壷の滝」があった。調べてみると、沼津インターを降りて、国道1号線へつなぐ国道246号線からそう遠くないところにその滝があることが判った。伊豆に行く前に「鮎壷の滝」を見て行こうと思った。「岡一色」の交差点を左折し、門池公園を左手に見ながら道なりに進んで行くと、1kmほどで黄瀬川を渡る。「鮎壷の滝」は黄瀬川本流の、その橋から200メートルほど下流にある。

橋に出れば下流に滝が落ちていることは雰囲気ですぐにわかるのだが、右岸からも左岸からも、どう近付いていいのか判りにくい。周りは無計画な住宅地が建て込んで、まず、駐車場が全くない。右岸の小さな神社の境内に駐車させてもらい、迷いながら川縁に進んだ。川に沿って大きなマンションが工事中で、余計に判りにくくなっていた。何とか川縁に出ると川縁だけがわずかに公園緑地になっていて、人が渡るための吊り橋が架かっていた。周囲には滝を取り囲むようにビルや住宅が建て混んでいた。街中の滝だから、ぎりぎりまで宅地化されているのである。

「鮎壷の滝」は同じ黄瀬川の数キロメートル上流の裾野市にある「五竜の滝」と同じように出来た。富士山から流れ出た溶岩流が、堆積する「愛鷹ローム層」に乗り上げて止まり、固まった部分の段差に、川が流れて滝になっているものである。

案内板によると、滝つぼ付近がオーバーハングしているのは、下層の「愛鷹ローム層」が浸食されたためだという。滝の東側には直径1メートル、高さ7メートルの「溶岩樹形」が見られ、滝の上流部には浸食によって生じた「ポットボール(甌穴)」が数多くあるという。溶岩流の特徴をよく観察できるところから、県の天然記念物に指定されている。
※ 溶岩樹形 ― 溶岩中に残された樹木の形。溶岩流が地表を流動中に樹木をとりこみ、その形が残った空洞。
※ ポットボール(甌穴)― 河床の岩盤にできる円筒形の穴。岩のくぼみや割れ目に小石が入り込み、流れに回転して深く削られたもの。



(鮎壷の滝-渇水期で一筋のみ)

川は水量が少なくて一ヶ所だけから滝が落ちていた。滝の高さは8メートル、増水時には落ち口が2ヶ所、3ヶ所と増えていくようだ。現在建設中のマンションは窓から滝が見えることが売りになるのであろうが、せっかく天然記念物に指定を受けながら、周囲の環境を風致地区として保存できなかったのは町として大変残念なことである。
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