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あってはならない犯罪の系譜

(散歩道のルドベキア)

藤村新一、姉歯秀次、前田恒彦と並べると、一つの犯罪の系譜なる。

藤村新一氏といえば、2000年毎日新聞のスクープによって発覚した考古学界最大のスキャンダルの、旧石器捏造事件の主犯である。民間の研究者であった藤村氏は研究者が期待するような石器を、期待される古い年代の地層から次々に掘り出して見せ、「神の手」と呼ばれた男であったが、それらの多くが他の地層から掘り出された石器を「神の手」で埋めたものであった。

姉歯秀次氏は建築士として2005年に発覚した構造計算書偽造事件で逮捕された。設計上で耐震強度を偽装した構造計算書を作り続け、多くの地震対策が不十分な安上がりなマンション、ホテルなどの建築に手を貸した。建築会社からのコストダウンの強い要請に屈したものと話していた。

前田恒彦氏は大阪地検特捜部のエースといわれた検事で、特捜部が扱った多くの事件にたずさわってきたが、2010年障害者郵便制度悪用事件において、元障害保健福祉部企画課長の村木厚子氏の関与を裏付ける証拠を改竄したことが発覚し、証拠を捏造したとして逮捕された。

三人並べると、そこそこ能力があって、周囲の大きな期待に何とか背伸びして応えるうちに、決して越えてはならない一線を越えてしまった。いずれもその立場の人間が決してやってはいけないことをやってしまい、その学会、業界、法曹界の営々と築いてきた信用を、一夜にして失墜してしまった。その後に起きたことを考えると、信用を取り戻すためには大変な時間と労力を要することが分る。本人たちが自分のやった犯罪の重大性に世間から糾弾されるまで気付いていなかったようにみえるのも共通している。

今日のニュースでは、東京のクリニックの医師が自らの腎臓移植のため、元暴力団員から腎臓の提供を受けるために、暴力団員に現金1000万円を渡したとして逮捕された。生体からの移植は親族しか許されていないために、元暴力団員と養子縁組までしようとした。この一件は結局不調に終ってしまうが、この医師はその後別ルートで移植手術を受けている。この事件もやってはならないことを、やってはならない人がやったことでは共通している。何万人といわれる移植手術を待つ患者さんたちに与える影響は計り知れない。

しかし、魔物が棲むといわれる長田町で日々起きていることは、もっとすごい。うそつきとかペテン師といわれながら椅子にしがみつき、早く辞めさせたければ法案を早く通せと居直る政治家がトップに座っている。震災対策がどんどん先延ばしにされて、そのことを糾弾すれば、震災対策の目処が付くまでは辞めないと、「震災対策」を人質に取って相手を黙らせる。犯罪にはならないけれども、影響は前述してきたどんな犯罪よりも大きい。

こんな訳の分らない犯罪まがいの事象が多発するようになった日本は、いったいどうなってしまったのだろう。
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