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平家物語の女性たち-島田図書館文学講座

(お菓子は松山のタルトと京都のユーモチ-
ユズ味つながりだという)

しばらく前だが、火曜日午後、島田図書館文学講座の第2回に女房と出かけた。今日の演題は「平家物語の女性たち」である。平家物語では男性が活躍する部分と、女性がメインの部分では、文体が違うという。男性が活躍する、特に戦の場面などは、七五調でたたみかけるようにトントンと語る漢文調だけれども、女性が活躍する愛憎の場面では、優雅に情感豊かな和文調で描かれているという。今日は和文調の文体で描かれた部分が主になる。

学生時代に、3日ほど掛けてトルストイの「戦争と平和」を集中して読んだことを思い出す。「戦争と平和」も戦争の場面と平和の部分が交互に出てきて、翻訳文だからよくは判らないが、おそらく両者は文体も違っていたのだろうと思う。後半になると読むほうも疲れてきて、地名の知識がないから戦争場面はよく理解が出来ずに、飛ばし読みして、平和の部分をしっかりと読んだような記憶がある。

平家物語も、おそらく似ているのだろうと思った。講師が取り上げたのは、清盛に寵愛された白拍子「祇王」や「仏御前」、高倉上皇に愛された「小督局」、重衡を慰めた「千手の前」、滝口入道の恋人「横笛」、孫の安徳天皇を抱いて壇の浦に散った「二位の尼」、安徳天皇の母「建礼門院」などである。

一人一人について描かれている原文と訳文を交えながら読み進めて行った。彼女らに多い境遇としては、それほど身分が高くないけれども、栄華の絶頂に至り、やがて転落していく。まさに女性の生涯においても、諸行無常であり、盛者必衰を表わしているのであろう。その多くが出家しているのも象徴的である。

運命に流されていくだけの弱い女性が多数を占める中で、清盛の妻時子の「二位の尼」に見る、きっぱりとした言動と意思的な姿が印象的である。

講師は第1回で平清盛を語り、第2回では清盛の妻「二位の尼」を語りたかったのだろうと思った。清盛が物語の始まりを飾るとすれば、一族の終焉を飾るのが「二位の尼」と言いたいのであろう。ちなみに、「二位の尼」の最期は、孫の安徳天皇を抱いて、「浪のしたにも都のさぶらうぞ」と言い、壇の浦に入水する。

平家物語は、注釈つきの原文の本も、現代語訳の本も蔵書しているが、実はまだ読んでいない。吉川英治の新・平家物語も読もうとしたことはあるが、これも最初の部分だけしか読んでいない。これを機会に読んでみようかと思う。文の調子までも味わいたければ原文、筋を追いたければ現代語訳、新・平家物語はまた違う作品と思うべきなのだろう。
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